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ここでは、学びのナビゲーターたちが一風変わった教科書やテキストをご紹介します。
あ行
あさきゆめみし(マンガ)
あの『源氏物語』を原作とした少女漫画。1979年ー1993年に完結。
全体の筋はほぼ原作どおりだが、少女漫画としての工夫がなされている。
母親の段ボールから、小学生時代に発掘した漫画でした。古い漫画ながら、絵がとても綺麗で、自然と古典への親しみをおぼえます。
後に学校で源氏物語を学んだ際、大量の登場人物と複雑な相関図に頭を悩ませることなく、生き生きとした彼らの姿が浮かびました。
アドルフに告ぐ(マンガ)
手塚治虫原作のマンガ。文春コミックス全5巻。第10回講談社漫画賞一般部門受賞。
第二次世界大戦下、ナチスの支配下にあったドイツと、戦前の日本を舞台に繰り広げられるお話。
えええええっと思う秘密をめぐり、3人のアドルフのドラマが展開する。
歴史的な事実とは異なるのですが、第二次世界大戦下、どんなことが起こっていたのか、何が日常だったのか‥‥その一側面を、ストーリーにのめり込みながらうかがい知ることができます。
今、私たちをめぐる「差別」や「人種」の問題などを深く考えさせられる、手塚治虫ならではの深い問題意識がしっかり込められているマンガで、面白いのだけど、何度も読み返したくなる、濃いマンガです。ぜひ!
宇宙への秘密の鍵 (本)
Lucy&Stephen Hawking 作・さくまゆみこ 訳
「車いすの物理学者」として高名なホーキング博士とその娘の作品です。主人公のジョージは、何にでも疑問を持つ少年。あるとき出会った隣の家のエリックは科学者で、宇宙にも行けるスーパーコンピューターを持っていました。ジョージは宇宙を大冒険をしながら、惑星のこと、太陽系のこと、星の誕生と死、いろいろな神秘を学びます。そしてこの広い宇宙の中の「地球」という惑星を理解していく…。
今年(2020年)のノーベル物理学賞は、ブラックホールの研究をしている三名に贈られましたね。この物語では、ブラックホールをめぐって大事件が起こります。いったい、ブラックホールって何?一度ブラックホールに落ちたら抜け出せないって本当?私は宇宙についての知識があるわけではないけれど、ジョージ達と一緒に大冒険をしていくうちに、頭の中いっぱいに宇宙がひろがって、ワクワクドキドキがとまりませんでした。ハイレベルだけれどわかりやすい天体コラムもとても勉強になるし、惑星の美しい写真にはうっとりしてしまいます。
映像の世紀(NHKスペシャル)(テレビ番組)
世界各地で記録されてきた映像を収集し、編集されたドキュメンタリー番組(NHKスペシャル)。「百年の悲劇はここから始まった 第一次世界大戦」や「グレートファミリー新たな支配者 超大国アメリカの出現」、「時代は独裁者を求めた 第二次世界大戦」などたくさんのテーマで放送され、どれも見ごたえあり。
高校生のとき、世界史の授業の合間に先生が見せてくださったこの番組。今でもオープニングの音楽(加古隆の『パリは燃えているか』)を聴くと、胸が締め付けられます。教科書の文字からだけでは学べないようなこと―今、学んでいることが「本当にあった出来事」なんだ、と実感させられる衝撃は今でも忘れられません。
おいしいコーヒーの真実
コーヒーをめぐって浮かび上がる不条理に向き合う、ドキュメンタリー映画です。
あらすじ「コーヒーは世界で最も日常的な飲物。全世界での1日あたりの消費量は約20億杯にもなる。大手企業がコーヒー市場を支配し、石油に次ぐ取引規模を誇る国際商品にしている。私たちは『おいしいコーヒー』にお金を払い続けている。しかし、コーヒー農家に支払われる代価は低く、多くの農家が困窮し、農園を手放さなくてはならないという現実。一体なぜ?」(公式サイトより引用)
監督: マーク・フランシス, ニック・フランシス
出演: タデッセ・メスケラ、他
普段、何気なく飲んでいるコーヒーが、どんな労働によって作られ、どのように市場で売買されているのかを知ることができます。考えてみれば、遥か彼方の国からやってくるコーヒーが、1杯35円程度(自分でお湯を注いで作るタイプのものの場合)というのは、不思議なことですよね。どうしてそんなに安い価格で販売ができるのか、ちょっと立ち止まって考えることが、社会の学びに繋がるのかもしれません。商品がもっている価値と、市場で売られる際の価格、そしてその商品を作っている人たちのお給料の関係性を考えさせれる映画でした。
コーヒーの価格の暴落によって、農園の経営が苦しくなり、子どもの教育が後回しにされていく様子は物凄く痛ましいものがあります。
本当は自分も学校に行きたかった!と語る青年、
コーヒーの価格が暴落して以来、学校に地域の子どもたちが通ってこなくなってしまったと寂しそうに語る先生、
農園の経営を助けるために、学校に行かず、コーヒーづくりの仕事を手伝わざるを得ない子どもたち…。
何気なく飲んでいるコーヒーを支えているのは、「学び」を犠牲にした子どもたちの涙かもしれません…。
コーヒー好きの人にこそ、見てほしい映画です。
大奥(マンガ)
よしながふみ作
2004年、少女漫画誌「メロディ(MELODY)」に登場し、以降16年にわたって連載された作品で2021年2月に19巻の刊行を以て完結!
