フネで旅する漢字の海原(うなばら)シリーズ③ フネの名前

海賊船 国語:まなナビNAVI

さんかくすと文がえます

航海もの、といったら、超有名某海賊漫画(かいぞくまんが)があったりしますね。
そして、一風変わった(ひげ)もじゃの海賊(かいぞく)船の船長が冒険を()り広げるシリーズ映画もありましたねぇ。
海賊漫画(かいぞくまんが)海賊(かいぞく)映画だから当たり前ですけど、船が出てきていました。
しかも、ただの船ではなかったですよね。
海賊(かいぞく)たちはその船をとても愛していて、船に名前までつけていましたよね?

 ゴーイングメリー号だったり、ブラックパール号だったり…。
 どうやら、船には車両や航空機(こうくうき)とは異なり、一(せき)ずつ固有の名前が与えられることが多いそうなのです。

 

M先生
M先生

私は自分の自転車に名前をつけていました…。
緑色だったから「みどりちゃん」という名前だったのです。
みんなは乗り物に名前つけてますか?

緑の自転車に乗ったクマ

 

 実は、日本に船籍(せんせき)を持つ船は、船舶(せんぱく)法により、船の名前と船を停泊(ていはく)させておく港を役所に登録する必要があるのだそうです。(船籍(せんせき)って私たちでいうところの戸籍(こせき)と似ていますね。)
 ですから、日本に存在する船は、すべて名前がある、ということになります。

 

〇〇丸

 日本では、「日本丸」のように、名前の最後に「丸」がつく船が多いそうです。
なぜ、「丸」をつけることが多いのか…には諸説あるそうですが、自分のことを「麿(まろ)」と呼んでいたものが、飼っている犬や刀などの愛するものや大切なものにつけられはじめ、やがて船にもつけられるようになった、という説もあるようです。

日本の船の名前の多くに「丸」が付くことから、海外では日本船のことをマル・シップ(Maru-ship)とも呼ぶそうですね。

マル・シップ

 

M先生
M先生

ヘイアンチョウ妖精(ようせい)界の貴族(きぞく)の子が登場するアニメーションの主人公も、おじゃる丸という名前でしたね…。
忍者(にんじゃ)学校に通う少年にも「切り丸」くんがいたような…。

 

戦艦(せんかん)の名前の由来

 

 現在、船の名前は漢字だけではなく、カタカナやひらがなで書かれたものも多いようですが、第二次世界大戦中、戦艦(せんかん)の名前は漢字でつけられていたものが圧倒的であったようです。

 

みんなが知っている戦艦(せんかん)

有名なのは「戦艦大和」でしょうか。『男たちの大和』とか『アルキメデスの大戦』とか…映画にもなっていますね。
宇宙戦艦ヤマト』というアニメーションもありました。

 

 
 どうやら、戦争中、日本中の「勝つぞ」というやる気、士気(しき)を高めることを目的に、大日本帝国海軍は艦艇(かんてい)の名前に旧国名、山名、河川(かせん)の名前を使用したそうです。

例えば…

艦艇の種類  名前の由来      どんな艦艇(かんてい)
戦艦(せんかん)国の名海戦の主力となる船。
巨大な艦砲(かんぽう)堅牢(けんろう)装甲(そうこう)を備える。
各国の軍事力の象徴でもあった。
小回りはきかないので、小回りの()く船に
護衛してもらう必要があった。
現在、戦艦(せんかん)を持っている国はない。
航空母艦(こうくうぼかん)山岳名航空機(こうくうき)を多数搭載(とうさい)し、海上での航空(こうくう)基地の
役割を果たす軍艦(ぐんかん)空母(くうぼ)とも呼ばれる。
一等巡洋艦

二等巡洋艦

練習巡洋艦(練習巡洋艦)(にとうじゅんようかん)(いっとうじゅんようかん)
山の名

河川(かせん)の名前

神社の名前
速度と攻撃(こうげき)力のバランスをとった、
比較的小型の船。
一等駆逐艦


二等駆逐艦(にとうくちくかん)(いっとうくちくかん)
天象(てんしょう)、気象、海洋、
季節に関係のある名

植物名
攻撃(こうげき)防御(ぼうぎょ)よりもスピードに重きを
置いた、一番小回りのきく船。
戦艦(せんかん)輸送(ゆそう)船など、自分では
あまり早く動けない船の護衛(ごえい)に使われた。
艦艇の種類とその名前の由来

