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記事の概要
先日、3代目の500円硬貨が発行されることがニュースになっていました。
2021年の11月に発行されるとのことなので、皆さんが実際の新しいデザインの500円玉に触れるのも、もう間もなくですね。
2024年からは、一万円札、五千円札、千円札のデザインも変わることが少し前にニュースになっていましたね。
調べてみよう
ふだん何気なく、使っているお金。
たくさんあったら嬉しいし、減っていったら悲しい…。
私たちの暮らしに身近なお金のこと。もう少しちゃんと知っておきたいなあ。
貨幣?紙幣?硬貨?
一言に「お金」とは言っても、いろいろな呼び方があることに気づきました。
法律上の呼び方
日本の法律では、お金のことは「通貨」と呼び、
一万円札や五千円札、千円札の紙幣を、「日本銀行券」、
500円玉、100円玉、50円玉、10円玉、5円玉、1円玉の硬貨を、「貨幣」と呼ぶんだそうです。
この文章の中にも、お金にまつわる言葉がたくさん…
共通して使われているのは、「貨」と「幣」。
せっかくなので、注目してみてみましょう。
- 貨
もともとは「さまざまなものにかえることのできる金銭」という意味。
よくこの漢字を見てみると「化」と「貝」という字でできています。
昔のお金は「貝」だったのです。そのお金として使われる貝が、同じ価値を持つまったく別のものに化ける。金銭はものに姿を変えるので、お金は「貨」と呼ばれるようになったのです。
- 幣
もともとは、紙または布を切り、細長い木に挟んで垂らしたもの:「御幣」を意味していたようです。「御幣」は、神様に神聖な布をお供えするために、竹串などで布を挟んだものなのです。
つまり、「幣」は神様に捧げる大切な布のことだったのです。
大切な布が、やがて通貨の役割も持つようになり、この幣という漢字もお金の意味を持つようになったのですね。
つまり、「硬貨」は硬いお金。
「紙幣」は紙でできたお金、ですね。
「貨幣」は、コインとお札の両方のお金を含む言葉だといえますね。
その他、お金にまつわる言葉たち
- 銭
小さな銅貨。また、貨幣の総称。
漢字の右側にあるパーツは、もともと「戔」という漢字で、この漢字が刃物で物を 削いだり、削ったりするイメージを持っています。「削って小さくする」「小さい」「少ない」というイメージを持つのです。
なので、銭は同じお金でも、小さなものを意味することが多いようです。
「小銭」という表現もあったりしますよね。
どうしよう。お金が一銭もない!!!
しかたないですねぇ……
- 小判
もともと「判」とは「二つに分ける」という意味があります。
「判」という漢字をよく見ると、半分の「半」の字が紛れ込んでますよね。そこに刀の意味をもつ「刂」(りっとう)が加わって、スパーンと切り分けるイメージに。
ここから物事を善し悪しなどを見分ける意味につながるのです。→「裁判」「判決」「判断」
判は、そうして決まったことを記す署名や印のような意味も持ち、通貨の役割も持つようになったのだとか。
猫に小判!
似ていることわざには、
「豚に真珠」、「馬の耳に念仏」なんていうのがありますね。
…さて、どんな意味なのでしょうか?
お金のデザインは
気になる新デザインは?
身近に使うものだから、使っているうちに愛着がわいてくるものですよね。
それぞれどんなデザインになっているのでしょうか??
