かぎかっこてんまる

消しゴムを掘って作った自作の判子のイラスト 読み物

さんかくすと文がえます

 

M先生
M先生

突然とつぜんですが、なぞなぞです!

 

なにげなく目にしているけど存在感そんざいかんがうすい。
でも無ければ無いで、けっこう困ってしまうようなにくいやつ。
しかも、それぞれにちが役割やくわりがあるらしい。
日本語の文章にかすことのできない存在。
これ、なーんだ?

 

Sさん
Sさん

これが今回のテーマですね!!!
そしてなぞなぞの答えが、「かぎかっこ、てん、まる」なのですね!

N川さん
N川さん

今回は、M先生とSさん、そしてわたくしN川がお送りいたしますよ~

ちなみに、今回の記事では記号をたくさんご紹介しょうかいします。
スクリーンリーダーによっては、読みあげられない記号がある可能性かのうせいがあります。記号をたしかめたい場合はカーソルを合わせると読みあげられますので、注意してみてくださいね!

 

かぎかっこてんまる―約物やくもの

みなさんが文章を読む時、あるいは書く時、何気なく目にしているもの。
ついつい見過みすごしてしまうけれど、ないと困ってしまうようなもの。

それは、句読点くとうてん疑問符ぎもんふ括弧かっこのことです。まとめて「約物やくもの」と呼んだりします。

   

M先生
M先生

約物やくもの」という用語は、印刷業界いんさつぎょうかい専門用語せんもんようごです。
昔、印刷物を作るときは、ハンコ(スタンプ)のような状態じょうたいの一文字一文字の文字を組み合わせて、すみや色を付けて紙に複写ふくしゃして文章を作っていたのです。
活版印刷かっぱんいんさつと呼ばれます。ハンコ(スタンプ)のようになった一文字一文字のことを「活字かつじ」と呼びます。
この印刷スタイルで記号類のことを「約物やくもの」と呼んだのですね。

 

活版印刷とは?活字とは?

 

Sさん
Sさん

宮沢賢治みやざわけんじの『銀河鉄道ぎんがてつどうの夜』という作品の中でも活版印刷所かっぱんいんさつじょが登場します。
主人公のジョバンニは、活版印刷所でまさに「活字かつじ」をひろうアルバイトをしているのです。
「えっ?”活字を拾う”ってどういうこと??」という皆さん。上の動画をぜひ見てみてください!

 

N川さん
N川さん

『銀河鉄道の夜』は名作ですよね。
今回の記事の最後に『銀河鉄道の夜』のアニメがyoutubeでアクセスできたので、ご紹介しておきます!よかったら見てみてください。

 

そんな「約物」と呼ばれる記号の種類は、たくさん!
みなさんは、どれだけ目にしたことがあるでしょうか?

文章の区切り、切れ目を示すには

句読点くとうてん」があります。
私たちが一番よく見かけている記号かもしれません。

「 。 」 句点くてん、マル

文章の終わりにつけます。
カッコの中で文章が使われている場合にも使うことができます。
ただし、タイトルや箇条書かじょうがきした語句、見出しなどでは使わないことが多いです。

 

M先生
M先生

「こんにちは、M先生です。」
など、文章の切れ目に句読点くとうてんは使います。
文章の途中には「読点とうてん(テン)」、文章が終わったときに「句点(マル)」を使います。

 

Sさん
Sさん

たしかに、この記事の中でも、「タイトル」になるようなところには句点(。)はついていませんね!