 

などなど……船の種類によって名前を変えていたんですね。

明治天皇の意向(いこう)で「人名は()けるように」というお(たっ)しがあったから、こうした山や川などの用語が使われることになったようです。

 

なぜ名前をつけるのか―

 

 みなさんも何かに名前を付けた経験はあるでしょうか。
友達にあだ名をつけることもあったりするでしょうか。名前をつけることで、「自分にとって、たった一つの大切なもの」になりますよね。
愛情が湧くような、そんな気がします。その分、名前には願いがこめられているようにも思うのです。

 艦艇がどんな役割を持っているものであったのか、によっても、どんな名前がふさわしいか考えるヒントになっていたかもしれませんね。

 
 ちなみに2016年に公開された、『この世界の片隅(かたすみ)』というアニメーション映画でも、少しだけ船のはなしが出てきました。

 

お話しの舞台は広島県呉市。呉市で戦艦大和は作られていました。
当時、大日本帝国の期待を一心に受けた艦隊とされていました。
なんといってもそのサイズは史上最大の巨大さであったといいます。
名前の「大和」とは、日本を意味する古い呼び方ですから、それだけ自信満々に海原に送り出された船だったのでしょう。


 

 

M先生
M先生

日本の財力も知識も()しみなくこの軍艦(ぐんかん)開発にあてられた、とも聞きます。
戦争がどのように成り立っていたのか、どういうひとりひとりの生き方があったのかを知ることもとても大切な学びですね。

艦艇(かんてい)の名前―それぞれの由来とエピソード

いくつか実際に船の名前を見てみましょう。
※ ですが、ここでは艦艇(かんてい)詳細(しょうさい)情報は(はぶ)き、あくまで「名前」に注目していきます!

日本の戦艦(せんかん)

大和(やまと)

 

 日本の古称・雅称(がしょう)
 ヤマト王権が大和(やまと)と呼ばれる地(現在の奈良(なら)県内)にあったことに由来します。
語源(ごげん)には諸説あるとされ、「山のふもと」の意味だと言われたり、もともとは「山門(やまと)」で山に神が宿るとみなす自然信仰の拠点(きょてん)であった地名が国名になった、とする説もあります。邪馬台国(やまたいこく)の「やまたい」が「やまと」になった、という人もいます。

 

 

扶桑(ふそう)

 

 中国伝説で東方のはてにある巨木のこと。その巨木の生えている土地を扶桑(ふそう)国といいます。中国で日本のことを「扶桑(ふそう)」と呼ぶことがあったそうです。

 

 

伊勢(いせ)

  

 現在の三重(みえ)県の大半を指します。伊勢神宮鎮座(ちんざ)の地として古くから栄えてきました。伊勢神宮(いせじんぐう)は、明治時代から太平洋戦争前までの期間、すべての神社の上に位置する特別な神社とみなされてきたそうです。

日本の戦艦のこと__(せんかん)

 

M先生
M先生

日本を表す呼び名、日本を象徴的に示すシンボル、みたいなものがいろいろあるんですね。
日本といっても細長い島国。
日本に暮らす人々がどんなふうに気持ちをひとつにしようとしたのか、実際のところどうだったのか…も、いろいろな考え方や理解があるようです。
どうして、みんながそれぞれ「私は日本人」って思えるようになったのか、は素朴(そぼく)に不思議ですよね

 

日本の航空母艦(こうくうぼかん)

赤城(あかぎ)

 

 群馬(ぐんま)県前橋市の赤城山(あかぎやま)にちなんで命名されました。
この赤城山(あかぎやま)には伝説があるそう。
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 日光市の男体山(なんたいさん)の北西にある戦場ヶ原(せんじょうがはら)で、男体山(なんたいさん)の神様と赤城山(あかぎやま)の神様がそれぞれ大蛇(だいじゃ)と大ムカデになって戦い、男体山(なんたいさん)の神が勝利をおさめた、という言い伝え。赤城山(あかぎやま)の北にある老神(おいがみ)温泉の地名は、このとき落ちのびた神が追われてやってきたことに由来するといわれ、「アカギ」という山名も神が流した血で赤く染まったことから「赤き」が転じて赤城山(あかぎやま)になったともいわれる。戦場ヶ原で負けた赤城山(あかぎやま)の神は老神(おいがみ)温泉で傷をいやし、男体山(なんたいさん)の神を追い返したという。

