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ここまでいろいろな角度から点字のルールを見てきましたね。
私、身近にある点字を少しずつ読めるようになってきました!
読めるようになると、今度は点字を書いてみたくなりますね。
おっ、それはうれしい!
じゃあ、今日は点字を書くための道具を紹介します!
紙に書く道具
点字器(点字盤と呼ぶこともあります)
点字器は定規という板と点筆という針状の道具がセットになっています。
定規の間に紙を挟み込み、点筆で点字を書き込んでいきます。
定規は二枚の板からできており、上側の板には、点字一ます分の四角い穴がいくつも空いています。
下側の板には、点字一ます分の六つの穴の塊が並んでいます。
この二枚の板で紙を挟んで紙を穴の中に押し込むようにして点字を書いていきます。
軽くてコンパクトなので、持ち運びに便利です。
点字は点筆で紙を穴に押し込むように書くので、「書く」ではなく、「打つ」ということが多いです。
それでは、点字器の使い方を動画で見てみましょう。
丁寧に点字の打ち方が紹介されていますね!
肝心なのは、点字器は裏側から点が浮き出るように打つので、実際に読む点字と反転させて打たなくてはいけない、というところですね。
日本語の文章は横書きの時、左から右側へ書きますが、この点字器を使うときに右側から左側へと点字を打っているのはそのためです!
点字器と点字用紙がしっかり固定されているから、誰でも簡単に点字を打つことができそうだなと思いました。
プチプチという音とっても心地よいです^^
点字タイプライター
タイプライターのローラーに紙を巻きつけて、正面についているキーボードを押して点字を打ちます。
以前の記事で紹介した、1から6の点が六つのキーそれぞれに割り振られています。
点を打つキーの他に、改行キー、スペースキー、バックスペースキーがついています。
点字器に比べると手が疲れにくいため、長い文章を書くときに便利です。
また、点字器の場合には、定規から紙を取り外さないと自分が打った点字を読むことができませんが、タイプライターの場合には紙を取り外さなくても、書いた内容を確認することができます。
点字タイプライターにはいくつか種類があります。
この動画ではパーキンスブレイラーという、私も普段使っている機種を紹介しています。
とても重そうな機械だと思いました。
大きさはパンを焼トースターくらいのサイズですね。
6つのボタンとスペースを打つボタンで点字があっという間に打ててしまうところがすごいと思いました!
打ってみたい!
けど持ち運びには向かなさそうですね~。
このタイプライターを使いこなすには、打ちたい点字がどの点で構成されているのか、ちゃんと覚える必要がありますね!修行だ修行だ!
【コラム】点字用紙いろいろ
N川さーん!
私、さっそく点字器で点字を打ってみたのですが、どうしても紙に穴が空いてしまうんです。どうしたらいいんでしょう?
実は点字用紙という専用の紙があるんです。
この紙ならコピー用紙などによりも厚みがあるので、点字を打つときに穴が空きにくいですよ。
でも、あまり分厚い紙だと、点字器で書くときに手が疲れませんか?
点字図書館には厚みの違う点字用紙が売られているので、目的に合わせて使い分けることができます。
例えば、薄い点字用紙は点字を打つときに手が疲れにくいので、点字器でメモを取るときによく使います。でも、書いた点字を何度も読んでいるうちに点がつぶれたり、擦り減ったりしやすいデメリットもあります。
一方、厚手の紙は点字を打つときに手が疲れてしまいますが、書いた点字が長持ちするので、私はタイプライターでノートを清書するときによく使っていました。
なるほど!
今調べてみたら、点字用紙には厚みだけでなく、サイズや色も何種類かあるみたいですね。
他にも、書いた点字を好きなところに貼れるように、シール状になった用紙も売っているんですって!
用途に合わせて紙を使い分ける… 墨字のノート選びともよく似ていますね。
点字を印刷する道具
亜鉛板
点字は手書きだけでなく、印刷する方法もあります。
ここでは、亜鉛板を使った印刷方法を紹介します。
まず、二つ折りにした亜鉛板に製版機で点字を打ち込んで原版をつくります。
次に、原版の間に紙を挟み込み、ローラーで圧力をかけると、原版の点字を紙に写し取ることができます。
原版は一度つくってしまえば何度も繰り返し使えるので、たくさんの人に配りたい資料を印刷するときによく利用されます。
この動画では、「広報北海道」の点字版を印刷している様子を見ることができます。
ローラーにあっという間に吸い込まれて、出てきたときには綺麗に点字が打たれていて、冊子にする場面も手際が良く、なんだかとっても鮮やかな作業工程でした!
