H松
COVID-19の危機に立ち向かい、日本社会を守っている人たち(エッセンシャルワーカー)の仕事を紹介します。どんな人たちが社会を守ってくれているのでしょうか?
病院で働く人たち
COVID-19(新型コロナウイルス)から社会を守るためには、医療に関わる人たちの力が必要です。どんなウイルスなのか・どうやったら治すことができるかを探ったり、治すために必要な薬を作ったり、その薬を病院に売ったりする仕事が、医療を支えています。またCOVID-19に関わらず、病気の人や動物を治したり、ケアしたりする仕事も続けなければ、命に関わります。医療に関わる人たちは、エッセンシャルワーカーの一人なのです。
病院の中で働く人
お医者さん
COVID-19に感染した人や、病気になった人を治す最前線で働いています。どのような方法が最も適切か、患者さんの状態を見て判断し、治し方を指示します。
看護師さん
医師と協力し、患者さんの病気を治すサポートを行っています。
薬剤師さん
医師が必要と思った薬を調合したり、間違いがないか最終確認をします。みんなに薬を渡すとき、薬の説明もします。私たちがいないと、間違った薬をみんなに渡してしまったり、みんなが複数の病院に通っている場合、今飲んでいる薬の飲み合わせが悪くても指摘する人がいなくなってしまいます。
事務員さん
病院の受付をしたり、診察料金を計算したり、病院の事務作業を担当しています。
救急救命士さん
救急車に乗って、病院まで患者さんを運ぶ間、点滴を打ったり、心臓マッサージをしたりしています。わたしたちがいないと、救急車に乗って病院に行くまでの間、意識の確認や人工呼吸など、応急処置をすることはできなくなります。
歯医者さん
COVID-19が流行しても、虫歯はお休みをしてくれません。COVID-19に感染したくないからといって、虫歯を放置していると、今度は虫歯が悪化して、物を食べられなくなって、大変なことになってしまいます。みんなの歯の健康を守るために、わたしたちは働いています。
助産師さん
COVID-19が流行している中でも、新しい命は誕生します。感染のリスクに立ち向かいながらも、必死に我が子の誕生を待ち望んでいるお母さんがたくさんいます(これは、COVID-19が流行する前の世界でも同じことです)。わたしたちは、そんなお母さんたちを手助けしています。
病院の外で働くお医者さん
在宅医療医さん
お医者さんは病院にいる人、と思われがちですが、実は最近「在宅医療」という新しい治療の形が誕生しています。重い疾患(病気のことです)をもっていても、「やっぱり自宅で家族と一緒に過ごしたい!どうしても病院に入院するのは嫌だなあ……」という人のために、自宅で治療を受けられるというものです。わたしたちは、みなさんのお家にいって、病気と闘っています。
在宅医療医の仕事「医師インタビュー」(こうなんクリニック)
獣医師さん
COVID-19が流行しても、動物がかかる病気はお休みをしてくれません。牛や馬、犬や猫など、身近な動物の病気を治す仕事がお休みになると、病気を治せる人がいなくなって、動物が死んでしまいます。
薬を販売する人
薬屋さん
みんなが、マスクを買ったり、除菌ティッシュを買ったりできるように、お店に商品を並べて売っています。
薬をつくる人
薬をつくる会社に勤めている人
せっかく薬の設計図ができても、薬そのものを作る人がいないと、みんなに薬を届けることができません。わたしたちは、薬を作る工場で働いて、みんなの命を守っています。
マスクをつくる工場で働く人
COVID-19の感染の危険を減らすために、たくさんのマスクが必要とされています。わたしたちはマスクを作ることで、社会を守っています。
ホテルで働く人
ホテルマンのみなさん
比較的軽い症状の人たちに泊まる場所を提供しています。(東京都では、名乗りを上げてくださったホテルを臨時の入院場所にしています)。わたしたちがいるからこそ、病院のベッドが足りなくなることを防げているのです。
生活必需品をつくる仕事
医療に必要な物だけがあっても、食べものや飲みもの、洋服や洗剤など、最低限の暮らしに必要なものがなければ、私たちは生きていけません。生活をする上で、ないと困ってしまうものを生活必需品、と呼びます。それらをつくっている人たちも、エッセンシャルワーカーの1人です。
食べものや飲みものを作る仕事
農家のみなさん
みなさんが食べる野菜を作っています。毎日、畑にいって、野菜の面倒をみながら、育った野菜を出荷しています。
酪農家のみなさん
牛を育てて、みなさんが飲む牛乳や、食べるお肉を作っています。
