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本日の紹介者
こんにちは、国語のナビゲーターを担当しているSです。ブックリレー・5回目は私が担当します!
Yさんの紹介していた「ブラック・ジャック」、私はアニメで見たことがあります。ブラック・ジャックの、人を見て、その人を本当の意味で救おうとする姿は、純粋にかっこよかったです。Yさんのおっしゃていたように「必ず正解があるわけではない」と学ぶことができるのは私も同感です。手術費は小学生の私が想像できないくらいの大金でしたが、ブラック・ジャックの手術なら当然か…と納得していましたよ。愛くるしいピノコちゃんも大好きです!漫画版は読んだことがなかったので、Yさんの紹介を機に、漫画のブラック・ジャックにもふれてみたいなあと思いました!
さて、私が今回ご紹介させていただく本は、思わず夜空に浮かぶ星を眺めたくなる一冊…「星の王子さま」です!
星の王子さま
著者:サン=テグジュペリ
翻訳者:河野万里子
出版社:新潮文庫
出版年:2006年
ISBNコード:4-10-212204-4
概要
パイロットであり作家であったフランス人のサン=テグジュペリによって、1943年に出版され、今なお読み継がれているベストセラーです。
ある日、サハラ砂漠に不時着してしまった飛行士の「僕」は、ひとりの不思議な男の子に出会います。なんとその男の子は、1軒の家よりも少し小さな星から地球へとやってきた「星の王子さま」だったのです。小さな頃、大人の言葉によって夢をあきらめてしまい、次第に子どもの頃の楽しさや探究心を忘れてしまった「僕」に、星の王子さまは大人になっても忘れてはいけない大切なことを優しく語りかけてくれます。
本との出会い
私がこの本を読むきっかけとなったのは、小学生5年生の芸術鑑賞教室(私の通っていた小学校では、「芸術の秋」にちなんで10〜11月に外部の劇団や合唱団などをお呼びして舞台を鑑賞する機会がありました)で、影絵の「星の王子さま」を見たことです。
星の王子さまの素直さと少し儚いラストシーンがとても印象に残り、なんとなく、これから大人になっていく過程でこの本は私の支えになってくれる気がする!と感じました。その後図書館に本を借りに行き、中学生になってから自分用の新書を購入し、最近では、兄に星の王子さまの飛び出す絵本をプレゼントしてもらいました。私は星の王子さまとともに成長してきたと言っても過言ではないです!
この本が拡げた世界
この本を読んで、目に見えていないものを想像するようになりました。たとえば、友情や愛というものは、言葉はよく耳にするけれど、実際に目に見えて確認できるとは言い難いものです。この本の中ではそのことを、「本当に大切なものは目に見えない」と教えてくれます。目に見えているものだけを真実だと思い込むべきではないこと、何事も心の目で見なければ、感じなければ肝心なことはわからないのだということを気づかせてくれました。
また、この本は、たとえ大人になっても、自分の 意識次第で「童心(意味:子どものような素直で純粋な心)」を心の中にもち続けることができるということも教えてくれました。私は少し子どもっぽいところがあって、直したほうがいいのかなあと思っていたのですが、この本のおかげで、「童心」も自分が生きていく上で支えになってくれることがあるのだと思えるようになりました。
この本は明確に答えや考えが書いてあるものではないので、難しく感じることがあると思います。しかし、だからこそ解釈の仕方を自分自身で考えることができると思っています。「本を読んで自分なりに考えて吸収する」そんな世界を拡げてくれた素敵な一冊です。
何度読み返しても、その度ごとに新しい発見・気づき・学びがある「星の王子さま」は、私の人生の教科書です。この本は、これから先も、まだまだ私の世界を拡げてくれると確信しています。
教科との関連
「星の王子さま」は第二次世界大戦中に、サン=テグジュペリが亡命先のアメリカで書き上げた作品です。戦争が激しくなり、命の尊さや生きることについて考え続けた彼が、後世にまで残してくれた貴重な一冊でもあります。
もともとはフランス語で書かれているこの本の日本語訳は、出版社によって異なっています。いろいろな出版社の「星の王子さま」にふれて、自分の心にしっくりくる日本語訳の表現を探してみるのも楽しいですね。
また、先ほどの紹介で難しい部分があると述べましたが、それもそのはず、実は「星の王子さま」は「哲学」の本でもあるのです。哲学とは一言で言うと「考えることを考える学問」です。身の回りの出来事(たとえば、生きること・恋をすること・誰かと仲良くなること・仕事をすること…)について「どうして人を好きになるのかな?」「なぜ仕事をするのかな?」といったように、「なぜ?」という気持ちを大切にして、その出来事について考え、探求し続けることなのです。考えることを考えているので、数学のようにはっきりとした答えは出てこないというのが特徴的です。
星の王子さまは話の中で、私たちがあたりまえに思っている様々なことに疑問を 示し、「なぜ?」「どうして?」と質問することを忘れません。あたりまえをただ受け入れるのではなく、考え続けることの大切さも教えてくれるのです。
※哲学自体について知りたい!という方にはこちらの本もおすすめしておきます。