インクルーシブ教育・特別支援教育の先生方へ

さんかくすと文がえます

 今もなお、収束の予測がつかない状況を前に、(ほん)走してくださっている先生方、本当にありがとうございます。子どもたちに想いをかけてくださっている先生方だからこそ、この現状に“やるせなさ”や“もどかしさ”を感じていらっしゃるのではないでしょうか。

 私たちは、大学の障害学生支援などに(たずさ)わる過程で、インクルーシブな社会について考えてきました。2016年に障害者差別解消法が()行され、高等教育機関にも、だんだんと障害のある学生が入学してきました。そうした一連の大きな社会の流れは、障害のある子どもたちを、どれほど勇気づけたことでしょうか。障害があってもなくても、共に学べる環境を考え続けてきた私たちにとって、障害があっても、なくても、ともに生きていける社会を考えることは、重要なミッションでありつづけました。障害があってもなくても、ともに社会の問題に向き合う機会があるからこそ、気づかされるものがあり、その解決のために魂を()けて働くことができるのだと思います。

 今回のCOVID-19の流行は、そうしたエンジンが掛かりはじめた機運を損ないかねない、という意味での、学びの危機―Learning Crisisだと、私たちは考えています。私たちが、“共にある”からこそ学ぶことができるのだとしたら、「学校」という場所は、子どもたちにとっての、まさに“学ぶ”場そのものです。先生方が感じる“やるせなさ”や“もどかしさ”は、学校だからこそ学べるものがあり、オンラインでは代替(だいたい)できないものがあるはずなのに、子どもたちの命をまずは優先しなければならない、という板挟みにあるからなのではないでしょうか。学校での“学び”が断絶されてしまうかもしれない、今、この時、私たちは、その断絶をどうしても食い止めねばならないと思います。それは、私たち、すべての大人に()せられた責任であるようにも感じます。

 今回、立ち上げられたCounter Learning Crisisプロジェクトは、子どもたちにとっての本当の学びを()やさせないために、できうる限りの力を尽くすために始められました。今、先生方は、まさにオンライン授業を始めることや、その他あらゆる手を模索していらっしゃることと思います。私たちは、子どもたちが家庭にいる間、どのようにしたら学校で得られるような“学び”に代わるような応急処置ができるか、考え、提案していくことを目指します。このホームページは、オンラインで対応できることを模索するページと、オンライン授業では代替(だいたい)できないような種の学び―学校で過ごすことができるからこそ得られる学びを、どうにか再現できないか模索し、提案したページで構成されています。私たちがした提案は、たたき台であって、もっといろいろな可能性や探索をしていくことができるとも信じています。そのためには、日ごろ子どもたちと真摯(しんし)に向き合われてきた先生方のお力をお借りすることがどうしても必要です。

 長期化する休校は、たとえ解除されたとしても、すぐに元どおりになることはないでしょう。この大変な時ですが、自宅にいても、学年別など制限の多い登校しかはじめられなくても、先生方のご努力が、子どもたちの“学びの灯台”として、明るく照らし続けるものであることを、私たちもその一助となれますことを、願っております。


津田塾大学「まなキキ」プロジェクト
「学びの危機」(Counter Learning Crisis) 研究会

メッセージ

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  1. 岡 典栄 より:

    聴覚障害対象のページが網羅している情報の多さ、幅の広さに圧倒されました。必要に駆られて、字幕付けなどどんどん様々な方法が出てきていますが、これだけ集約されているのはすごい。他のページもどれもすばらしく、こんなに早く、デジタル時代の学びのヒントが凝縮されたページができているなんて、感動です。エッセンシャルワーカーに対するのと同じ感謝を送ります。追記:明晴学園のサイトもご紹介いただきありがとうございます。

    • テックチーム TsudaIES より:

      >岡先生 ご覧くださっただけでなく、身にあまるコメントまでくださり、大変恐縮です。明晴学園のご活躍は、うちのスタッフ・学びのナビゲーターもたびたび拝見しておりますし、これからも講演会・勉強会などで学ばせていただきたく思います。今後、「学びのナビゲーター」ページでも日本手話を取り入れた企画を考えてたいと希望が出ています。その際にはぜひ、ご指導いただけますと幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。(代表・柴田邦臣、事務局長・松崎良美)

まなキキ・プロジェクト、通販&SNSもやっています
「学びの危機」:Counter Learning Crisis Project -学びづらさに向き合う子どもたちの「学びの灯」のために-
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