RapとRhymeとPhonics -音の足し算【第3回】

さんかくすと文がえます

英語と日本語の謎

ラッパーが「おかしいぞ」と思ったのは次の2つのようです。

  1. なぜZeebraさんの詩は、すべて母音で終わっていたのか?
  2. なぜ英語は、子音で終わることができるのか?

結論からお話すると、それは「日本語と英語の音の単位が違う」からのようです。

音の単位?なにそれ…?ですが、もう少しzeebraさんのヴァース(詩)の言葉を使わせていただき、説明します。

日本語(Zeebraさんの詩)の場合

例えば「同じ」という言葉に注目すると、おなじ は お(o)な(na)じ( ji) の3つの音でできていました。で、このローマ字で表した部分をよくみると、子音は必ず母音とセットになっています(n+aとかj+iとか)。日本語は「あいうえお」以外はすべて子音+母音で表されます。基本的な音の単位は子音+母音です。日本語の場合、子音は母音がなければ文字として存在することができません。*「ん」の n は除く

英語(Dr. Seussの絵本)の場合

一方、英語は違います。もじこ塾のフォニックス動画で44の音を発音していましたが、それらは基本的に子音の文字単体で音を持っていました。つまり英語の場合、子音は母音がなくても、文字として成立します。ここが日本語と大きく異なるところです。これが、「日本語と英語の音の単位の違い」です。

だから、zeebraさんのヴァース(詩)は、必ず最後が母音で終わっていました。日本語の場合、子音は必ず母音とセットになり、後ろに母音がつかないと文字として成立しないからです<注釈 2>。一方、Dr. Seussの絵本は母音ではなく x で終わることができました。英語の場合は子音単体で文字として成立するからです。うーん、難しい!でも英語は、母音を使わずとも韻がふめるんですね。

今回はラップとライムに注目し、単語をフォニックス分解するということをやってみました。また、そこから日本語と英語の音の単位の違いについて考えてみましたが、いかがだったでしょうか? 英語と日本語は違うとは思っていましたが、根本的な音の単位からかなり違うんですね。

このおじさん(Wes Tank)は、Dr. Seussの他の絵本もラップ朗読をしていて、リズムがとても面白いので、是非ご覧になってみてください。もしもラップ風ではなく、実際のラップや、英語のリズム、韻に興味を持った方がいらしたら、

他にもこんな感じで韻を踏んでいる歌がたくさんありますので、どこが韻をふんでいるかな、フォニックスの音に分解するとどうなるかな、と考えてみると、少しは楽しく英語を学ぶことができるのではないかな、と思います。

こちらのPVには字幕がついています。舞台は東京らしいです。MR. WORLDWIDEとして知られるPitbullは、移民二世で英語とスペイン語を話します(”MR.WORLDWIDE”ってすごいよね)。この歌にも英語とスペイン語を織り交ぜて韻を踏んでいるところがあるので、彼の生い立ちを知ったり、スペイン語の意味を調べてみると、よりこの歌を楽しめるかもしれません。

ここまで3回にわたり「英語の音」に注目して、英語の難しさについて考えてみました。

母音や子音など、まだまだ説明が不足しているところもたくさんあると思いますが「フォニックス」という発音のルールが実はあるんだということを知っていただけると、もしかしたら英語の存在が「無理」だったものから「少しはマシ」くらいになったりするのではないかなあと思い、英語の学び方の1つの方法としてご紹介いたしました。

「無理」よりは「少しはまし」のほうが、まだまだお付き合いは長いと思うので、ストレスも少ないですよね。英語って「できなきゃいけない」みたいなプレッシャーが強すぎて、楽しむことがなかなか難しいし、「自分は英語できないので」と前置きしたりしがちだなと思います。「できなきゃいけない」が当たり前になりすぎているんですね。でも私は、英語ってそういうものではないと思うんです。

「できなきゃいけない」から放たれて、少しでも今まで「わからなかったこと」「知らなかったこと」について知ったり、新たに自分のなかの疑問に気づくきっかけになっていたら幸いです。

K原
K原

今回の内容について、もしもわかりづらかった、難しかったなどありましたら、是非コメントやメールにて教えていただけるととてもありがたいです。

次のページでは、この記事を書くにあたりK原が疑問に思ったことや、注釈を記しています。勉強中の身ですので、よろしければご覧いただき、一緒に英語の難しさについて考えたり、教えていただけますと大変ありがたいです。長くなってしまいましたが、お読みいただきありがとうございました!

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