 

鳳翔(ほうしょう)

 

 (ほう)(はね)を伸ばして上空を飛び舞うという意味。
実は、鳳凰(ほうおう)手塚治虫(てづかおさむ)の『火の鳥』という漫画(まんが)作品にも同じようなキャラクターがでてきます。
 鳳凰の正体は、中国神話の伝説の鳥、霊鳥(れいちょう)です。日本以外にも東アジア全域にわたって装飾(そうしょく)やシンボル、物語・説話・説教などに登場します。

 皆さんの身近なところでは、一万円札にも描かれていますね。また、10円玉に描かれている平等院鳳凰堂(びょうどういんほうおうどう)の屋上にも鳳凰(ほうおう)がとまっているのです。
日本のお金のデザインは日本銀行のホームページで確認できます。

 

蒼龍(そうりゅう)

 

 四神(ししん)の一つ。青龍(せいりゅう)の別名。
 四神(ししん)とは、中国の神話、天の四方の方角をつかさどる霊獣(れいじゅう)のことをいいます。

 東は青龍(せいりゅう)(青いドラゴン)、南の朱雀(すざく)(あか)い鳥)、西の白虎(びゃっこ)(白いトラ)、北の玄武(げんぶ)(へび)がまきついたカメ)が四神(ししん)
(こふん)

 

白虎
朱雀
玄武
青龍

 

 この航空母艦の名前は「蒼龍」。「青」ではなく「」という字を使っているのが印象的ですね。
」という漢字には「くさかんむり」がついていますが、そのことからもともとは、「草の青さ」「草が青く茂る様子」を示すような言葉のようです。
現代の日本語では「青」という漢字は、英語でいうブルーを意味することが多いそうなのですが、「青」のもともとの意味は青山・青林のように緑色植物の色を指すことが多いそうで、そういった背景にも由来しているよう。

この四神(ししん)奈良(なら)明日香(あすか)村のキトラ古墳のなかにも描かれたとニュースになっていたりもしました。

 ところでみなさんは、「白虎隊(びゃっこたい)」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
幕末、今の福島(ふくしま)県あたり、会津(あいづ)藩が新政府軍と戦争(会津(あいづ)戦争)になった際、会津(あいづ)藩で編成された部隊に、四神(ししん)に由来した、玄武(げんぶ)隊(50歳以上)、青龍(せいりゅう)隊(36~49歳)、朱雀(すざく)隊(18~35歳)、白虎(びゃっこ)隊(17歳以下)が組織されたそうです。
 特に白虎(びゃっこ)隊は若いメンバーで構成されていたこともあり、悲しい歴史として物語やドラマとして語り継がれています。

 

 

M先生
M先生

2013年のNHK大河ドラマ『八重(やえ)の桜』は、会津(あいづ)も舞台にした物語でしたね。
そして四神がさまざまな場面で登場し、大事にされてきたことが分かります。

 

千歳(ちとせ)

 

 七五三(しちごさん)のときに棒状(ぼうじょう)(あめ)を食べたことがある、という人は多いのではないでしょうか。あの(あめ)の名前を知っていますか?
千歳飴(ちとせあめ)」です。「千歳(ちとせ)」という言葉は、千年、長い年月を意味します。「(つる)は千年、亀は万年」の言い伝えにも(ちな)んだ縁起(えんぎ)の良い言葉なのです。

千歳飴

 子どもの成長と健康を祝う七五三(しちごさん)千歳飴(ちとせあめ)は、今まで無事に成長したことへの感謝とこれからの将来と長寿(ちょうじゅ)を願う意味が込められているのですね。
長い棒状の(あめ)、というのも、「長寿(ちょうじゅ)」にあやかっての形です。
おいしいだけでなくて、そんな願いが込められた(あめ)だったんですね。

日本の航空母艦のこと(こうくうぼかん)(せんかん)

 

M先生
M先生

なんだか武勇伝(ぶゆうでん)とか(いさ)ましいエピソードが目立ちましたね。
日本の山にはいろいろな伝説が残っているのもなかなか面白いです・・・!
でもいろいろなエピソードが日本独特のものとは言い切れず、中国など近くの国々とも共有してきた大切な神話や信仰心があったのだなあ、と感じますね