男女逆転世界の「江戸時代」を、女将軍主体に描く改変歴史ものSFの傑作。
第13回手塚治虫文化賞マンガ大賞や、ジェンダーへの理解に貢献したSF・ファンタジー作品に贈られるアメリカの文学賞、ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア賞なども受賞している(日本人初・漫画初の快挙だそう!)
テレビドラマや映画にもなっていたこの作品。何の気なしに読んでみたらとっても面白かった…!!
「史実」として私たちが学んできた/学ぶものと違うところがあるので、そこは注意しなければなりませんが、江戸時代の政に携わってきた将軍たちの人物像や人間関係、時代のハイライトになる出来事は相当忠実に描かれている印象です。
さらに加えて、この作品は、ジェンダーについても非常に考えさせられます。「男だから」「女だから」という言葉はよく聞かれますが、多様な条件下で変動する社会において、男や女という言葉が指すイメージも様変わりするのかもしれません。また、私たちの社会でひとりひとりの人が生き心地よく暮らしていく制度や仕組み、考え方などについても疑問を投げかけるような作品です。だまされたと思って、ぜひ読んでみてほしい!とおもえた作品です。
2021年9月には、ムック本『よしながふみ『大奥』を旅する』(平凡社・太陽の地図帖039)も発売されたようなので併せて読むと江戸時代への理解がより深まるかもしれません。
朝日新聞社が運営する書評サイト、好書好日でもよしながふみさんのインタビュー記事が掲載されているので、作品づくりの背景などが垣間見れますよ!
「オクジャ」(映画)
アメリカ(2017) 監督:ポン・ジュノ Netflix オリジナル配信映画
『パラサイト 半地下の家族』のポン・ジュノ監督の作品です。
「共に成長してきた心優しい巨大生物と一人の少女。田舎で平和に暮らしていた彼らが、現代社会の科学倫理と動物愛護主義、企業欲の醜い争いの渦に巻き込まれていく(Netflix公式HPより)。
ヴィーガンやベジタリアンに関心を持つ中で観た作品です。現代社会の食や食に関わる企業の倫理などについて考えさせられます。似たようなテーマを持つ作品の中でも、この作品をオススメするのは、企業側(食肉を提供する側)に対抗するヴィーガンのグループをヒーローにしすぎていないからです。ヴィーガンのグループをいい面だけでなく問題点も示唆するように描いているので、映画を観終わった後も深く考えさせられる作品でした。
小倉百人一首 (文英堂)(玩具)
鈴木日出男・山口慎一・依田泰 共著
百人一首とは、鎌倉時代の歌人「藤原定家」が、古来の素晴らしい歌を百首あつめたものです。この本では、その一首々々の鑑賞(芸術作品の良さを味わい楽しみ理解すること)や歌意の解釈などを、写真とともに紹介してくれています。
一日一首、音読して鑑賞や解釈も楽しんでから寝る、というサイクルを2年ほど前から続けています。初めはカルタに勝つために覚えているだけだったのですが、何度も繰り返し読むうちに、歌に詠みこまれている自然の情景や恋心を思い描けるようになってきました。古来の人々の想いを歌を通じて感じることができるなんて、なんだかワクワクしませんか。中には面白いことば遊びが隠れていたり、なるほどと思う背景で歌が詠まれていたりして、三十一文字に魂を込めた歌人たちにいつも感激してしまうのです。
とくに深い意味はないのですが、私は
「たち別れいなばの山の峰に生ふるまつとしきかば今帰り来む」(在原行平)
という歌が好きです!