 

「 、 」 読点とうてん、テン

主語などの後につけることが多い。
 例)「M先生は、ラッコがすき。」


その他には、
条件じょうけん制限せいげんを表す語句の後(「〇〇の場合、」「□□するとき、」「~である限り、」)
 例)「N川さんはワクワクしているとき、お気に入りの歌を口ずさむクセがある。」

★文の始めの副詞句ふくしくの後
 例)「Sさんの特技とくぎはいろいろある。特に、書道しょどうは小さいころから続けているらしい。」

★二つ以上の名詞、語句が並ぶとき(「A、B、Cなど…」)
 例)「M先生、N川さん、Sさんは、みんなお正月にお雑煮ぞうにを食べた。」

「語句の切れ目」や「意味の切れ目」、「自然の息継いきつぎでをとるとき」に「読点とうてん」を打つと考えると、少し分かりやすくなるかもしれません。
音読おんどくをするときには、「読点」や「句点」のあるタイミングで少し間を置くとよいのですね!

 

N川さん
N川さん

あまりにも「読点とうてん」が少なすぎると意味が分かりにくくなってしまうことがありますよね。意味の切れ目を読み手が勘違かんちがいしないように読んでもらうために読点をうつことが大事になります。

…という私の文章も、

あまりにも「読点」が少なすぎると、意味が分かりにくくなってしまうことがありますよね。意味の切れ目を、読み手が勘違いしないように読んでもらうために、読点をうつことが大事になります。

「読点」があるか・ないかで、分かりやすさに差があるかもしれません。
いかがでしょうか?

 

M先生
M先生

でも、「読点」が多すぎると、逆に、読みにくくなる、ということも、ありえます。
実際に声に出して読みあげてみて、どこに間を置くと意味を理解しやすいか見直してみると、「読点」を置く場所を決めるヒントが得られます。

 

 

句読点くとうてん」以外にも、文や語を区切る記号はたくさんあります!

「 ・ 」 中黒なかぐろ。中ぽつ。

単語と単語をならべて書きあらわすときなどに使います。
また、「読点とうてん」で打つと文章が読みにくい場合にも使われることがあります。
題名だいめい・見出し・表など、名詞をならべて書く時に、「中黒なかぐろ」を使って体裁ていさいを整えるということもあります。

 例)「句点・読点を使いこなして文章を書いてみよう!」

 

Sさん
Sさん

「東京・京都・大阪」
などのように地名を並べて書く時に、「読点とうてん(テン)」以外に「中黒なかぐろ」を使ってあらわすことができます。
同じような種類しゅるのものが並んでいるときに、とくに「中黒」が使われることがあるようです。

 

「 / 」 スラッシュ

言葉の区切りなどを示す斜線しゃせん
主に「および」(=and) や「または」(=or) という意味を示しますが、たいていの場合は「および」を表しています。

この使い方は英語でも同じように、and や or の意味で使われるようです。
(どちらかというと or の意味合いで使われることが多いようです)

 例)彼ら/彼女らは、バレンタインデー当日、ドキドキ・そわそわしていた。

 

ちなみに、日常会話にちじょうかいわの中で登場とうじょうする記号というよりは、情報を整理せいりして伝えるときに使われることが多いです。

 

N川さん
N川さん

「スラッシュ」にはもともと「切る」という意味があるようです。
「2021/1/12」など年月日を書く時にも使いますよね(日本語では、年月日表記はだいたい、年/月/日ですが、英語だと文化圏ぶんかけんによって順番じゅんばんが変わってきます。)
そのほかにもり算や分数ぶんすうを示すときにスラッシュが使われることがありますね。

 

「 : 」 コロン

例を示すとき、用語や記号の使い方を説明するときに、分かりやすく示すために使われることが多い記号です。
 例)まなキキ:「学び」を楽しく深めていくことを目指してつくられたwebサイト

イラスト:デジタル時計

 

デジタル時計などでも登場とうじょうする記号ですね!

    

「 / 」スラッシュと同様、日常表現にちじょうひょうげんの中ではあまり使われず、情報じょうほうを分かりやすく表現する文章の中で使われることが多い記号です。

 

Sさん
Sさん

英語の文章では、なかなか登場回数とうじょうかいすうの多い記号です!
「 ; 」(セミコロン)との使い分けに注意です!
くわしくは、英語の「句読法くとうほうを学ぶ」でチェックしてみましょう!