 

日本の重巡洋艦、軽巡洋艦(けいじゅんようかん)(じゅうじゅんようかん)

青葉(あおば)

 

 京都(きょうと)府と福井(ふくい)県の間に位置する青葉山(あおばやま)から(ちな)んで名づけられています。
若狭富士」(わかさふじ)異称(いしょう)を持つ山です。東西二つのピークを持つ山として知られています。

 崇神天皇(すじんてんのう)古墳(こふん)時代の第10代天皇といわれている。『日本書紀(にほんしょき)』にも登場)の時代に、天皇の命令で丹波(たんば)の国(現在の京都(きょうと)府、兵庫(ひょうご)県、大阪(おおさか)府の交わるあたり)を訪れた彦坐王(ひこいますのみこ)という王子が、玖賀耳之御笠(くがみみのみかさ)を討ったという伝説がある。
 …この難しい漢字の玖賀耳之御笠(くがみみのみかさ)なるものの正体とは…土蜘蛛(つちぐも)の化け物だそうです。

土蜘蛛
M先生
M先生

ひぃぃぃ。また出た。ばけもの!

 

妙高(みょうこう)

 

 新潟(にいがた)県の妙高山(みょうこうさん)(ちな)んで命名されています。
妙高山(みょうこうさん)は日本百名山にも数えられる、「越後富士(えちごふじ)」の異称(いしょう)を持つ山。この山にも何か伝説はないのかしら?と探してみました。

 どうやら勝負ごとに関連する伝説はうまく見つけられなかったのですが(見つけたらご報告します!)、妖怪(ようかい)たちがたくさん出没(しゅつぼつ)する地域として知られていたりもしたようです。
妖怪(ようかい)は、人々に(わざわ)いをもたらす存在として恐れられもしたのですが、とくには恵みをもたらす存在としてもあがめられてきた、といいます。

 妖怪(ようかい)出没(しゅつぼつ)について書かれた本として橘崑崙(たちばなこんろん)が著した『北越奇談(ほくえつきだん)』や鈴木牧之(すずきぼくし)の『北越雪譜(ほくえつせっぷ)』は越後(えちご)新潟(にいがた))の二大奇書(きしょ)として有名。
 この二つの書に共通して書かれていたのが「山男(やまおとこ)」の存在だとか。
身長は6(しゃく)(約180㎝)、赤い(かみ)と灰色の肌で牛のような声を出し、(しゃべ)らないものの人間の言葉を理解できたそう…。

 

M先生
M先生

うーん。ちょっとドキドキしてしまいますね。

 

 新潟(にいがた)公式チャンネルで林修(はやしおさむ)先生が『北越雪譜(ほくえつせっぷ)』について解説している動画もありました。

 

 

利根(とね)

 

 関東地方を流れる利根(とね)川から(ちな)んで名づけられた。
 利根(とね)川は、大水上山(おおみなかみやま)を水源として関東地方を北から東へ流れ、太平洋に注ぐ一級河川(かせん)河川(かせん)の規模は日本最大級で、日本の首都(けん)の水源として国内の経済活動上、重要な役割を果たしています。

 「坂東太郎(ばんどうたろう。“東国にある日本一の大河”)の異名(いみょう)を持つ日本三大暴れ川の一つ。(他の二つは筑後(ちくご)川(筑紫次郎(つくしじろう))、吉野(よしの)川(四国三郎(しこくさぶろう)))
 “名前”をつけていた、にしても、「暴れ川」というくらいです。本当に乱暴者で数えきれないくらいの水害が発生していたといいます。

 

M先生
M先生

川に太郎君、次郎君、三郎君と名前を付けてたのですね!

 

 

球磨(くま)

 

 熊本(くまもと)県の球磨(くま)川にちなんで命名されている。
熊本(くまもと)県南部の人吉盆地(ひとよしぼんち)貫流(かんりゅう)し、川辺(かわべ)川をはじめとする支流(しりゅう)(あわ)せながら八代平野(やつしろへいや)に至り、不知火(しらぬい)不知火海(しらぬいかい))にそそぐ一級河川(かせん)熊本(くまもと)県内最大の川で、最上(もがみ)川・富士(ふじ)川と並ぶ日本三大急流の一つ。