か行
かぐや姫の物語(アニメ映画)
スタジオジブリ、監督 高畑勲
古文では「竹取物語」、昔話では「かぐや姫」として知られる作品を基にしたアニメーション映画。かぐや姫の出生と成長、そして月の国へ帰るまでの物語を描いている。
絵本や古文の授業ではわからなかったかぐや姫の心情が、アニメーションを通じてとてもよく伝わってきます。また、かぐや姫が月で暮らしていた頃の記憶や、なぜかぐや姫が地球にやってきたのかといった、今まで自分が知っている「かぐや姫」「竹取物語」では語られてこなかった部分に踏み込んでいて、かつかぐや姫自身にとても感情移入できるので、ストーリーがさらにおもしろくそして考えさせられる内容になっています。
風の谷のナウシカ(マンガ)
宮崎駿 徳間書店
1984年に公開されたスタジオ・ジブリ映画『風の谷のナウシカ』の原作。全7巻の漫画です。舞台はマスクなしでは生きることのできない菌類の森「腐海」。主人公ナウシカは、風の谷の族長ジルの娘。自然に生き、人間も腐海の生命も共に生きることのできる道を探る…。
もともと子供の頃からジブリ映画が大好きだったので、原作に手を出しました。映画版となったのは、実は漫画の第1巻部分だけなんですよ。自然と共に生きる種族、自分の利益のために他者を操る王など多くのキャラクターが登場しますが、結局人の考えに正解はないのだと気づかされます。内容が濃く難しいので私は何度も読み返しましたが、ストーリーのみならず宮崎駿さんの細かな描写などとても楽しめると思います。
マスクの手放せないコロナ禍の今だからこそ手に取りたい作品かもしれませんね。
がんばれゴエモン2―奇天烈将軍マッギネスー(ゲーム)
1993年にコナミから発売されたアクションゲームです。
スーパーファミコン(といっても、みなさんには、あまりなじみがないですよね…。)のソフトでした。最近、wiiUと3DSでプレイできるようになったみたいです。
「弱きを助け、強きをくじく正義のヒーロー」ゴエモンが、仲間のエビス丸・サスケ(伊賀の山奥に住んでいる、物知りじいさんという人がつくったロボット)とともに、マッギネスという敵キャラに乗っ取られた江戸城の奪還を目指すストーリーです。商店街の福引で当たった琉球旅行からスタートして、だんだんと日本列島を北上し、北海道まで日本全国を旅していくことになります。
ゴエモンの世界には、日本の伝統芸能や民芸品、各地の名産物、地方のお祭り、神話など、日本の文化を感じられる要素がたくさん散りばめられています。
例えば、歌舞伎城というステージがあるのですが、歌舞伎につかわれている小道具や演出がステージの世界観を作り上げています。敵キャラが、連獅子の衣装をきて、赤い髪と白い髪を振り回して攻撃してきたり、松が書かれた背景の前で三味線を演奏しているキャラが写り込んでいたりと、歌舞伎ファンにはたまらないステージです。
私は、敵キャラのデザインや、攻撃方法をみては「これの元になったネタはなんなのだろう?」と、周りの大人に聞きまわったり、歌舞伎の本を見たりして「なるほどお~」と、雑学を深めていました。
日本の文化を知るために、ゴエモンはいい教科書になると思います。
ゲームをするときにも、その世界をつくっているデザインだったり、キャラクターの設定の理由を考えると、社会の学びに繋がるのではないかと思いますね。
(というのが、ゲームは1日1時間まで!と言われないようにするための、H松なりの工夫でした笑)
郷土かるた(玩具)
市町村や都道府県ごとに、自治体等が作ったカルタ。有名なものには、「上毛カルタ」(群馬県)などがある。
小学校入学後に、社会科の授業の一環で住んでいる町の「郷土カルタ」を手に入れました。この町に何があるのか、どんな歴史があるのかを楽しみながら学ぶことができます。特産物から土地利用、気候について学んだり、昔の人々の生活を知ることもありました。また、50枚の取り札に選ばれた内容を見ていると、この町が「何を大切にしているのか」も見えてきます。
自分の町(あるいは関心のある町)という身近な出発点から、歴史や地理に関心を持つきっかけにもなるのではないでしょうか。
今でも、様々な町の郷土カルタを集めています。大人になっても大好きな学びアイテムです。
私も郷土かるた、上毛かるたで小さいころからよく遊び、おかげさまで群馬県の特産物や歴史、地域の特色に自然と馴染むことができました!