主に独立行政法人 造幣局さんのページから引用させていただいています。(それ以外の参照資料は最後にご紹介します)
- 1円玉
1955年(昭和30年)に生まれたアルミニウム製。
デザインは一般公募で、表面と裏面それぞれ別の人が考えたそう。
描かれた植物の絵は「若木」。伸びゆく日本を象徴しているのだそう。
1955年は、電気洗濯機と電気冷蔵庫、テレビが「三種の神器」と呼ばれた時代。
今となってはあるのが当たり前、というイメージのアイテムだけど、戦争が終わって10年目。どんどん豊かになっていこうとしていた時代だったのかなあ。
参考:年代流行
- 5円玉
1959年(昭和34年)に生まれた黄銅製。
当時の日本の主な産業が表現されているそう。
よ~く5円玉を見てみてください。「五円」と書かれた面を見てみると、下半分は水(水産業)、そこから伸びて稲穂を垂れているイラスト(農業)、ちょうど真ん中の穴の縁には、歯車(工業)がデザインされています。
その裏側の面には双葉が小さく描かれています。
ここでも、戦争が終わって新しく民主国家になった日本を象徴するモチーフが採用されているんですね。
- 10円玉
1959年(昭和34年)に生まれた青銅製。
立派な建物が描かれていますが、この建物は実在しています。
…京都府宇治市にある平等院鳳凰堂です。平安時代に藤原頼通がこの世に極楽浄土のようすをつくろうとして建てたものだそうで、鳳凰堂には阿弥陀仏の像が置かれ、壁にも阿弥陀仏の絵が描かれているのだとか。
藤原頼通って誰だっけ?と調べてみたら、お父さんが藤原道長なのですね(藤原道長の長男)。
そうです。平安時代に大きな権力を握った、かの藤原道長の息子です。ううむ。
- 50円玉
1967年(昭和42年)に生まれた白銅製。
初代50円玉(1955年/昭和30年)は、今のように穴が空いていたわけではなくサイズも少し大きめだったそうですが、あとからできた100円玉と混同しやすいということから、1967年から穴が空きました。
50円玉には菊の花が描かれていますよ。
菊の花は、日本という国を象徴する花のイメージがありますね(国花)。
皆さんが日本以外の国に出かけるときはパスポートが必要になりますが、パスポートの表紙(国ごとにデザインが違うのです)には、菊の絵が描かれていますよ。
- 100円玉
1967年(昭和42年)に生まれた白銅製。
実は、1967年よりも前に使われていた100円は銀貨だったそうで、銀の価値が上がって、100円玉を作ると100円以上のお金がかかるようになってしまったことから、白銅製に素材が変更になった、という経緯があるそうです。
100円玉のデザインで使われているのは桜の絵です。
100円玉に描かれている桜も日本という国を象徴する花(国花)とされることが多いですね。
- 500円玉【新】
2021年(令和3年)11月誕生予定のニッケル黄銅と白銅、銅の3種類の金属を組み合わせて作られる。
新しい500円玉が生まれる一番の理由は、偽造防止ということのようです。つまり、にせものの500円玉が出回ることを防ぐため。新しい500円玉は2色の色使いの硬貨になるようですよ。
2021年5月時点で用いられている500円玉は、1982年(昭和57年)に誕生していて、その前は硬貨ではなく、紙幣だったそう。
デザインには、桐、裏側の上下に竹、左右に橘と植物が描かれています。
桐という植物は、日本人の暮らしにとても馴染みがあるものだったよう。
よく知られているのは桐のタンス。それ以外にも刀剣や掛け軸などの高級貴重品を収納する箱や、琴や琵琶などの楽器、下駄などの日用品の原料となります。
それ以外にも樹皮は染料になったり、葉は防虫剤になったり、大事に使われたようですね。
竹も日本人の暮らしにとても重要な役割を果たしてきましたよ。
食料としてのタケノコ。おむすびころりんでおむすびを包んでいたのは竹皮。包装物としても役に立つし、竹細工になったり、炭などの燃料になったり、葉もお茶やお薬に使われました。
一方、橘は、日本固有のカンキツ類。みかんの仲間ですね。
葉が肉厚で常に緑色でつややかなことから、永続性と神秘性を併せ持つ植物として不老不死の木と大切にされてきたんですって。
ちなみに、もともと紙幣だった500円が硬貨になった背景には、日本全国に自動販売機が普及して、販売される商品の値段も100円以上になったから、という事情もあるようですよ。
- 1000円札【新】
2024年(令和5年)に誕生予定。
北里柴三郎先生が描かれます。
日本の「近代医学の父」として知られ、感染症予防や細菌学の発展に寄与した人物。裏側には、葛飾北斎の富嶽三十六景として「神奈川沖浪裏」が描かれます。
北里柴三郎先生が貢献したという細菌学の「細菌」ってなんだろう?と思いませんでしたか?
