森のクマさんのはなし

イラスト:二匹の子熊と親熊が集まっている 語源

さんかくすと文がえます

記事の概要がいよう

先日、富山とやま県の高校の中庭なかにわのツキノワグマがあらわれた、というニュースがありました。

 


その高校は臨時りんじでお休みになったとのことですが、最近、クマが人に遭遇そうぐうする、町にりてくる、というニュースが少なくないような気がします。

 

そこでクマのことを少し考えてみようと思います。

 

M先生
M先生

やっぱりおなかがすいて、人里ひとざとあらわれるのかなあ。

クマといえば、「クマのプーさん」を思い出してしまいますが、プーさんはよくハチミツをなめてますね。
クマの食事はやっぱりハチミツなのでしょうか?

 

調べてみよう

クマの食事

動物の、食物の種類しゅるいや食べ方についての習性しゅうせいのことを「食性しょくせい」といいます。
の”習性”で「食性」ですね。

 

食性といえば
  • 肉食にくしょく
  • 草食そうしょく
  • 雑食ざっしょく

に分けられるでしょう。

この記事を読んでいる皆さん…「ヒト」の食性はなんでしょう?
「肉食系女子」や「草食系男子」などという言葉もありますが、これは、動物の食性傾向けいこうから性格せいかく人柄ひとがら連想れんそうさせる比喩表現ひゆひょうげんの一種ですね。
実際に、肉だけを食べている女子でも、野菜ばかり食べている男子、というわけでもないのです。

イラスト:元気に笑う肉食系の女性が、お肉をもってノリノリな様子
イラスト:顔を赤くしてもじもじしている、恋愛に奥手な草食系の男性

 

「ヒト」は、ふつう雑食ざっしょくですね。肉やお魚も食べる人が多いですし、野菜やさい果物くだものも食べます。
ナッツなど木の実やきん類のきのこも食べます。

 
 

M先生
M先生

さて、本題のクマ。
みなさんはクマの食性は何だと思いますか??

 

イラスト:女の子が大きな口を開けて、中の歯や舌が見えている

 

実は、食性を考える際にヒントになるものがあります。
それは、「」。

 

みなさんが食事をとるとき、気持ちよくむしゃむしゃ味わうことができるのは、この「歯」が重要じゅうよう役割やくわりたしています。

 

あまりにも当たり前のように存在しているので、「は~?」なんて思う方もいるかもしれませんが、歯が健康けんこうであることが、生活のしつを左右するとも指摘してきされているくらい大事なポイントなのです。

 

M先生
M先生

なので、歯はしっかりみがいて大事にしよう…!

 

私たち、「ヒト」の食性は雑食、ということで、まずは私たちの歯について考えてみましょう。
私たちの口のなかには、3種類の歯があるといわれています。

 

  • 切歯せっし
    前歯の部分の歯のことです。上下左右でそれぞれ2本ずつ。全部で8本あります。
    食べ物をかみ切ったり、ちぎったりする役割があります。
  • 犬歯けんし
    前歯と奥歯の中間にある手前から三番目の歯を犬歯と呼びます。別名は「糸きり歯」。
    犬歯は、食べ物にかぶりついて切り裂く役割があります。
  • 臼歯きゅうし
    奥歯のことをいいます。臼歯は、食べ物をかみくだいたり、すりつぶしたりする役割やくわりを持っています。

 

M先生
M先生

実際じっさいに歯を指先でさわってみると、形がことなっていることに気づくことができるかもしれません。

 

この3種類の歯を参考さんこうに、動物の口のなかをのぞいてみると、どんな食事をふだんとっているのかが、想像そうぞうしやすくなるかもしれません。

 

いろいろな動物の口のなかを紹介してくれているサイトもありました。

 

▼いろいろな動物の口の中をのぞいてみよう

  

 

さて、クマの歯は、犬歯けんし」が発達はったつしているといわれています。
でも、実は口の奥の方をのぞいてみると、平らになっています。
私たちの口の奥歯も、平らになっていますよね。同じです。…
つまり、クマも「臼歯きゅうし」を持っているのですね。

 

実際じっさいに、クマの口のなかをのぞいてみよう


クマは、鹿しかなどの動物やさけなどの魚を食べることもあるのですが、
ドングリやベリーなどだけでなく、フキやイタドリなどの葉っぱも大好きなのだそうです。
上記じょうきでご紹介しょうかいした「のぼりべつクマ牧場ぼくじょう」のホームページによると、野生やせいのヒグマはなんと食べているものの7~8割が植物しょくぶつと言われているほどで、「草食そうしょくかたよった雑食ざっしょく」ともいわれるのだそうです。
 

 

M先生
M先生

ちなみにクマは、ハチミツも食べるそうですが、ハチのはちの子を狙っているようです。タンパクしつ豊富ほうふ貴重きちょう食糧しょくりょうの一つになるようです。

 

 

  参考

  

冬眠とうみん

イラスト:雪が降り積もる地面の下で、のんびりと冬眠しているクマ

クマの食性しょくせいについてみてきましたが、クマといえば冬眠とうみんする生き物、とも聞いたことがあります。

「冬」に「眠」と書いて「冬眠」ですが、実際じっさい、クマは冬の間、ずっとねむっているのでしょうか?

ねむっている間、食べ物を食べないでいても大丈夫だいじょうぶなのでしょうか??

そもそも、どうして「冬眠」が必要ひつようなのでしょうか。

(人間は、冬眠しないですんでいるけど、なぜ、冬眠せずにいられるのでしょうか?))