勉強、という感じでカルタをするわけではなく、純粋に何枚の札を獲れるか!の勝負なので楽しいですね。
よく自慢してしまうのですが、上毛かるたの地区大会優勝者です!(市大会は初戦敗退、というオチつきですが‥‥)「め」の札とかも綺麗でとれると嬉しかったですねぇ~
銀の匙 Silver Spoon
大人気漫画家、荒川弘による青春酪農コメディーマンガ。
寮があるという理由で大蝦夷農業高校(エゾノー)に入学した八軒勇吾は、悪戦苦闘の日々をおくりながら賢明に悩んで考える。八軒にとっては何もかもが初体験だけど、仲間も楽しみも増えた高校生活。しかし時折、農業の厳しい現実にもぶつかる…(マンガ公式サイト ストーリーより)
(マンガ公式サイト)
(アニメ公式サイト)
(実写映画トレーラー)
スーパーに当たり前のように並ぶ肉・卵・牛乳。酪農・酪農家さんって?命を食べるって?どういうこと?重い深いテーマをこのマンガはパワフルに描き出します。なにより、動物がかわいい!よだれがちょちょぎれる飯テロ!酪農高校の青春!笑って泣ける傑作です。
クイズプレゼンバラエティー Qさま!!(テレビ番組)
テレビ朝日系 毎週月曜よる9時から放送されているテレビ番組。
基礎的な知識からかなり難易度の高い応用問題まで幅広い難易度の問題を出演者の皆さんと共に考えながら楽しむことが出来る番組です。番組内で出題される問題の多くが映像形式であるため分かりやすいだけでなく、より記憶に残りやすいです。
獣の奏者シリーズ(本・アニメ)
上橋菜穂子によるファンタジー小説。
主人公エリンは、リョザ神王国の闘蛇村に住んでいます。ある日、エリンの母親は闘蛇を死なせた罪に問われ、エリンは孤児になりました。一人ぼっちのエリンは、村人たちと共に生き延びることに・・・。
この本は、辞書のように分厚いです。だから、友達から勧められた時は「こんな分厚い本、読めるわけがない」と思ってしまいました。なのに、読み始めてみると止まらなくて、あっという間に一冊読み終えました。エリンが強く生き延びて成長する姿は、目が離せません!本をあまり読んだことのなかった私にとって、「こんなに分厚い本を読んだんだ!」と自信に繋がった一冊です。
国際アンデルセン賞作家賞も受賞していて、フランス語やベトナム語への翻訳も進められているみたいですね!アニメにもなっていたようです!
上橋菜穂子さんは、人類学の研究者でもあるのですよね。私もNHKで放送されていた「精霊の守り人」を毎回楽しみに観ていたので、ぜひ読んでみたいです!
すでに、他の方が挙げてくださっていますが、「先に言われてしまったか!」という感じです(笑)上橋先生作品が幼少期から大好きすぎて、先生の影響で津田塾大学、多文化・国際協力学科に直進したといっても過言ではありません。
ちなみに『鹿の王』は豪華制作陣によりアニメ映画化します。2021年に公開延期されましたが、楽しみな気持ちは増すばかりです。
ゴールデンカムイ(マンガ・アニメ)
明治末期(日露戦争後)の北の大地・北海道を舞台にした金塊をめぐるサバイバルバトル漫画。アイヌ民族の少女アシリパと元陸軍兵の杉元佐一という主人公が登場します。アニメもありますよ!
日露戦争の起こった当時の北海道。アイヌ民族のことやマタギなど、キャラクターの属性から文化への関心や理解がひろがります。
特に、アイヌ民族の自然の中で生きていく知恵(食文化などにはじまり、寒さをしのぐ知恵など)を知ることができるのも、「なるほど」が詰まっていてワクワクします。
普通におもしろいですが、まだ未完です…。
聲の形(マンガ・アニメ)
大今良時作。耳の聞こえる少年、石田将也と、耳の聞こえない少女、西宮硝子を主人公にした物語。
2016年には映画化されました。
聴覚の障害によっていじめを受けるようになった少女・硝子と、彼女のいじめの中心人物となったのが原因で周囲に切り捨てられ孤独になっていく少年・将也の2人の触れ合いを中心に展開し、人間の持つ孤独や絶望、純愛や友情などが描かれています。
私はこの作品をマンガで読みました。
私たちは完全に自分の気持ちを相手に伝えきれるわけでもないし、相手の気持ちをわかるわけでもありません。でも、伝えるための手段の一つとして「手話」があるのだ、と。
聞こえていようが、聞こえていまいが、実は「相手のことを知りたい」「相手に伝えたい」という気持がそもそも大切なのだ、ということに私自身は痛感させられました。主人公の将也は聞こえる人ですが、だからといって意思疎通が万全なわけではなく、友達作りにも仲直りにも苦労しています。彼が人のつながり方を取り戻していくのを助けたのが、手話で、硝子との出会いだったのだと思います。
著者が、題名を「聲」の字にしたのは、調べた際にそれぞれ「声と手と耳」が組み合わさってできているという説があることを知ったためであることと、「気持ちを伝える方法は声だけじゃない」という意味を込めて「聲」にしたのだそうです。
こども六法(本)
山崎聡一郎著
日本の法律が、子どもから大人まで分かりやすい説明で解説されています。
人に対して「死ね」と言ったらなぜいけないの?大人のフリして買い物をしたらなぜいけないの?という、ちょっと周りの人に聞きにくい疑問に答えてくれる本です。
すべての漢字にルビがついているのもポイントです。
点字データ、デイジーデータもあります。
日本の法律、そういえばちゃんと説明できないし、理解もしていないかもしれない!と思ったときに、書店で見かけて、大人なのに夢中になってしまった本でした。いじめられたとき、つらいなあと思ったとき、自分の味方になってくれるものが法律にはあるのだよ、と知ることは、大人から子どもまで必要なことだよなあ…と、この本を読んでつくづく思いました。
日本の法律は、みんなが意見をいってより良い社会を作っていくための基礎にあるものなんだと、多くの人に知ってもらいたいなとも思います。
そんなわけで、この本を教科書としてみなさんにオススメしてみました!
