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はじめまして!まなキキ社会科担当のたじみです。この記事では、「子どもたちの居場所」をテーマにしています。
新型コロナウイルスによる自粛生活が続く中、学校でも家でも自分の居場所を見出すことが難しい子どもたちの存在が指摘されています。もしかしたら、まなキキのページに遊びに来てくださってる皆さんの中にも、「学校と心の距離を感じる」「家の外に居場所がない」とモヤモヤした気持ちを抱えている方がいらっしゃるかもしれません。この記事を読んで、「学校以外にもこんな場所があるんだな」と思っていただければうれしいです!
「子どもの居場所」とは?
「子どもの居場所」ってそもそもどんなところなのでしょうか?貧困問題を研究している社会学者の湯浅誠先生は、「子どもの居場所」というものについて、子どもたちを中心とする集団を指し、孤立防止といった公共的機能を担う場所と説明しています。そして、「子どもの居場所」が提供するものとして、4つのことを紹介しています。
1. 栄養や知識
カロリーやビタミンといった栄養、漢字や算数の知識のこと。こども食堂や学習支援塾では、この栄養と知識が提供されています。どちらも、生きていくうえで欠かせないですね。
2. 体験(交流)
一緒に遊ぶ、みんなでご飯を食べるといった、「普通」の子どもたちなら親が提供する体験を、代わりに地域や団体が提供すること。親や学校の先生と異なる、第三の大人との交流もこの体験に含まれます。
3. 時間
「子どもの居場所」に来る子どもたちに対し、「自分に関わり、自分を見て、自分に声を掛けてくれて、自分の話を聴いてくれる時間」を提供すること。他の子どもたちや大人が自分を大切にしてくれる時間を提供することで、人とのつながりを生み、「子どもの居場所」以外にもつながりを広げていきます。湯浅先生は、「子どもの居場所」が提供するものの中でも、時間を「居場所の核」を形成するものとして最も重視しています。
4.生活支援
「子どもの居場所」を訪ねた子どもたちが何らかのサインを発した時に、それをキャッチして専門支援・サービスにつなげること。生活支援を表立って掲げると、かえって子どもたちは利用しにくくなってしまうため、必要に応じて支援につなげることが大切なんだそうです。
湯浅先生は、「子どもの居場所」では何ができるのか、それが子どもたちにどのようなメリットがあるのか紹介していますね。
でも、どうして「子どもの居場所」という考えが誕生したのでしょうか?
それには、児童福祉法という法律に基づく「子どもの福祉」が大きく関わっています。全国社会福祉協議会のホームページをお借りしながら見ていきましょう。
わが国において、さまざまな問題から家庭で暮らすことのできなかったり、厳しい家庭環境にあったりする子どもたちの生活や発達、自立を支援するために施設サービス(児童養護施設、乳児院、母子生活支援施設、障害児施設等)が実施されています。(中略)これらの福祉サービスは、児童福祉の基本法である「児童福祉法」に基づき、行われています。
社会福祉法人 全国社会福祉協議会「子どもの福祉」
「児童福祉法」は、1947年に社会福祉制度を保証するものとして制定され、以後子どもの福祉はこの「児童福祉法」を元に発展します。ところが、子どもの福祉を取り巻く環境も、時代と共に大きく変化し、その対応を迫られるようになります。
しかし、今日の子どもと子育て家庭をめぐる社会環境は、大きく変化し、その課題も急速に広がり、一層複雑化しています。そのひとつの課題が、地域における多様化する保育をはじめとする子育てへの支援ニーズです。(中略)子どもの福祉を推進するためには、子どもを中心に据えつつ、子育て家庭を社会全体で支えていく「子ども家庭福祉」の観点から施策を充実させるとともに、社会参加や地域づくりを進めていくことも重要です。児童相談所等の行政機関や児童福祉施設、民生委員・児童委員、学校などの関係者はもちろんのこと、地域住民やさまざまな関係者が参加し、協働することが求められています。近年、「子ども食堂」や「子育てサロン」などが広がりつつありますが、こうした地域福祉実践には、そうした地域における協働を促進する役割が期待されています。
社会福祉法人 全国社会福祉協議会「子どもの福祉」
多様化する家庭環境のニーズに応えられるよう、子どもは家庭のみで育てるのではなく、社会全体が育てていくという考えが広がりました。そのため、子どもの成長には行政機関だけではなく、地域住民の参加が求められています。「子ども食堂」を始めとする「子どもの居場所」は、このような「子どもの福祉を社会が担う」という考えに基づいているんですね。
「福祉」は高齢の方たちや障がいを持つ方たちが対象で、子どもは当てはまらないんじゃないかと勝手に思っていました…!福祉という言葉について調べたところ、「特定のだれかだけではなく、『みんなが幸せになれるよう』に取り組む活動や仕組み」という意味で、全ての人々が福祉の対象なんですね。
また、今回の内容から少し脱線してしまいますが、「子どもの福祉」を提唱した全国社会福祉協議会の設立当初の名前は「中央慈善協会」といいます。初代会長はなんと、今年の大河ドラマの主役である渋沢栄一!経済発展だけではなく、福祉の普及にも力を注いだそうです。