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本日の紹介者
こんにちは。理科ナビゲーター・デスクのYです。本の紹介がだんだん積み重なってきましたね。ブックリレー・4回目は私が担当します!
K原さんの紹介していた「ハリーポッター」シリーズ。私の周りでは誰もが読んでいたと言えるくらい、大人気の本でした。皆さんは読んだこと、ありますか?私はハリーポッターに詳しくなく、本でも読んでいないのですが、唯一映画で見たことがあるのがK原さんの紹介した「賢者の石」です。ハリーポッターの世界観にはわくわくしたなぁ。
さて、私からは少し短めに、自分の人生で一番好きな作品で、「自分の世界を拡げた」本を紹介します。みなさんとは違ったジャンルの本を持ってきましたよ。
ブラック・ジャック
著者:手塚治虫
出版社:秋田書店
出版年:1993年
ISBNコード:978-4-253-16981-3
概要
手塚治虫という、医師免許を持った漫画家によるマンガです。『鉄腕アトム』『火の鳥』、数年前にアニメ化した『どろろ』なども手塚治虫作品(全部面白いです)なので、名前を聞いたことがある人がいるかもしれませんね。
「マンガ?」と思った人もいるでしょう。実は、図書館にも置かれるような本なのですよ。
主人公のブラック・ジャックは、医師免許を持たない「モグリ」の医者。「天才外科医」と呼ばれ素晴らしい技術力を持つが、彼に手術をしてもらうには法外な費用がかかる-そんなブラック・ジャックがさまざまな人々と出会い、治療をしたり(時にはしなかったり)しながら、物語が進んでいきます。
1話完結の、『週刊少年チャンピオン』という雑誌に連載されていたマンガでした。初めて掲載されたのが1973年。その後、単行本や文庫本になりました。いろいろなバージョンが出ていますが、私が集めているのは秋田書店の文庫本(当時一番安価だったからですね)なので、こちらを紹介します。
本との出会い
保育園の年中の頃です。母が地元の図書館で借りてきていた『ブラック・ジャック』に興味を持ち、こっそり読んでいました。それまで絵本や簡単な本を読んでいた私がはじめて目にした漫画。小さな字に細かな絵、そして「医療」という重たいテーマ。当時の自分にとってはとても衝撃的なものでした。
そこから年長、1年生の間に、お年玉を使って自分で買ったり、誕生日プレゼントとしてお願いしたりして、1冊1冊文庫本を集めました。その後も症例集やクイズ、実在の医者がブラック・ジャックの手術を分析したものまで、購入していましたね。
この本が拡げた世界
ブラック・ジャックにあこがれて、医療に携わりたいと考えていました。高校に入学するころまでは、医者か薬剤師になる!と思っていました。今は、医療の道には進んでいませんが、今もあこがれの気持ちはあります。
また、マンガの良さを知ったのもここからです。(最近はそうでもないかもしれませんが)マンガを読むことを肯定的に捉えてもらえない場合もありますよね。それでも、胸を張って「マンガで学べることがたくさんある」と伝えられるようになったのは、この作品に出会ってからです。手塚治虫の絵にあこがれ、毎朝早起きして絵の練習をしたこともありましたよ。
教科との関連
まず、ブラック・ジャックに出会わなければ理科を好きになることはありませんでした。ここから医学に関心を持ち、生物、化学に関心を広げていきました。特に化学が好きで、新薬開発に携わりたい!と小さなころからよく口にしていました。将来の夢になるくらい、大きな影響を与えてくれた本です。
また、子ども向けに書かれた本ではないので、漢字がたくさん出てきます。それでもふりがなが振ってあったので、自力で読み進めることができました。いろいろな漢字が読めるようになったのも、ブラック・ジャックのおかげかもしれません。
ブラック・ジャック、そして作品に登場する医者は皆、命を救うという行為に対して悩み、考え、時には後悔しながら向き合っています。医者によって判断異なることもしばしばです。
そこから、すべてのものに、必ず正解があるわけではないということ教わりました。その上で、人生という、答えのない問いに立ち向かう勇気をくれる本だと思っています。手塚作品に出会ってから、約20年。何度も何度も読み返す、人生にとって大切な作品の一つです。