 語源は不明とされているが、1772年に(あらわ)された『肥後日誌(ひごにっし)』は、

  この川水は九万他により落ち入る。故に九万川と称すとも云う

と記録が残されているそうです。
「九万の支流を持つ川」としての意味も持つのかも、とされています。

 ちなみに不知火とは、夜間の海上にたくさんの光が点在し、ゆらめいて見える現象を意味する言葉。
今では蜃気楼(大気の温度差が原因で生まれる、遠くの景色が伸びたり反転したりして実際とは違う景色に見える現象のこと)の一種と理解されているそうですが、かつては怪火(かいび)とされ恐れられていたとも言います。
近づくと遠ざかるものとされ、竜神の灯火とも呼ばれたそうな…

 

M先生
M先生

蜃気楼(しんきろう)の一種、と分かってはいながらもやはり神秘的‥不思議、と感じる人が多いらしく、今も「不知火(しらぬい)・海の火祭り」というお祭りも開催されているそうですよ。

 

 

阿賀野(あがの)

 

 新潟(にいがた)県と福島(ふくしま)県を流れる阿賀野(あがの)川から(ちな)んで命名された。
福島(ふくしま)県・群馬(ぐんま)県に源流を持ち、新潟(にいがた)県を流れ日本海にそそぐ日本の河川(かせん)

 阿賀野(あがの)川は、古来から周辺地域に豊富な水量で豊かな恵みを与えてきた川として知られていましたが、戦後、高度経済成長期に工業廃水(はいすい)によって水質が汚染されてしまいます。
四大公害病として知られる新潟水俣病(にいがたみなまたびょう)です。
新潟(にいがた)県立環境と人間のふれあい館のホームページでも、新潟水俣病(にいがたみなまたびょう)について丁寧(ていねい)に説明がされています。

 阿賀野(あがの)川は信濃(しなの)川とともに、広大な新潟(にいがた)平野を作った河川(かせん)としても知られています。

日本の巡洋艦について(じゅんようかん)

 

 

 

M先生
M先生

日本を代表する大きな山や川など、暮らしの中でその存在を無視できないような山や川の名前を船に名付けていたみたいですね。
それだけさまざまなエピソードや神話が登場します。
人々の暮らしに身近で、本当にとなり合わせにあるものであったから、戦後の公害病などを引き起こす原因になったともいえるかもしれません。

 

日本の一等駆逐艦(いっとうくちくかん)

睦月(むつき)

 

 旧暦・陰暦(いんれき)の1月を指します。
もともとこの言葉の意味・由来・語源にはいくつかの説があるそうですが、もっとも有力なのは睦び月(むすびつき)が「睦月(むつき)」に転じたというものだそう。
仲良くすること・仲睦(なかむつ)まじいこと、互いに親しみあうなどの意味を持つ「(むつ)び合い」の(うたげ)を、お正月に家族や親族が集まる月に行うことが由来だそう。

 

白露(しらつゆ)

 

 (つゆ)を美しく表現した言葉で、草の葉の上に乗って光っている(つゆ)水滴(すいてき)のことを指します。
「白(しら)」は、清らかさを強調しています。

小倉百人一首の第37番には文屋 朝康(ふんや の あさやす)が読んだ句として、

  白露に 風の吹きしく 秋の野は つらぬきとめぬ 玉ぞ散りける

があります。

 

陽炎(かげろう)

 

 春の季語としてしられています。
気候条件から夏に多くみられる現象です。常に変化してできては消えるその様子から、とらえどころのないもの、はかないものの例えとしても用いられます。
 
万葉集に収められた作者不詳の短歌には、

  今さらに雪降らめやもかぎろひの燃ゆる春へとなりにしものを

などがあります。

 

日本の一等駆逐艦について(いっとうくちくかん)

 

M先生
M先生

大和言葉(やまとことば)として知られるような言葉も多く船の名前として名付けられていたようです。
(みやび)な雰囲気、(ひび)きを持つ言葉で、そうした表現をかつての日本人も愛していたからこそ、名前に名付けたのでしょう…。

 


 艦艇(かんてい)の名前を通じて、その言葉のバックグラウンドを追いかけてきました。

 それぞれの名前に秘められた想いに注目することは、その言葉の意味や成り立ち、それだけではなく信仰や人々が心のよりどころにしてきたものの考え方や暮らしぶりにまで発展していく可能性もありそうです。
同時に、戦争の歴史は冷静に学んでいかなくてはなりませんね。

 

M先生
M先生

家庭教師をしていたとき、当時中学2年生だった男の子が、艦艇(かんてい)の名前がおもしろい!と教えてくれました。
船の種類で名前が違うこと、山岳(さんがく)河川(かせん)に由来する名前が付けられていることなどなど教えてもらって、私も興奮しました。
それで、今回の企画に至ったわけですが、みなさんのほうが詳しいかも…
新たな発見、豆知識、大募集です!!!

