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水無月のひみつ
梅雨、ときたら雨降りのはずなのに、なぜ「水無月」と書くのでしょうか。
実は水無月の「無」という漢字が誤解を招く原因です。
この「無」は「無い」ということを意味する「無」ではなく、「の」を意味する連体助詞の「無」なのです。
「体言」とは、活用がなく、文の主語になりうる性質を持つもののことをいいます。
「体言」とは、「名詞」や「代名詞」「数詞」の品詞をまとめた表現です。
「水」も「月」も名詞ですね。
この二つの名詞(体言)をつなぐ「の」の役割を「無」という漢字が担当している、
という説が「水無月」という言葉の由来として有力なのです。
ちなみに、「体言」に対応するのが「用言」です。
「動詞」「形容詞」「形容動詞」の3つの品詞をまとめた表現です。
例えば「雨が降る」という文章。
→「雨」は体言、「降る」は用言。
「今日の雨は激しい」という文章だと、
→「今日」と「雨」は体言、「激しい」が用言です。
ポイントは、「雨が降ったら」「雨が降ると」「雨が降ります」など、元の「降る」という基本形の語尾が、文章の中で変化(「活用」と呼んだりします)しているということ。
「用言」は、「活用がある」というポイントをもっているのです。
例)激しい <(形容詞)用言>
今日の雨は激しい。
今日の雨が激しくなったら心配だ。
今日の雨が激しければ中止になってしまう。
今日の雨は激しかった。
さて、「水無月」の「無」は水と月をつなぐ「の」である、とのことでした。
ということは、「水の月」ということになりますね。
6月は水の月。
田植えをしたり、作物が大きく育っていくために必要な雨を願う、昔の人たちの祈りや願いも反映した名前なのではないか、とも言われていますね。
ちなみに、「水無月」という和菓子もあるそうですよ。
白いういろうの上面に甘く煮た小豆をのせ、三角形に切り分けたもの。
京都発祥のお菓子で、一年の残り半分の無病息災を祈って食べるそうです。
無病息災とは、病気にかかることもなく健康である、という意味の四字熟語ですね。