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日本語になった、歌舞伎の言葉

先ほどの、口説くという日本語もそうですが、歌舞伎から生まれた日本語ってとても多いんですよね。

そうですねえ。例えば、「大見得を切る」という言葉がありますよね。おおげさな言葉を言って、自信たっぷりな様子を相手に見せるさまを表す言葉ですが。これも、歌舞伎からきている日本語なんですよ。人って、興奮すると視線が定まらなくなって、ボーっとしちゃうでしょう。歌舞伎はその、ボーっとしている様子をちょっとおおげさに目をカッと見開くことで表現するんですね。カッと目を見開いて、しばらくそのまま動かない。これも歌舞伎の「お約束」で、わざと舞台の風景を変えないことによって、お客さんから見たときに絵のように見えるように工夫をしているというわけなんです。

大見得を切っている様子の映像、日本文化芸術振興会さんのサイトで見つけました!こうやって、大きく手足をのばしたり、目を見開いたりした状態でしばらく動作を止めることで「見得を切って」いるんですねえ。

見得を切っているときに、乾いた木の音がするでしょう?これも、歌舞伎ならではの演出です。ツケと言われています。舞台の右側に、ツケ木と言われている道具を叩く人がいて、見得を切るタイミングに合わせて「バタバタ、バタバタ!!」とツケ木をケヤキの木の板に打ち付けて場面を音で盛り上げるんです。
ツケを打っている写真を、こちらのサイトから確認できます。

まさしく、「見せ場」なんですね。

その通り。そうそう、H松さんが今、何気なく「見せ場」という言葉を使われましたが、これも歌舞伎の言葉が元になった日本語ですよ。他にも、「正念場」「修羅場」も歌舞伎由来の日本語です。場面に関連する言葉ですと、物事の最後を意味する「大詰め」という言葉も歌舞伎用語からきていますね。

なんと!でも、言われてみれば、言葉を聞いたときに歌舞伎のワンシーンが頭に浮かびますね。なるほど、納得という感じがします。

社会科の学びというより、国語のお勉強になってしまいましたかね?ですが、こうして言葉の歴史をみていくと、日本語の単語の由来になっているほど、歌舞伎という芸能がいかに日本人に愛され、親しまれてきたかということを感じることができますね。これからも、歌舞伎が日本の伝統芸能として、みなさんに親しまれていってほしいと思います。

歌舞伎をみることで、日本語の面白さや奥行きの深さを学ぶこともできそうだなとあたらめて思いました。
今日はいったんここまでにいたしましょう。山川さん、次回も引き続きよろしくお願いいたします!
次回、歌舞伎の公演を楽しむ「お約束」に続く!乞うご期待!!
この記事を書くにあたって、主に参考にさせて頂いた著作は以下の著作です。
こちらの本には、もっともっと詳しく歌舞伎についての「なるほど!」と思うお話が書かれているので、「もっと歌舞伎を知りたいなあ…」と思った方は是非ご一読ください!
山川静夫,2008, 「歌舞伎の愉しみ方」,岩波新書.