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目の見えない人・見えにくい人が指で触って読む文字、それが点字です。
点字は、今からおよそ200年前にフランスで発明され、現在では日本を含む世界各国で使われています。最近では、駅の券売機やエレベーターのボタン、おうちにある家電の操作パネルや飲み物のパッケージなど、みなさんの身近な場所で簡単に見つけることができます。
でも、点字を指で触って読むなんて難しそうですね。
たしかに、指で触って読めるようになるには時間をかけて練習する必要があります。でも、点字の仕組みはとてもシンプルなので、コツさえつかめばすぐに覚えることができますよ!
点字の形をマスターすれば、あとは読む練習をするだけですからね!
というわけで、この記事では点字の仕組みと覚え方のコツを紹介します!
【点字を覚える前に…】六つの点と仲良くなろう!
1825年、パリの盲学校の生徒であったルイ・ブライユは指で触って読む文字、点字を発明しました。
当時16歳だった彼は、「点字をみんなにとって使いやすい文字にするにはどうしたらいいだろう?」と悩み、クラスメイトと議論をしながら、いろいろな工夫を考え出していきました。
そのうちの一つが、点字を六つの点だけで構成するというアイデアです。
なるほど!
たった六つの点だけで文字をつくることができれば、覚えるのも簡単だし、読み書きのスピードも速くすることができますもんね。
点字は、タテに三つ、ヨコに二つ並んだ合計六つの点の組み合わせからできています。
点字を覚える時には、六つのそれぞれの点に番号を付けておくととても便利です。
まず、左上から下に向かって1の点、2の点、3の点。
つづいて、右上から下に向かって4の点、5の点、6の点と呼びます。
点字と仲良くなるためには、六つの点の位置と番号を最初に覚えてあげることが大切です。
ちなみに、点字ではこの六つの点のひとまとまりを「一マス」と数えます。
この「一マス」という呼び方も、点字を覚えるために大切な言葉なので、押さえておいてくださいね。
それから、目で見て読む文字のことを「墨字」と呼ぶそうです。
この言葉も、点字を勉強していくうえで大切になりそうですね。
日本語の点字を読んでみよう!
点字はフランスで発明された後、世界各地に広まっていきました。
日本に点字が伝わると、東京の盲学校の先生と生徒が議論を重ねて、点字で日本語を書き表すためのルールをつくりました。
ここからは、みなさんにとって最も身近である、日本語の点字の仕組みについてお話ししたいと思います。
ここから先は、点字の一覧表と照らし合わせながら読んでいきましょう。
さっきの点字のイラストが、何と書かれていたのかも考えてみてね!
点字の一覧表 は、「点字 | 点字について | 社会福祉法人 名古屋ライトハウス」さんのページをご紹介させていただいています!
基本は「め」と「あいうえお」
日本語の基本である50音を見ていきます。
その前にちょっとウォーミングアップをしましょう。
日本語の点字で一番覚えやすい文字は「め」です。
一覧表で見てみると、「め」は1から6の点すべてが浮き出た文字であることがわかります。
エレベーターの「閉める」ボタンや、トイレの「音姫」ボタンなどで見つけることができるので、ぜひ探してみてくださいね。
本題に入りましょう。
日本語の点字でもっとも基本的な形は「あいうえお」です。
点字の「あいうえお」は、1の点、2の点、4の点の組み合わせだけでできています。
例えば、1の点だけなら「あ」、1の点と2の点で「い」、1の点と4の点で「う」になります。
おっ、これは覚えやすいですね。
そうでしょう。
この5文字がとても大事になるので、しっかり覚えてくださいね。
基本の形に「付け足し」をする
次に「かきくけこ」を見てみましょう。
さきほどの「あいうえお」と何が違うのでしょうか…??
さきほど覚えた「あいうえお」の形にそれぞれ6の点を付け足すと「かきくけこ」になります。
「あいうえお」に5と6の点を付け足すと「さしすせそ」、
3と5の点を付けると「たちつてと」ができあがります。
このように、「あいうえお」に3・5・6の点の組み合わせを付け足すことによって、か行以降の文字をつくっていきます。
なんだか、ローマ字の仕組みに似ていますね。
ローマ字も、母音を表す”a i u e o”に、子音を表す”k”や”s”を加えて”ka”や”so”と書きますよね。
あれ?
でも一覧表を見ると、「やゆよ」と「わをん」はこのルールには当てはまらなさそうな形をしていますよ。
そうなんです。だから、や行とわ行については例外として形を覚えてくださいね。さあ、これで50音が読めるようになりましたよ!