今、私たちの暮らしに大きな影響を与えているコロナウイルスは細菌ではなく、「ウイルス」ですが、細菌とウイルス、何が違うのでしょう?
決定的な違いは「細菌」は生き物で、「ウイルス」は生き物とは言い切れない、というところです。
大衛株式会社の「『細菌』と『ウイルス』の違いについて」という記事の中でも丁寧に紹介されていますよ。
富嶽三十六景とは、江戸時代後期の浮世絵師、葛飾北斎が富士山をさまざまな地形・角度から描いた作品集のことですね。「富嶽」とは「富士山」のことなんですね~。
葛飾北斎は、「水連」の絵で有名なモネや、「ひまわり」で有名なゴッホにも影響を与えた画家です。
「富嶽」…?と思って「嶽」という漢字に「山」のパーツ(やまかんむり)が入っていることに気が付いた人、目のつけ所が素晴らしい。
富士山の「富」に、やまかんむりのついた「嶽」(やまかんむりの下の獄[地獄の獄]は、「ごつごつと角が立つ」という意味をもつ漢字です。やまかんむりが「獄」に加わることで、三角形の形にギザギザしている、高くそびえる山を意味する漢字になるのです。)で、富士山を意味するんですね。
- 5000円札【新】
2024年(令和5年)に誕生予定。
津田梅子さんが描かれています。女子高等教育の先駆者として知られていますね。
1871年、欧米視察の岩倉具視らとともに初の女子留学生としてアメリカにわたります。その後、1900年に女子英学塾(現在の津田塾大学)を創設し、「オールラウンド・ウーマン」を理想に掲げる個性を尊重した全人教育に尽力します。
裏面には、藤の花が描かれています。
実は、学びのナビゲーターの多くが梅子先生にはとりわけの親しみが…。
梅子先生がアメリカに渡ったのはなんと6歳のとき。
「オールラウンド・ウーマン」の「オールラウンド」はall-round。
roundは、ボールのような球体をイメージできるような言葉ですが、360度どこからみても立派な人間を育てていこう、と梅子先生が教育に取り組まれていたことがわかりますね。
藤の花も、日本という国の中で親しみをもって取り扱われてきた植物です。
『万葉集』や『枕草子』などの古典の中でも登場しますよ。
- 10000円札【新】
2024年(令和5年)に誕生予定。
2021年度の大河ドラマでも描かれている、渋沢栄一さんが描かれています。
「日本資本主義の父」とも呼ばれて、明治以降の新しい国づくりに深くかかわった人物ですね。
現在の財務省(国のお金の使い道を管理する機関)となる大蔵省に勤めていましたが、その後、現在のみずほ銀行、現在の東京海上日動火災保険、現在の東京証券取引所など、多くの企業の設立や育成にかかわりました。
裏面には、東京駅が描かれています。
東京駅は、日本近代建築の父といわれる辰野金吾さんによるものです。
「辰野式」と呼ばれたデザインは、赤いレンガに白い花崗岩でラインを描き、屋根に塔や小屋を載せるスタ
イルだとか。
東京駅は1923年の関東大震災でもびくともしなかった丈夫なつくりになっている建物なのだそうです。
花崗岩は、マグマが冷え固まってできた岩石【火成岩】の一つ。
特に、マグマが地下深くでゆっくり冷やされてできた岩石【深成岩】の一種ですね。花崗岩は、白色をベースにした岩石で、淡いピンク色や薄灰色、黒色のつぶつぶがちりばめられた模様をしています。
渋沢栄一さんは、生涯に約500の企業の育成にかかわり、同時に約600の社会公共事業や民間外交にも尽力したのだそうです。
昔のデザインは?