この世界の片隅に(マンガ・映画)
こうの史代作。おっとりしていておっちょこちょい。そんなすずさんの少女時代から結婚・その後が描かれる。
1944年広島。主人公の浦野すずさんは想像力が豊かで絵を描くのが上手く、自分が体験した出来事を、虚実の入り交じった漫画のような作り話にしてしまう才能の持ち主。18歳のとき、すずは、顔も見たことのない若者と結婚し、生まれ育った江波から20キロメートル離れた呉へとやって来る。それまで得意な絵を描いてばかりだった彼女は、一転して一家を支える主婦に。創意工夫を凝らしながら食糧難を乗り越え、毎日の食卓を作り出す。やがて戦争は激しくなり、日本海軍の要となっている呉はアメリカ軍によるすさまじい空襲にさらされ、数多くの軍艦が燃え上がり、町並みも破壊されていく。そんな状況でも懸命に生きていくすずだったが、ついに1945年8月を迎える。映画化もされている。
映画もマンガも観ました!
「戦争もの」というと、なんだか身構えてしまうことってあるような気がします。
遠い昔のこと、という気持ちになってしまうような気もします。
でも、この作品の「すずさん」は、人間味にあふれた素敵な人です。穏やかに、ときどき悲しくなったり、悩んだりしながら、ふつうに生きている一人の人間です。そういうふつうの暮らしの中にどんなふうに戦争があったのか、考えさせられます。
決して「抑圧されてる」とか「やられっぱなし」とかではなくて、工夫して生き抜いて、耐えて、抗って、ときどき笑いあったりする世界。
ふつうの歴史を学ぶ際にも、「歴史的イベント」を学ぶのではなく、かつての世界の様子を見知りたい、という気持ちでアプローチすることの楽しさを感じさせてくれるような作品でもあるかもしれません。
さ行
サウンド・オブ・ミュージック(映画)
1965年に公開されたロバート・ワイズ監督、ジュリー・アンドリュース主演のミュージカル映画。
修道女見習いだったマリアは家庭教師としてオーストリア・ザルツブルクのトラップ大佐の家へ。7人の子どもたちと少しずつ打ち解けて、やがて子どもたちの父親のトラップ大佐の心も和らいで…。
だれもが知る「ドレミの歌」など名曲が目白押しのミュージカル映画。
好きな映画の一本。
ただ単純に、とても気持ちのいい物語なので観てほしい!という気持ちもありますし、聞き覚えのある曲がたくさん。可愛くて素敵な歌詞なので、歌っても楽しい(ぜひ英語で観てみてほしい)。
そして、ラストシーン。家族みんなである決断をして、大きな挑戦をすることになるのですが、それが一体何だったのか。歴史を勉強していくと改めて「そういうことだったのか」と知ります。小さいころから観ていた映画ですが、最後の緊迫感が何だったのか、歴史を勉強して腑に落ちました。そしてこの物語は実話なんですよね。英語の教科書でも紹介されていたりします。
そういう意味で何度も観ておいしい映画です。
「THE BIBLE_IN THE BEGINNING」(邦題「天地創造」)(映画)
アメリカ/イタリア(1966) 監督:ジョン・ヒューストン
旧約聖書のエピソードから天地創造、ノアの箱舟などに至る物語を描いた作品。
「聖書・聖書物語」の一つとして。映画のスケールの壮大さ加え、ジョン・ヒューストン、リチャード・ハリスなど俳優陣も豪華で、宗教への関心があってもなくても見入ってしまう作品だと思います。
十戒(映画)
旧約聖書に書かれた十戒をテーマにした映画。
チャールトン・ヘストン (出演), ユル・ブリンナー (出演)
聖書に書かれていることは、教養として知っておくと、その後の歴史や文化を学ぶ上で大きなヒントになります。この映画は旧約聖書の「出エジプト記」の内容について触れたもの。
旧約聖書の内容は、キリスト教だけではなく、ユダヤ教やイスラム教の聖典としても読まれていますね。
聖書、聖書物語(本)
世界三大宗教の一つ、キリスト教の聖書。そして世界で一番のベストセラーと呼ばれている本です。
聖書を読む敷居が高く感じたら聖書物語から入るのもおススメ。例えば「天地創造」、「アダムとイブ」、「ノアの箱舟」や「バベルの塔」など聞いたことはありませんか?すべて、聖書の中に書かれている物語です。阿刀田高さんの本は、また角度を変えて、軽く楽しく聖書の内容にアプローチできると思いますよ。
聖書物語 (岩波ジュニア新書 (56)) 山形 孝夫 (著)
『旧約聖書を知っていますか』阿刀田高 (著)
『新約聖書を知っていますか』阿刀田高 (著)
聖書に書かれていることは、教養としてしておくと、その後の歴史や文化を学ぶ上で大きなヒントになります。文学作品や映画など、その下敷きに聖書のモチーフがあったり、絵画や芸術作品にも影響を与えています(聖書のモチーフを描いたものも多い)。知っていると、「なるほど~」と思いながら読んだり見たり、聞いたりできるので、より楽しくなるはず!