 

「 ― 」 ダッシュ、ダーシ

日本語で文章を書く時、「ダッシュ」は必ず二つ続けて書くようにしましょう、というルールになっています。

話題わだい転換てんかんしたり、カギカッコの代わりになったり、丸カッコの代わりに注釈ちゅうしゃく補足情報ほそくじょうほうを付け加えるために使われることがあります。
文末に使って余韻よいんを表現することもあります。

 例)こまったなあ――M先生は、自分の書いてきた文章を回想かいそうしてみた。

 


タイトルの副題ふくだい(サブタイトル)の前後につけることもありますね。

 

M先生
M先生

なぜ、ダッシュ1個だけじゃいけないのか――。
おそらく、「―(ダッシュ)」に似た記号がたくさんあるからなのではないか、と想像そうぞうしています。
例えば、
「一(漢数字かんすうじの1)」
「ー(「コーラ」などばしぼう長音ちょうおん))」
「‐(電話番号でんわばんごうなどを書く時に数字と数字の間にはさむハイフン)」
などいろいろあります……!!

「ダッシュ」を使うときは、2つつなげて使う。覚えておきましょう。

 

N川さん
N川さん

「ダッシュ」記号を使うときは、二つ使う(「ダッシュダッシュ」)という決まりがあることが分かりました。
実は、この後に説明する、「…」(三点リーダ)という記号も二つ使うという決まりが実はあるんですよ~

 

「 … 」 3点リーダ

文章を省略しょうりゃくする場合、小説などで沈黙ちんもく余韻よいんを表したりするときに使います。
「ダッシュ」と同様どうように、「三点リーダ」一つだけでは使わず、必ず二つ三点リーダを使います。(「…」ではなく、「……」とする)

 例)「犯人はんにんは一体だれなんだろう……。」ぼくは僕のアイスクリームを食べてしまった犯人を突き止めるため、ひとりひとりの口元に注目することに決めた。……ふと、口の周りを白くして、挙動不審きょどうふしんになっている人物が目にまった。

 

Sさん
Sさん

「三点リーダ」という記号が存在している、ということも普通ふつうに生活していたら、なかなか知ることができないですよね。
どうやら、「三点リーダ」を二つつないで書かなくてはならない理由は、活版印刷時代かっぱんいんさつじだい風習ふうしゅうとして残り、ルールとして定着ていちゃくしているようです……!

 

M先生
M先生

もしかしたら、「絶対ぜったいに守らなきゃいけない!!!」というルールというほどではないかもしれませんね。
印刷いんさつや本づくりにかかわる人たちの中では、文書や原稿げんこうあやまりや不備ふびな点がないかチェックする「校閲こうえつ」というプロセスの中で、気を付けるポイントの一つになっているのだそうです。

 

 

「 ~ 」 なみダッシュ

範囲はんい期間きかん区間くかん)を表すのに使われます。
その場合、波ダッシュでつなぐ言葉は対応たいおうしている必要があります。数字でつないだら数字で、名詞なら名詞でつなぐようにしましょう。

 例)緊急事態宣言きんきゅうじたいせんげんを受けて、お店の開いている時間が朝9時~夜8時に変更へんこうしてしまった。

 

ほかにも副題ふくだいを示すとき、不特定ふとくていの何かを表現したいときにも使われます。

 例)「~ならしかたない。」

  

N川さん
N川さん

不特定の何かを表現したいときに使う「波ダッシュ」は「から」とは読まずに、「ホニャララ」とか「ナントカ」などと表現したりするみたいですね。

 

また、ばしぼう長音ちょうおん)として使われることもありますね。
波ダッシュが使われると、読み手は少しカジュアルな印象いんしょうを持つことになります。

 例)「は~い」と少しの抜けた返事が返ってきた。

 

「 ! 」 感嘆符かんたんふ、エクスクラメーションマーク、雨だれ

句点くてんの代わりに文の終わりなどに使います。おどろきや強調きょうちょうを表します。
公式な文書ではふつうは用いられません。

 例)「なんと!!!」と世紀せいきの大発見を前に大声をあげた。

 