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  1. 白衣博士 より:

    M先生、ご苦労!
    でも、実は軍艦の命名基準は、ちょっと違っているんじゃよ。
    駆逐艦、一等巡洋艦(重巡)、二等巡洋艦(軽巡)はそのとおりじゃ。
    ちなみに重巡は機動艦隊の護衛など重要な任務についていたから、知っているチビッコも多いじゃろう。戦艦を出し惜しみした太平洋戦争初戦では大活躍じゃったな。
    軽巡と駆逐艦は掃海艦隊の主力で、かの戦艦大和が率いる最後の悲劇の艦隊の主力じゃった。

    で、その戦艦の名前は、「日本の旧国名」からつけられていたんじゃよ。今の都道府県名は、江戸時代より昔は、国と呼ばれて、独自の名前があったんじゃな。名戦艦として世界のビッグ7とされ、連合艦隊の旗艦を務め、最後まで生き残り大戦の悲劇の象徴となった、戦艦・長門ほか、戦艦・陸奥も旧国名じゃ。先日、水中撮影された戦艦・武蔵もそうじゃな。
    だから戦艦・大和は、旧国名の大和、つまり今の奈良県なんじゃよ。もちろん古い日本の呼び名もイメージしてのことじゃろうがな。なぜ奈良県がそんなに重要な名前だったのかは、M先生や社会の学びのナビゲーターが教えてくれるじゃろう。

    で、航空母艦の名称は、「空を飛ぶもの」から取られているんじゃ。世界初の第一機動部隊の主力「蒼龍」「飛龍」は飛ぶ龍、世界初の機動艦隊どうしの交戦を体験し甚大な被害を受けた「翔鶴」や、「瑞鶴」は鳥のイメージじゃな。

    でも「真珠湾奇襲攻撃」の南雲機動艦隊の旗艦は「赤城」でしょ?、とか、僚艦は「加賀」でしょ?と疑問に思うチビッコも多いじゃろう。
    わかっとるよ!
    実は「赤城」、「加賀」とも、元々は別の軍艦として建造され命名されたんじゃ。しかし、戦争で航空機が主力になってきたため、慌てて変更されて完成したんじゃな。だから、命名基準どおりではあるんじゃよ。本当は!
    もともと、どんな軍艦として完成される予定だったのか、みんなも考えてみよう!

    まあこのあたり、旧日本海軍が、どれほど空母を軽視していたか、あらわしとるのかもしれんのう・・・いずれにしても、もうこんな軍艦は作らなくてもいい時代が来るのが一番じゃな。

    • M先生 より:

      白衣博士!!!
      めちゃくちゃ勉強になりました…!
      そうか。日本の旧国名っていうのは、藩名みたいなものがイメージに近いのですね‥‥確かに自分の故郷の名前が船についていたりとかしたら、俄然士気もあがっていたのかもしれないです‥。廃藩置県(はいはんちけん)とか、廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)とか明治維新の頃に反対や抵抗もあったと聞いたこともあるけれど、そういう国民感情への対応も関連していたのかもしれない…?
      ちなみに明治維新のときに政府軍と争った、それこそ会津などの名前はやっぱり採用されなかったのでしょうか…?その当時の日本の政権についていた政治家たちがどんな人達だったのか、にも依るのかなあ…。もはや「国語」の領域ではなくなりつつありますね汗。
      そして、航空母艦は「空を飛ぶもの」で例外はもともと違う艦艇になるはずだったものの”おさがり”みたいなものだったんですね…。なるほど…今更ながらものすごい納得…。

      なんだか、たかが「名前」なのだけど、されど「名前」で、どんどん”なるほど”がひろがっていくのがものすごく面白いです…!

      ぜひ、またみんなが知っていることも教えてほしいです~!
      白衣博士、ものすごい勉強になりました!ぜひまた教えてください~ありがとうございます!

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