私は、小さいころ「良きサマリア人のはなし」を読んで感銘を受けたことを覚えています。それは、結構昔話「かさ地蔵」などとも繋がる気がしていて、大切にしている心がけのひとつです。
私はアメリカに留学したことがあるのですが、留学先の学校では、生徒も先生もベジタリアン(肉や魚を食べない人のこと)でした!最初は少しびっくりしましたが、宗教上の理由があると知り、ベジタリアンも素敵な生き方だと思うようになりました。聖書や宗教を学ぶことは、異なる文化を理解する鍵になりますよね!
た行
大航海時代Ⅳ(ゲーム)
コーエーのゲームソフト。艦隊の船長になって16世紀の海へ繰り出そう!目指せ七つの海の覇者!
・PC版:大航海時代Ⅳ
・PS版:大航海時代IV PORTO ESTADO(ポルト エシュタード)
・DS版、PSP版:大航海時代IV ROTA NOVA(ロッタ ノヴァ)
買い切りのスマホ版も出たらしい……
とにかく世界地図に強くなります。あと首都・主要な交易地・特産品も覚えられます。
チ。ー地球の運動について―(マンガ)
魚豊さんによるマンガ。週刊誌『スピリッツ』にて連載中
「命を、捨てても曲げられない信念があるか? 世界を敵に回しても貫きたい美学はあるか?」と紹介されているこの漫画の舞台は、中世ヨーロッパ。地動説を証明するひとびとのおはなし。
この漫画はすごい!
まだ未完(連載中)ですが、第2弾まなキキオンライン講読会『科学哲学への招待』の第一部と併せて読むとより理解が深まるはず。
「チ」って何よ!と思われるかもしれませんが、そこにはこの時代ならではの、そしてこのテーマならではの複数の意味が込められており、確かに「チ」としか言えないよね!と納得されるはず。太陽を中心にして、地球を含む惑星が公転している、ということを知識として学んだ皆さんは、ぜひ読んでみてください。第4集(第4巻)後半、とくにしびれました。
都道府県の持ちかた (本)
バカリズム著、ポプラ社
芸人のバカリズムさんが書いた本。47都道府県を「持つ」ときのポイントがおもしろおかしく解説されています。各都道府県の情報も詳しいので、日本地理の勉強にもなります。
そうやって持つのか!というアイデアが満載で、47回くすっと笑えます。各都道府県の名前の由来が知れるのもポイントです。個人的には、滋賀県の持ちかたが気に入っています。琵琶湖にしっかりと肩を入れましょう。(読んだら意味が分かります!)
「ワンルームだった場合、住みにくい形の都道府県」上位3位も紹介されていますが、どこだと思いますか?楽しみながら47都道府県のことを学びたい人におすすめの本です。
H子さんに、「琵琶湖にしっかりと肩を入れましょう」ってどういうこと?と尋ねたら、画像を見せていただいて、「…!これは…!なるほど、」と納得しました笑。ヒント?で滋賀県の画像を載せておきますね。「なんのことやら」とぜひ想像してみてください。
は行
はたらく細胞(マンガ)
読み切りから生まれた細胞を擬人化したコメディ漫画。2018年にアニメ化、2021年に第二期放送予定。漫画スピンオフ作品『はたらかない細胞』『はたらく細胞BLACK』など多数。
ここ、「人」の体内では、たくさんの細胞たちが年中無休で働いている。へっぽこな新人赤血球と容赦無く病原体を切り裂く白血球、様々な個性あふれる仲間たち。そこに、病原体、熱中症、ガン細胞が次々襲いかかって!?