「 ? 」 疑問符ぎもんふ、クエスチョンマーク、耳だれ

句点くてんの代わりに文の終わりなどに使います。疑問ぎもん不正確ふせいかくさを表します。
公式な文書ではふつう用いられません。

 例)「どうしたらいいんだ……?」難問なんもんに頭をかかえ込んだ。

 

 

カッコ類

文章の一部分を一対のカッコでかこむことにより、その部分を区別くべつする役割やくわりや、目立たせることができます。
カッコは必ず< つい >で使用されます。

 
「カッコ開き」、「カッコ閉じ」などと表現されますが、ついつい「カッコ閉じ」を忘れてしまいがちです。
きちんと相方あいかたを忘れずにつけてあげましょう。

「 」 かぎカッコ、カギ、引っ

文中で発言はつげん引用いんようなどをするときに使います。
会話表現かいわひょうげんを示すときに使われているのは、よく見かけるかもしれません。

 
その他にも、作品名やタイトル名を示すときに使われます。
また、誰かが書いていた/発言していた内容を紹介する「引用いんよう」をするときにも、

 
短い文の強調きょうちょうや、対象となっている言葉を分かりやすく区別するためにも使われます。

 

『 』 二重にじゅうかぎカッコ

書名・作品名などの名称めいしょうを表すのに使われるほか、会話内でさらに別の発言を表したいときなどにも使われます。

 例)「ねえねえ、さっきM先生が『おなかすいた!』って叫んでいたよ。そろそろお昼ごはんにししょうか」

 

( ) 丸カッコ、パーレン

直前の語句や文に情報を付け加えるために、関連かんれんする情報等を付け加えるために使います。

 例)まなキキ(学びの危機きき)サイトは、主に大学生のお姉さんたちを中心にして運営うんえいされています。

 

〔 〕 亀甲きっこうカッコ

イラスト:縁起物の鶴と亀

引用いんよう強調きょうちょうにも使われますが、主に強調したい語を示すときに使います。
とくに引用した文章について、引用した人が説明を付け加えたりするときに使うようです。

 

M先生
M先生

かめ甲羅こうら模様もように似ているから、亀甲きっこうカッコと呼ばれるのだそうですよ。
亀甲模様きっこうもようというと六角ろっかく模様もよう連想れんそうしますね。

つるは千年、亀は万年」という言葉があるように、縁起えんぎがよいとされているモチーフです。

 

【 】 隅付すみつきカッコ

目立たせたい部分に使用するカッコで、キャッチコピーを入れたりして使われます。
カッコの線が目立つカッコなので、読み手の気を引きやすいカッコです。

 例)【要チェック!】おいしいハンバーグの作り

 

{ } ちゅうカッコ、なみカッコ

見出しの強調きょうちょうや文章の強調に使用します。
波カッコという名前は、見た目が波模様なみもように似ているからですね。
英語では、「ブレイス(brace)」や「カーリーブラケット(curly bracket)」と呼ばれるそうです。

 

N川さん
N川さん

どちらかというと、日本語の文章で使用されるというよりも、プログラミングや数式で使われることが多いかもしれません。


< > やまカッコ

タイトルや強調きょうちょうしたい文章で使用します。
強調したい概念がいねんなどがある場合に使われることが多いようです。

 

Sさん
Sさん

山カッコは、「<」が山を連想れんそうさせる形なので、山カッコと呼ぶのですね!

 

 

イラスト:雪の結晶の区切り線

 

M先生
M先生

実は、記号類はほかにもたくさん‥‥!

続編ぞくへんをぜひ待っていてください!

 

N川さん
N川さん

最後に予告よこくどおり、『銀河鉄道ぎんがてつどうの夜』のアニメーション動画を!
もしよかったらぜひ楽しんでみてくださいね。

 

宮沢賢治作「銀河鉄道の夜」のアニメ
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