これまでどんなお金が使われてきたんだろう?
…ということで調べてみましたよ!
10000円札には、
- 福沢諭吉と平等院鳳凰堂の鳳凰(2004年~現在)
- 福沢諭吉とキジの絵(1984年~2007年)
- 聖徳太子と彩文(波状線・弧・円などを組み合わせた幾何学模様)(1958年~1986年)
5000円札には、
- 樋口一葉と江戸時代の画家・尾形光琳の「燕子花図」の一部(2004年~現在)
- 新渡戸稲造と富士山(1984年~2007年)
- 聖徳太子と日本銀行(1957年~1986年)
1000円札には、
- 野口英世と富士山と桜(2004年~現在)
- 夏目漱石とツル(1984年~2007年)
- 伊藤博文と日本銀行(1963年~1986年)
- 聖徳太子と法隆寺夢殿(1950年~1965年)
見たことあるかな??
2000円札
- 沖縄の 首里城・守礼門と紫式部(2000年~現在)
500円札
- 岩倉具視と富士山(1969年~1994年)
100円札
- 板垣退助と国会議事堂(1953年~1974年)
- 聖徳太子(1946年~1956年)
50円札
- 高橋是清と日本銀行(1951年~1958年)
10円札
- 国会議事堂(1946年~1955年)
5円札
- 彩文模様(波状線・弧・円などを組み合わせた幾何学模様)(1946年~1955年)
1円札
- 二宮尊徳(1946年~1958年)
- 武内宿禰(1943年~1958年)
- 大黒天(1885年~1958年)
お札の顔となった人物とは、どんな人たちなんだろう?
例えば、アメリカのお金だったら、
1ドル札にジョージ・ワシントン
(アメリカ初代大統領。アメリカ独立戦争で総司令官を務めイギリスから独立を果たす)
3ドル札にトーマス・ジェファーソン
(アメリカ3代大統領、独立宣言の原案を担当)
5ドル札にエイブラハム・リンカーン
(アメリカ第16代大統領。奴隷解放に尽力し南北戦争で勝利)
10ドル札はアレクサンダー・ハミルトン
(アメリカ建国の父と呼ばれるひとり。初代財務長官)
20ドル札にアンドリュー・ジャクソン
(アメリカ第18代大統領。南北戦争の北軍総司令官)
100ドル札にベンジャミン・フランクリン
(気象学者で政治家。雷の正体が電気であることを証明。アメリカ独立革命にも参加し、憲法制定会議にも参加)
…と、国を代表する人たちがお札の顔になっているんですね。
ほかの国も気になりますね!
気になる形
ところで、みなさんは、触っただけでそのお金が何か判断することはできるでしょうか?
硬貨についてはその形や大きさ、穴の有無で判断しているのですね。
異なる材料で作られているので、同じくらいのサイズでも重さが違います。そのことも、その硬貨の金額を判断する助けになっているかもしれません。
お札はどうでしょうか?
実は一万円札、五千円札、二千円札、千円札はそれぞれ少しずつサイズが異なります。
金額が大きくなるほど、お札のサイズも大きくなっているんですね。
なるほど!
サイズが違うことが判断のヒントになるんですね!
でも、お財布の中に一枚しかお札がなかったらどうしたらいいと思いますか?
はっ!
確かに一枚しかお札がなかったらサイズを比較できないから、いくらかなかなかわからないですね…。
そのあたりを動画でわかりやすく紹介してくれているものをみつけましたよ!!
お札の下の角に、千円札は横棒、5千円札は八角形(丸)、一万円札はL字の形が入っている、と説明されていましたね!
お買い物するとき、お年玉をもらったとき、ぜひ触って確かめてみてくださいね!