これは本当に勉強になります!高校生物の先生が、毎回のプリントに漫画の1シーンを入れて、授業を行っていたのを思い出します。アニメ化した今は、授業で映像を見ているそうです。うらやましい。
細胞・臓器・病原体たちの働きが忠実かつ面白おかしく表現されています。胸熱感動展開もあるので、まったく飽きません。私のお気に入りは、やはり「くしゃみロケット」。ぜひ作品を見て確かめてください!ただ血飛沫は容赦ないので、苦手な方は注意。
日立 世界ふしぎ発見!(テレビ番組)
TBSで毎週土曜日夜9時から放送されている番組です。
ミステリーハンターが世界中を駆け巡り、毎週違った国・都市の自然や遺産や文化を紹介しています。
この番組は、世界各国の歴史や文化を知る上でとても役立ちます。番組中でミステリーハンターが出題する3つのクエスチョンもとても勉強になります。私が特に好きだった回は、ポンペイ遺跡を巡るものと、ピラミッド(古代エジプト)の秘密に迫るものです。そして何より、テレビの前にいながら世界中を旅している気持ちになれるのでおすすめです!楽しく見れて、勉強になるとても素敵な学びの教科書です!
私も「世界ふしぎ発見!」好きでした~
なかなかの長寿番組ですよね!自然や文化、おいしいご飯に関するテーマのときもあって、ワクワクしますよね。旅にも出たくなりますね。いいなあ。
ひとりでしにたい
カレー沢薫さん著、ドネリー美咲さん原案協力。
主人公の山口鳴海は、35歳、独身。職業・美術館の学芸員。
バリバリの「キャリアウーマン」だったあこがれの伯母さんが、人知れず「孤独死」して「黒いシミ」になった。
死ぬのは怖い。だけど人間は死ぬために生きている。ならば誰よりも堂々と、私はひとりで死んでやる。「婚活」より「終活」を選んだ鳴海は…という物語。
なんだか深刻なマンガ…と思いきや、ギャグを織り交ぜながら、知っているべきようなことだけど、なかなか他人には教えてもらえないようなことがしっかり描かれています。
どういう社会制度が仕組みとしてあるのか、マンガを介して学ぶことができるとは思いもよりませんでした。気軽に「なるほど」と思い至れるよいマンガです。
リンク先から数話無料で読むことができます。
「パスワード」シリーズ(青い鳥文庫)(本)
講談社青い鳥文庫 松原秀行/さく
「マコトがある日パソコン画面で見かけた「電子探偵団」のページ。それが、ワクワクする毎日のはじまりだった!それぞれちがう学校に通う5人の電子探偵団員が、たくさんの推理パズルを解きながら、ほんものの事件も解決する!ちょっぴり恋もようもある、冒険ミステリー!(HP抜粋)」
私が、小学生の時にハマっていた作品です。このシリーズの面白さは、登場人物たちと「一緒に」推理できるところです。推理パズルを解くために、計算や図形を使う想像以上に難しい問題もあり、「なんとしても解きたい」と電子探偵団員に負けじとかなりのめりこんでいました。振り返ると、これを読んでいたから、小学生の時算数が好きだったのかもしれません。楽しみながら頭を柔らかくできる作品です。特に、番外編の『パスワード「謎(パズル)」ブック』がオススメです!ぜひ!
ブッダ(マンガ)
手塚治虫作のマンガ。仏教の始祖、シッダルタは、ヒマラヤ山脈のふもとカピラヴァストウで、シャカ族の王・スッドーダナの長男として生まれました。けれども、生後7日目に母マーヤと死にわかれ、叔母のパジャーパティに育てられました。その後、16歳でヤショダラと結婚し、一子ラーフラをもうけますが、人生の根底にひそむ生老病死の問題について考えるようになり、29歳のとき、すべてをなげうって出家します。やがてピッパラの樹の下で悟りを開き、以後、ブッダ(サンスクリット語で目ざめた人という意味)と名乗って、インド各地をめぐる説法の旅を続けるのでした。そんなブッダの生涯をマンガで描きます。
まじめそうに見えるトピックも、のめり込むように面白く描いてしまうのが手塚治虫のすごいところ。
独自の解釈によるブッダ観なのかもしれませんが、インドにおける階級制度なども垣間見られ、学ぶところが多いでしょう。大人になっても読み返して面白いマンガでもあります。
『ブラック・ジャック』と同時に、小学校入学前に読んでいたマンガの一つです。年長の夏、七夕の星に願ったのは「ブッダの10巻がほしい」…。
そんな幼い私でも真剣に楽しく読み進められたマンガです。成長して何度も読み返す中で、当時は分からなかった深みや本質も理解できるようになりました。
作者の独自の解釈で描かれた作品ではありますが、社会や国語の「教科書」としてはもちろん、人生について考えるきっかけにもなるシリーズだと思っています。
※ Yさんは、まなキキブックレビューリレーで『ブラック・ジャック』を紹介してくださっています!
