点字表記の特徴を知ろう!!ー<は>と<わ>に<へ>と<え>

さんかくすと文がえます

点字表記に関する前回の記事はこちら

今回の記事は、点字表記にまつわる特徴についての記事の第二弾です!Sさん・N川さん・M先生の三人が、普段何気なく使っている言葉を点訳するときに意識するポイントを座談会形式で教えてくれますよ!


Sさん
Sさん

こんにちは…こんにちわ…ぶつぶつ。こんにちは…こんにちわ…ぶつぶつ。

N川さん
N川さん

Sさんがぶつぶつと何かつぶやいていますね。あいさつの練習(れんしゅう)ですか…?

Sさん
Sさん

ああ、すみません!声がだだもれでしたね汗 いまS先生(あて)のお手紙(てがみ)を「こんにちは!」という挨拶(あいさつ)で始めようと思って書いてみたんですけど、小学生の(ころ)に「こんにちわ」と書いて担任(たんにん)の先生に「こんにちは」と直されたことを思い出したんですよ。だから「こんにちは」ってなんだか(おく)(ふか)いなあなんて思って…ぶつぶつ。

N川さん
N川さん

むむ!声で聞いている(かぎ)りだと、今のSさんのお話では同じ言葉がなんども登場(とうじょう)しているように聞こえるので、なんだか言葉遊びのようですよ?

M先生
M先生

「こんにちは」というあいさつの言葉を表す時、「こんにち」の後を「」にするか「」にするかという論争ろんそうがあるみたいなのですよね。

メモ

「こんにちは」の挨拶(あいさつ)語源(ごげん)は、たとえば「今日(こんにち)は良いお天気ですね」といったように、今日(こんにち)は、」の後に文章(ぶんしょう)(つづ)くことから生まれたという(せつ)があり、墨字(すみじ)表記(ひょうき)する(さい)には「こんにちは」とハ行にするのが(この)ましいと言われることがあります。ですから文献(ぶんけん)によっては「こんにちわ」とワ行で表記(ひょうき)するのは間違(まちが)いだとしています。ただし、ハ行の「こんにちは」でもワ行の「こんにちわ」でも発音(はつおん)は同じで聞こえてくる音は同じなので、最近(さいきん)ではどちらでも(かま)わないというような流れも出てきているようです。(詳しくは、M先生が過去の記事でお話ししていますよ!詳細はこちら

M先生
M先生

言葉は時代(じだい)の流れや使い手の変化(へんか)によってゆるやかに柔軟(じゅうなん)変遷(へんせん)していくものでもあるので、「こんにちは」「こんにちわ」はその一例(いちれい)でもあるかもしれないですね。

Sさん
Sさん

私が使っているパソコンは、ワ行の(ほう)で「こんにちわ」と打ち込むと、自動(じどう)で「こんにちは」とハ行の(ほう)に直してしまいます。でも、スマートフォンで「こんにちわ」と打っても変換(へんかん)候補(こうほ)でも特に直されず、そのままですね。

N川さん
N川さん

なるほど…墨字(すみじ)では発音(はつおん)が同じなのにもかかわらず、表記(ひょうき)(さい)になにかと気を配らなければいけない場面(ばめん)があるのですね。(じつ)点字(てんじ)では「言葉を発音(はつおん)そのままで点字(てんじ)にする」という規則(きそく)があるので、Sさんが気にしているようなことはあまり意識(いしき)したことがありませんでした。

Sさん
Sさん

そうだったのですね!言葉を発音(はつおん)そのままで点字(てんじ)にするということは、先ほど私がつぶやいていた「こんにちは」の場合(ばあい)は…

N川さん
N川さん

「こんにち」とワ行で表記(ひょうき)するということになりますね。もしこれがハ行の(ほう)表記(ひょうき)されていたら、私は正直(しょうじき)かなり違和感(いわかん)がありますし、読みにくいなと感じてしまいますね。「は」が入るものだと他に「(わたし)は/(ぼく)は」といったものも「(わたし)/(ぼく)」です。

Sさん
Sさん

手紙(てがみ)でたとえば「S先生へ」と書く場合(ばあい)は…

N川さん
N川さん

「S 先生」というように、ハ行の「へ」ではなく、ア行の「え」と書きますよ!

M先生
M先生

これも発音(はつおん)(どお)りですね。SさんがS先生(あて)のお手紙(てがみ)を書こうとしたことから始まった今回のお話ですが、点字(てんじ)墨字(すみじ)表記(ひょうき)(ちが)いや点字(てんじ)ユーザーの読みやすさにもかかわるかなり重要(じゅうよう)なポイントが(ひそ)んでいましたね!

N川さん
N川さん

点字(てんじ)場合(ばあい)発音(はつおん)(どお)りに「は」や「へ」と書くところも「わ」や「え」と書く決まりになっていますが、パソコンで文字を打つ場合(ばあい)点字(てんじ)ユーザーであっても、やっぱり「は」や「へ」と入力(にゅうりょく)します。混乱(こんらん)してしまいそうですが、そんなときにヒントになるのが、この「わ」や「え」が”くっつき”の機能(きのう)を持っているかどうか、です。

「わんこは、散歩(さんぽ)が大好き」という文章(ぶんしょう)があったとき、(じつ)は、「わんこ」の「は」は「わ」と読みます。でもなぜか「わんこ”は”」と書くのです。この「わんこ”は”」の「わ」は、「わんこ」が「散歩(さんぽ)()きである」という事実(じじつ)説明(せつめい)する「くっつき」機能(きのう)を持つ「ワ」なので、「」に変身(へんしん)します。一方(いっぽう)「わんこ」の「わ」は、文章(ぶんしょう)をくっつける役割(やくわり)は特に持たないので、そのまま「と書き(あらわ)します。
この「くっつき」機能(きのう)を持つ「は」や「へ」は、専門的(せんもんてき)には「助詞(じょし)()ばれます。
なかなか(むずか)しいですが、このあたりはまたいずれ…!

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