漁師のみなさん
海で、魚をとったり、育てたりして、みなさんが食べる魚を出荷しています。
化学製品を作る仕事
製紙工場で働く人
スーパーや薬局から、トイレットペーパーがなくなったり、除菌ティッシュがなくなったりしたときがありましたね。わたしたちは、そんなときに、原料の紙を工場でたくさん作って社会を支えていました。
生活必需品を売る仕事
生活必需品を売ってくれる人たちがいなければ、それらを買うことはできません。販売に関わる仕事をしている人たちも、エッセンシャルワーカーなのです。
食べものを売る仕事
スーパーマーケットの仕事
わたしたちの仕事をお休みにしてしまうと、皆さんが食べ物を買うことができなくなってしまいます。わたしたちは、お店に物を並べ、魚や肉をさばき、レジでお金のやり取りをし、皆さんの暮らしを守っています。
スーパーマーケットの仕事「スーパーマーケット探検隊」(一般社団法人日本スーパーマーケット協会)
コンビニエンスストアの仕事
わたしたちの仕事がお休みになると、みなさんはスーパーマーケットが開いていない時間に買い物に行ったり、銀行が開いていない時間にお金をおろしたり、宅配会社が開いていない時間に荷物を発送したり、市役所が開いていない時間に住民票(その場所に住んでいることを証明するものです)を取得することができなくなってしまいます。食べものを売りつつ、みなさんの暮らしを支えています。
お弁当を売る仕事(レストランの仕事)
わたしたちは、普段はレストランの仕事をしている場合もありますが、今はみんなのお家に持ち帰って食べてもらえるように、お弁当を作って売って、みんなの食卓を支えています。
ガソリンを売る仕事
ガソリンスタンドの店員さん
わたしたちは、他のエッセンシャルワーカーの人たちが車で会社にいけるように、ガソリンを入れる仕事をしています。
生活必需品や薬を運ぶ仕事
薬やマスク、点滴やガーゼなど、医療に使う製品ができても、それを運ぶ人がいなければ病院に物は届きません。食べ物があっても、インターネットを通して生活に必要なものを買っても、それを運ぶ人がいなければ、家の中だけで生活していくことはできません。みんなができるかぎりの外出を控えることができなくなってしまうのです。生活必需品や医療製品を運ぶことに関わる人たちもまた、エッセンシャルワーカーです。
荷物を仕分ける仕事をしているみなさん
みなさんがインターネットで注文した商品を行き先ごとに整理したり、お願いされた荷物を宅配便のトラックに積み込んだりしています。
宅配便のドライバーさん
みなさんが注文した商品を運んでいます。また、病院で必要なものも運んでいます。
郵便局員の仕事「ゆうびんきょくキッズサイト」(日本郵政株式会社)
ちょっと寄り道(大人と一緒に考えてみよう)
生活必需品を売る場所の定義をめぐって、日本でいろいろな議論がおこっています。例えば、百貨店やホームセンター、ショッピングモールの営業についてです。東京都からのお願いでは、いずれも生活必需品売り場に限ってはお休みをしなくてもよいとされています。しかし、どこまでが生活必需品の売り場といえるのか?とみんなが悩んで、お店全体をお休みにしたり、食べものを売っている売り場だけにお客さんをいれて営業を続けたりと、お店によって仕事を続けるか続けないかの差があらわれています。
また、そもそも生活必需品はどこまでが生活必需品か?という議論も起こっています。特に、本屋さんや花屋さん、100円ショップの営業に関しては、議論が今も分かれています。
インフラに関わる仕事
電気・水・ガス・インターネット・交通機関が止まってしまうと病院の治療に影響が出るだけではなく、私たちの生活にも大きな影響が出てしまいます。それがないと生活が止まってしまうもの、を守っている人たちもエッセンシャルワーカーの1人です。
電気をつくる仕事に関わる人
わたしたちは、みんなが使う電気を作ったり、電気の道を作ったりしています。わたしたちがいないと、病院の電気や、薬を作る工場の電気や、家の電気も止まってしまいます。
水道の仕事をしている人
お家で使える水がなくなると、困ってしまいますよね。わたしたちは、みんなが蛇口をひねったときに出てくる水を作ったり、届ける道を修理して守ったりしています。また、みんなが使い終わった水をキレイにする仕事もしています。
ガスに関わる仕事をしている人
わたしたちは、みんなが家で使うガスを届ける仕事をしています。もしも、ガスがなくなってしまうと、家で火を使うことができなくなって、ご飯を作るのが大変になってしまったり、お風呂のお湯が出なくなってしまうんです!