ま行
〇〇のひみつシリーズ(学研 まんがひみつ文庫)
学研 まんがでよくわかるシリーズ
身の回りにあふれる物事のひみつを、まんがで楽しくかわいくかっこよく学べるシリーズ
家電量販店のひみつ、パスタのひみつ、カードゲームのひみつ、レジのひみつ、仏教のひみつ、、、パッと見ただけでも気になるタイトルがたくさんありますね!わたしがまだ初々しい小学生?だった時も、図書室にはこの「ひみつシリーズ」のコーナーがありました。FINDERSの記事によるとによると、現在でも小学生に絶大な人気を誇っているようです。
みんな彗星を見ていた―私的キリシタン探訪記(本)
星野博美作。はるかな歴史の糸に導かれるように著者は楽器・リュートに出会い、長崎からスペインへと、400年の時を駆ける旅に出ます。
遠い異国から海をわたってやって来た宣教師と、救いを求め、命を賭した信徒たち。
多くの殉教者を出した迫害の果てに、彼らが辿りついたものとはーー。
世界文化遺産の陰に埋もれた真実を照らします。
三浦しをんさんが書評を書いています。
この作品は小説ではなく、ノンフィクションのエッセイ。
何よりも著者の探求心や行動力がすごくて、圧倒もされます。
キリスト教が日本に伝来して、信者も増えたことは私たちは歴史の教科書で学んで知っている人が多いかもしれません。その後、天草四郎などに代表されるキリシタンは弾圧されて亡くなっていきます。遠藤周作の『沈黙』という作品もキリシタン弾圧を描いた小説として知られていますよね。
星野さんは当時のキリスト教の布教にやってきた宣教師たちと、その宣教師たちと過ごした日本の人達の、とてもリアルな状況を丹念に調べて、当時の人達の気持ちに寄り添おうとしていきます。そのプロセスは「研究」っぽいのですが、研究としてやっているわけではなく、知的探求心や好奇心、といった純粋な情熱で実践されていらっしゃるので、すごい…!と圧倒されるし、心打たれます。
や行
u&i
NHK for Schoolの中で配信されている番組。
「多様性を尊重し”みんな”で助け合えるクラスへ!」というキャッチフレーズで、発達障害など困難がある子どもたちの特性を知ることで、多様性への理解を深めるこども番組。
「シッチャカ」と「メッチャカ」というもふもふのキャラクターが登場しますが、それぞれHey! Say! JUMPの伊野尾慧さん、きゃりーぱみゅぱみゅさんが演じています。
巷のちびっこたちの間で、「つい見てしまう」、「おもしろい」と人気の番組。
リンク先から放送されたものについてすべてアクセスすることができます。
クラスにいるちょっと不思議な行動をとる誰かについて知り、一緒に楽しく過ごすためのヒントや提案が盛り込まれています。
番組の中では、「なぜ困っているのか」を夢の中で発信する「ココロのでんわ」を使って知っていきますが、素直な言葉で、お互いに伝え合えたらいいなあ…と思います。なかなか言葉にすること自体が難しかったりすることもあると思うので、どうしたら、自分の困っていることや悩みや想いをことばにしていくことができるのか――考えていくきっかけにもしていけたらよいですね。
ら行
リアル
井上雅彦さん作の漫画。週刊ヤングジャンプで連載中。
『スラムダンク』で有名な井上雅彦さんが描く車いすバスケの物語。
障害、車いすバスケを通して結びついた登場人物たちが己の向き合っている現実(リアル)と戦い、葛藤する様子が描かれています。
車いすバスケという障害者スポーツを切り口として、どんなふうに車いすユーザーになったのか、あるいは加害者となってしまったのか、どんな葛藤を持ち、どんなふうに過ごしているのかを垣間見ることができます。マンガという形態でストーリーが描かれるからこそ、登場人物の葛藤につい感情移入することもできて、私たちが持つ世界観も広がっていくのではないかと思います。
また、車いすバスケという競技の面白さにも注目です!
Roots: The Saga of an American Family(テレビドラマ)
クンタ・キンテという名前を持つアフリカにルーツを持つ主人公とその子どもたちの数奇な運命をたどるドラマ。
作家アレックス・ヘイリーが自らの家系を綴ったピューリッツァー賞を受賞した自伝的小説をドラマ化。1977年にアメリカABCで放送され、1億3000万人以上が視聴しエミー賞をはじめ多くの賞も受賞した伝説のドラマ。クンタ・キンテから始まる一族の黒人奴隷の物語を真正面から描き、日本でも高視聴率を記録。
めちゃくちゃおもしろいドラマです。私が観たのは、リメイク版です。
人種差別の問題は今、まさにさまざまに議論されています。まなキキでも、Tさんが、「人種差別について考えてみよう①」の記事などを書いていましたね。
3代にわたる「クンタ・キンテ」という名前を持つ黒人の主人公たちの物語は、リアルに身近に、親しみを持って迫ってきます。