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点字表記に関する前回の記事はこちら。
今回の記事は、点字表記にまつわる特徴についての記事の第二弾です!Sさん・N川さん・M先生の三人が、普段何気なく使っている言葉を点訳するときに意識するポイントを座談会形式で教えてくれますよ!
こんにちは…こんにちわ…ぶつぶつ。こんにちは…こんにちわ…ぶつぶつ。
Sさんがぶつぶつと何かつぶやいていますね。あいさつの練習ですか…?
ああ、すみません!声がだだもれでしたね汗 いまS先生宛のお手紙を「こんにちは!」という挨拶で始めようと思って書いてみたんですけど、小学生の頃に「こんにちわ」と書いて担任の先生に「こんにちは」と直されたことを思い出したんですよ。だから「こんにちは」ってなんだか奥が深いなあなんて思って…ぶつぶつ。
むむ!声で聞いている限りだと、今のSさんのお話では同じ言葉がなんども登場しているように聞こえるので、なんだか言葉遊びのようですよ?
「こんにちは」というあいさつの言葉を表す時、「こんにち」の後を「は」にするか「わ」にするかという論争があるみたいなのですよね。
言葉は時代の流れや使い手の変化によってゆるやかに柔軟に変遷していくものでもあるので、「こんにちは」「こんにちわ」はその一例でもあるかもしれないですね。
私が使っているパソコンは、ワ行の方で「こんにちわ」と打ち込むと、自動で「こんにちは」とハ行の方に直してしまいます。でも、スマートフォンで「こんにちわ」と打っても変換候補でも特に直されず、そのままですね。
なるほど…墨字では発音が同じなのにもかかわらず、表記の際になにかと気を配らなければいけない場面があるのですね。実は点字では「言葉を発音そのままで点字にする」という規則があるので、Sさんが気にしているようなことはあまり意識したことがありませんでした。
そうだったのですね!言葉を発音そのままで点字にするということは、先ほど私がつぶやいていた「こんにちは」の場合は…
「こんにちわ」とワ行で表記するということになりますね。もしこれがハ行の方で表記されていたら、私は正直かなり違和感がありますし、読みにくいなと感じてしまいますね。「は」が入るものだと他に「私は/僕は」といったものも「私わ/僕わ」です。
お手紙でたとえば「S先生へ」と書く場合は…
「S 先生え」というように、ハ行の「へ」ではなく、ア行の「え」と書きますよ!
これも発音通りですね。SさんがS先生宛のお手紙を書こうとしたことから始まった今回のお話ですが、点字と墨字の表記の違いや点字ユーザーの読みやすさにもかかわるかなり重要なポイントが潜んでいましたね!
点字の場合、発音通りに「は」や「へ」と書くところも「わ」や「え」と書く決まりになっていますが、パソコンで文字を打つ場合は点字ユーザーであっても、やっぱり「は」や「へ」と入力します。混乱してしまいそうですが、そんなときにヒントになるのが、この「わ」や「え」が”くっつき”の機能を持っているかどうか、です。
「わんこは、散歩が大好き」という文章があったとき、実は、「わんこは」の「は」は「わ」と読みます。でもなぜか「わんこ”は”」と書くのです。この「わんこ”は”」の「わ」は、「わんこ」が「散歩好きである」という事実を説明する「くっつき」機能を持つ「ワ」なので、「は」に変身します。一方で「わんこ」の「わ」は、文章をくっつける役割は特に持たないので、そのまま「わ」と書き表します。
この「くっつき」機能を持つ「は」や「へ」は、専門的には「助詞」と呼ばれます。
なかなか難しいですが、このあたりはまたいずれ…!