ガス会社の仕事「おどろき!なるほど!ガスワールド」(東京ガス株式会社)
通信に関わる仕事
わたしたちは、みんながインターネットを使えるように、通信の道を守っています。わたしたちがお休みしてしまうと、オンラインで授業をしている学校の授業ができなくなったり、病院で使われているコンピューターが使えなくなったり、皆さんが楽しんでいるYouTubeやニコニコ動画やSwitchが楽しめなくなったりします。
空港で働くみなさん
わたしたちは、飛行機を飛ばす仕事に関わって、世界からマスクや薬や食べ物を日本に持ってこれるようにしています。
パイロット(EduTownあしたね)
バス・電車の会社で働く人
わたしたちは、エッセンシャルワーカーの人たちが会社に行ったり、みなさんが日常生活に必要な商品を買うために買い物に行けるように、バスや電車を運転しています。
駅係員(西武鉄道株式会社)
くらしを守るサービスに関わる仕事
COVID-19が流行していても、私たちの生活を支えてくれるサービスは変わらず必要とされてきます。暮らしを守るサービスをしている人たちも、エッセンシャルワーカーの1人です。
ごみ収集とリサイクルに関わる仕事
わたしたちは、みんなが住む街が汚くならないように、みんなの家や会社から出るごみや、リサイクルできるものをあつめています。
託児所の仕事
わたしたちは、エッセンシャルワーカーのみなさんが安心して会社で働けるように、お子さんをお預かりして、一緒に絵を描いたり音楽を楽しんだリしています。
銀行員の仕事
みなさんは、お財布にあるお金がなくなったらどこに行きますか?お母さんにお願いする、というみんなも多いかもしれませんね。それでは、お母さんはお財布にあるお金がなくなったらどこに行っているのでしょうか?答えは、銀行です。コンビニの機械からお金を出しているよ!とおもった人もいるかもしれませんが、実はその機械も、わたしたち銀行員が仕事をしないと、お金を出してくれなくなるのです。わたしたちは、COVID-19が流行していても、みなさんがお金を預けたり引き出したり、会社の経営の相談にのってお金を貸す仕事をしています。
乗りものを修理する仕事
わたしたちは、エッセンシャルワーカーのみなさんが使う乗りものを修理しています。
ロードサービスの仕事内容(日本自動車連盟)
ちょっとよりみち。大人と一緒に考えてみよう
美容院・本屋さん・お風呂屋さん・クリーニング店・結婚式場・お葬式屋さん・花屋さん・電気屋さんなど、東京都が「社会生活を維持するうえで必要な施設」としているにも関わらず、お休みをしたり、店をはやめに閉める対策をとった仕事もあります。本当はもっと多くの人が、エッセンシャルワーカーと社会からみなされ、「ありがとう」と言われるべき仕事をしていると思います。
みんなの安全を守る仕事
COVID-19が流行していても、街の安全を守る仕事がないと、みんなが安心して暮らすことができなくなってしまいます。みんなの安全を守る仕事をしている人は、エッセンシャルワーカーの1人なのです。
街の安全を守る仕事
警察官のみなさん
COVID-19が流行しているからといって、ドロボーがいなくなるわけではありません。悲しいことですが、悪いことをする人はいなくならないのです。わたしたちは、パトロールをしたり、悪い人を捕まえたりして、みなさんの街を守っています。
消防士のみなさん
火事はいつ起こるかわかりません。わたしたちは、火事が起きたときにすぐに出動し、火を消したり、けがをした人を病院に連れていったりしています。
消防士の仕事「ふじキッズページ」(富士市)
警備員のみなさん
会社や家など、お願いされた場所に変な人が入ってこないか見守っています。(これはとても残念なことなのですが、こんな時に悪いことをする大人もいるのです。皆さんは、そんな大人になってはいけません。盗みをしなければならないほどに生活が大変な場合は、住んでいる市町村に相談すると、相談にのってもらえます!!)。
COVID-19(新型コロナウイルス)の対策をサポートする仕事
COVID-19が流行している今だからこそ、新しくできた仕事もあります。それぞれの会社や学校、行政の中の「コロナウイルスに関する対応を考えるチーム」の仕事です。自分の会社や学校や、街を守るためにどのような対策をしていくか、必死に考えています。また、感染が起きた場所を消毒する作業を行う仕事を行って、社会を守っている消毒作業員の人たちもいます。
マスコミの仕事
新聞社で働くみなさん
わたしたちは、毎日、新聞にCOVID-19についての新しい情報を載せています。
テレビ局で働くみなさん
わたしたちは、COVID-19に関する番組をつくったり、みんなが家で笑顔になれるような映像をテレビに流しています。
テレビ局の仕事「NHK Jr. Book」(日本放送協会)
ラジオ局で働くみなさん
わたしたちは、みなさんが住んでいる地域のCOVID-19に関する細かな情報をラジオでお伝えしています。病院に必要なものを配達している人たちが車の中で楽しめる番組をつくったりもしています。
公務員の仕事
県庁や市役所の仕事
わたしたちは、県庁や市役所で、地域のみなさんの困りごとの相談にのっています。COVID-19についての情報も発信しています。
政府や政府関連機関の仕事
わたしたちは、日本という国がどのようにCOVID-19と闘っていくかという方針を決めるために、霞が関という日本の政府機関がたくさんある場所では、日本という国を守るために、自分自身の生活を投げうってでも、働いています。
日本の防衛に関わる仕事
災害が起こったり、他の国がほんの少し日本の領域にお邪魔してきたりしたとき(本当はそんなことがないことが一番ですが)に大混乱に陥らないように、日本の安全を守っています。
H松
これらが、日本でエッセンシャルワーカーと一般的にみなされている仕事です。もし、みなさんがエッセンシャルワーカーの人たちを見かけたら「ありがとう!」と伝えてみてくださいね。きっと、その声は、がんばって働いている人たちの大きな力になります。今の社会を支えている人たちの心を、みなさんが支えることもできるのです。
エッセンシャルワーカーについて、もっとくわしく考えよう。
海外ではどんな人がエッセンシャルワーカーといわれているのでしょうか。
日本よりも前に、アメリカのニューヨーク州で考えられていた仕事の一覧を次のページに書いています。