亜鉛板の点字が、いわば「型」の役割を果たしているんですね~。
実はこの点字が打たれた亜鉛板は、リサイクルでマグネットなど素敵な製品になっていたりもするんですよ~。
まなキキのことを紹介していただいたこともある「点字毎日」さん!
点字ユーザーにとって貴重な情報源の一つですね!
金属の「版しょうかい」を作ることで誤りがないようにするのですね。
点字毎日の作成の工程、圧巻です!
そしてなかなか分厚い冊子になっていること、お気づきになられたでしょうか??
うーん、大正時代からの発行ということは、かなりの歴史があるんですね。
墨字でも校閲はありますが、それに点字のルールがプラスされての確認作業があるのでさらに大変そうです。
出来上がった分厚い冊子は、作り手の想いの結晶だと感じました。
点字プリンタ
パソコンで作成した点字のデータを印刷する機械です。
墨字のプリンタに比べると、点字プリンタはサイズが大きく、印刷するときの音がにぎやかです。
また、ジャバラ上に一続きなった点字プリンタ専用の紙に印刷することも特徴です。
印刷が終わったら、紙に入ったミシン目にそって1ページずつ切り離し、紙の横に空いた穴にバインダーやひもを通して製本します。
点字プリンタが実際に印刷をしている動画を見つけました!
「カタカタカタカタ」という音が絶え間なく続いていて、ものすごくスピーディーに点字が印刷されている様子がわかりますね。
点字の打たれた用紙が次々と機械から出てくる様子が、まるで製麺機のようです…。
この印刷機、めちゃくちゃお値段が高いんだそうですよ~。
でも点字器やタイプライターで打ち込むのとでは効率にものすごい差がありそうですよね。
墨字ユーザーでいう「プリンタ」に相当するわけですが、なかなか点字ユーザーの自宅に設置、というわけにはいかないのが難しいところですね。
さて、次の動画では先ほどの点字プリンタがどうやって印刷しているのか、プリンタのふたを開けて撮影していますね。一生懸命点字打ち込んでますね!!
読み上げられた音声にそって点字が印刷されているみたいですね。
とてもハイテクに感じました!
読み上げられた文章はそこまで長くはなかったけれども打たれた点字はとても多くみえました。
最近では、紙に直接点字を打ち込むだけでなく、特殊なインクを使って点字を印刷する方法も開発されているそうですよ。
点字情報端末
ここまでは点字を紙に打つ道具を見てきましたけど、そういえば私、N川さんが点字器やタイプライターで点字を打っているところを見たことがありません。
紙に印刷した点字を読んでいるところも、最近は見かけない気がします。
うーん、Sさんの質問はいつもするどいですね。
そうなんです、私の場合、普段はブレイルメモという機械で点字を読み書きすることが多いです。
紙で点字を読み書きするのは好きですが、墨字に比べると点字の資料はどうしてもかさばるんので、データで持ち歩く方が便利なんですよ。
点字情報端末は、ディスプレイに埋め込まれたピンを上下に動かすことによって、点字を表示する機械です。
この機械一台で点字を読み書きできることはもちろん、音声読み上げソフトを搭載していたり、インターネットに接続してチャットやメールができる機種もあります。
私が使っているブレイルメモは、点字でメモをとったり、パソコンから取り込んだ点字図書のデータを開いて読書をすることができます。
他にも、電子辞書やスケジュール帳、ICレコーダーなど機能もあります。
ブレイルメモはスマフォやタブレットの点字版といったところでしょうかね。
墨字使用者の私も、最近ではパソコンでノートをとったり、タブレットで読書をすることが多くなったので、使い方が似ているなと思いました。
実際にブレイルメモをお仕事で使っていらっしゃる方の動画をYouTubeで見つけましたよ!
ものすごい速さでボタンが押されていて思わずスロー再生してしまいました笑
ボタンが押されている「カチカチ」という音が、点字器に負けず劣らず心地よいですね^^
点字の電子手帳、というのがイメージに近いでしょうか??
文字を打ち込む部分は分かりやすかったと思いますが、ディスプレイに相当するのが、キーボード部分の下側にある部分です。
点字がぽつぽつ浮き上がってくるんですね!すごい!
いかがでしたか?
みなさんも身の回りで点字を見つけたら、「これ、どうやって書いたんだろう?」と考えてみてくださいね!