  

私たち生き物は、生きていくためにエネルギーが必要ひつようです。
自動車じどうしゃがガソリンで走るのとおなじように、私たちは栄養えいよう酸素さんそというエネルギーのもと摂取せっしゅするから、運動うんどう(生きる)することができるのです。

 

ガソリンの例でいうと、少ないガソリン量でたくさん走る車は、「燃費ねんぴがよい」とか「コストパフォーマンスがよい」と評価ひょうかされたりします。
少ないエネルギーを最大活用さいだいかつようしているからですね。

 

この、栄養えいよう体内たいないに取り入れてエネルギーにかえて運動うんどうしたり、体を修復しゅうふくしたり、不要物ふようぶつはうんちなどにして体の外に排出はいしゅつする活動のことは「代謝たいしゃ」と呼ばれたりします。

実は、冬眠とうみんもこの「代謝たいしゃ」のメカニズムとかかわりがあるようです。

 

冬になると、どうしてもなかなか食べ物を手に入れにくくなります。
しかし、食べ物を食べないと体を動かすためのエネルギーを手に入れられない。
そこで、極端きょくたんに体を動かさなくてもすむようなモードに体を切りえる仕組しくみをクマは持っているようなのです。
冬眠は、「寒い時期じきに動物が食物の摂食せっしゅや運動を中止して、代謝活動たいしゃかつどうを低下させた状態じょうたい冬季とうきを過ごすこと」と言えそうです。

 

 

▼クマが冬眠するメカニズムとは

▼クマが冬眠するまで…冬眠中のこと

イラスト:SF映画などに登場する、老化せずに体を長期間保存しておくために冬眠状態で眠っている女性

 

  

よく、SF映画などで、「コールドスリープ」という言葉が出てきたりするのを聞いたことはあるでしょうか。

まさに、人間を冬眠状態とうみんじょうたいにして、少ないエネルギーで生存せいぞんしつづけるようにするためのテクノロジーです。

…とはいえ、まだ実用化じつようかした技術ぎじゅつではありません。
遠くの惑星わくせいへの宇宙旅行うちゅうりょこう実現じつげんするための技術ぎじゅつのひとつとして、コールドスリープの実現じつげん目指めざした研究けんきゅうが進められていて、その際に、冬眠する動物たちの体の仕組しくみは、大きなヒントになるのではないか、と指摘してきされているのだそうです。

 

 

 

クマ以外に冬眠する動物

クマの他に、どのような動物が冬眠しているのでしょうか?

 

M先生
M先生

実は、同じクマでも、冬眠するクマもいれば、冬眠しないクマもいるのだそうですよ。
かぎとなるのは、住んでいる地域。

 

そもそも、冬眠は、冬の間、体を動かすエネルギーげんが得られないがためにとられた生存戦略せいぞんせんりゃくとみなせます。
冬の間、体温たいおんを下げて、必要ひつようなエネルギーを最小限さいしょうげんおさえるのが「冬眠」なのです。

 

例えば、クマは冬眠する前にたくさんの栄養えいようを体の中にたくわえておくのだそうです。
冬眠中はうんちやおしっこもせずに、もちろんご飯も食べずに過ごすのだとか。
 

一方、ずっとているのではなくて、ときどき目をまして食事をしたりトイレをすませながら冬眠する動物(シマリスなど)もいるのだそうですよ。

 

実は、クマもシマリスも恒温動物こうおんどうぶつ分類ぶんるいされる生き物です。
恒温動物とは、環境かんきょうによらず、体温たいおんが変わらない生き物のこと
抱っこして、あたたかさを感じる動物、ともいえるかもしれません。哺乳類ほにゅうるいの多くは恒温動物と言われています。
例外れいがいもいます!ナマケモノは、哺乳類だけど変温動物へんおんどうぶつなのだそうです)

 
冬眠する間は、エネルギー消費しょうひ最大限さいだいげんおさえるために体温たいおんも下げることになるのですが、そのメカニズムこそが、コールドスリープ実用化じつようかのカギなのかもしれません。

 

M先生
M先生

私は春夏秋冬しゅんかしゅうとう、だいたい体温は36度。
つまり、ヒトは恒温動物こうおんどうぶつなんですね。

 

一方、環境かんきょうおうじて体温を変える動物のことを変温動物へんおんどうぶつと呼びます。

水温すいおん気温きおんなどの温度によって体温たいおんを変化させるこの変温動物の力は、きびしい自然界しぜんかいで生きくために獲得かくとくした、ある意味で知恵ちえのようなものです。

が、体温が極端きょくたんに下がると活動ができなくなり、冬眠モードに入ることになります。

 

実は、哺乳類ほにゅうるい鳥類ちょうるいをのぞいたすべての動物が変温動物へんおんどうぶつ該当がいとうするといわれています。
(ここにも例外れいがいがあるようです。爬虫類はちゅうるいのウミガメなど)
カエルやイモリなどの両生類りょうせいるい、トカゲやヘビなどの爬虫類はちゅうるいも変温動物ですね。
一部の変温動物は、冬になると土のなかにもぐって、じっと春がやってくるのを待つのだそうです。

 

 

M先生
M先生

なぜ、動物によって冬の生きき方がちがうのか――そこには「進化しんか」のプロセスも関係かんけいしているのかも。
国立科学博物館こくりつかがくはくぶつかんのwebサイトで、秘密ひみつさぐることができるかもしれません。

  

国立科学博物館こくりつかがくはくぶつかんのwebサイトをのぞいてみよう

 

 参考

 

 ▼いろいろな動物の秘密ひみつさぐってみたい人は…

 

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