【ちょっと応用編】濁点・半濁点・拗音・促音
50音が読めるようになったところで、今度はもう少し特殊な文字をチェックしていきましょう。
一つ目は濁点です。点字の場合、濁点は5の点で表します。
例えば、「が」と書きたいときには、5の点を打った後に「か」と書きます。
半濁点も同じです。点字では半濁点を6の点で表します。
「ぱ」と書くときには、6の点を打ってから「は」を書きます。
ということは、濁点や半濁点が付く文字の場合、二マスを使って一文字を表現するんですね。
次に拗音を見てみましょう。
拗音とは、「しゃ」や「ちょ」のように墨字で書くときに小さい「やゆよ」と組み合わせて書き表す音のことです。ただし、点字の場合は書き方が変わります。
例えば、「きゃ」と書きたいとき、点字では4の点を打ったら、次のマスに「か」と書きます。
つまり、拗音を書くときには、4の点のあとに発音が近い文字を書くんですね…
いつも混乱しちゃうんだ!
「きゃ」「きゅ」「きょ」は、
4の点+「か」、4の点+「く」、4の点+「こ」、と書くわけですね…。
墨字とは全然違う!
最後に促音。
促音とは、「あっさり」「たっぷり」などに出てくる小さい「つ」で表す音のことですが、点では2の点で表します。
「きって」と書きたいときには、「き」の次のマスに2の点を打ち、「て」と書きます。
アルファベットを読んでみよう!
日本語を覚えたら、今度はいよいよ、ルイ・ブライユが発明した、26文字のアルファベットの点字に注目していきましょう!
とはいえ、覚え方は日本語の点字とほとんど同じです。
三つのステップに分けると覚えやすいですよ。
まずは一覧表で「a」から「j」を見てください。
この10文字は、上の四つの点(1・2・4・5の点)が組み合わさってできています。
アルファベットの「a」「b」「c」と日本語の「あ」「い」「う」は同じ形なんですね。
そのとおり!
そして、「a」から「j」の形は覚えておくととっても便利なので、ここでしっかり押さえておきましょう。
次に「k」から「t」を見ていきます。
さきほどチェックした「a」から「j」に3の点を付け加えると、「k」から「t」の文字ができあがります!
例えば、aは1の点だけですが、1・3の点ではkになります。
すごい!
もう20文字も覚えちゃいました。残るはあと6文字ですね。
「u」から「z」は、「a」から「e」に3・6の点を付けます。
ちょっと待ってください!「a」から「e」だと5文字だから、数が合いませんよ…。
あれ…?
一覧表で見てみると、「w」の形だけ変ですね。
このルールにのっとっていない気がします!
よく気づきましたね!
実は点字が発明された当時、フランス語では「w」の文字を使う習慣がなかったので、ブライユは「w」の点字をつくりませんでした。
でも、同じくアルファベットで書き表す英語やドイツ語では「w」をたくさん使うので、しばらく経ってから急遽「w」をつくったんですって。
だから、「w」だけルールから外れているんですね~
数字を読んでみよう!
アルファベットの点字がわかれば数字も簡単に覚えられます!
最初に、一覧表の中にある「数符」の形を覚えましょう。
墨字のアルファベットにある大文字のLを裏返したような形をしていますね。
「数符」とは、読者に対して「ここから先には数字が書いてありますよ」と知らせるためのマークです。
点字の数字は、この数符の後に「a」から「j」のアルファベットを入れて0から9を表します。
「0」は数符の直後に「j」を書きます。
「1」は数符の後に「a」、「2」は数符の後に「b」… と続き、「9」は数符の後に「i」を書いて表します。
なるほど!
ところで、「14」とか「125」とか、桁数が大きい数はどうやって書くんですか?
「14」なら数符のあとに1を表すaと、4を表すdを続けて書きます。
「125」なら数符のあとに1を表すa、2を表すb、5を表すeと書きます。
なんだか、暗号がつくれそうですね…!!!
【おまけ】楽譜も読んでみよう!
点字ではアルファベットや数字だけでなく、楽譜を書き表すこともできます!
楽譜もアルファベットを使うと覚えやすいですよ。
点字楽譜で八分音符の「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」は、アルファベットの「d」「e」「f」「g」「h」「i」「j」と同じ形です。
そこに3の点や6の点を付け足して、音符の長さを表します。
「基本の形に付け足していく」というルールは、どの種類の点字を覚える時でも共通しているんですね。
点字の楽譜を読む時は…、右手で点字を読んで左手で弾き…左手で読んで右手で弾くんですか??
ですね~。両手で点字は読めるように訓練するんですよ。左手で点字を読んで、右手で書き写す、とかですね。
点字楽譜に関しては、最終的には両手で弾くので暗記することになります!
実は、もう音だけを聞いて弾いちゃったりもするのでした…!
な、なんと…!!すごい~!
それにしても点字、おもしろいですね!
次回も点字のフシギや魅力に迫っていきますよ~!