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1.紅茶のイメージ
皆さん、紅茶は好きですか?紅茶にまつわる国と言えば何処でしょうか?
茶葉の中にはアッサムやダージリンなどの産地から名づけられたものもありますが、イングリッシュブレックファースト、プリンスオブウェールズといったものもあります。
さて、後者の由来は何処でしょうか?
【クイズ】イングリッシュブレックファースト、プリンスオブウェールズの名前の由来になった国はどこ?
- 日本
- イタリア
- フランス
- イギリス
Englishには2種類意味があります。
皆さんご存知の「英語」、そして、「イギリス人(イングランド人)」の2つです。
でも、英語といったらイギリスではなくアメリカを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。それはアメリカはもともとイギリスの仲間だったからです。
英語の主な種類にアメリカ英語とイギリス英語があるのはそのためです。
なぜアメリカはイギリスの仲間から外れたのか、紅茶を通して学んでいきましょう。
2.アメリカの誕生
アメリカの発見
まず、アメリカにももともと人は住んでいました。そして、かつて地球が平面だと思われていた時代に、香辛料が取れるインドを目指して航海をしました。その中のコロンブスはアメリカ方面にたどり着いたのですが、そこをインドだと勘違いしてしまいました。
もともと住んでいた人々は「インドだ」と思われた場所に住んでいたため、かつてはインディアンと呼ばれていましたが、今では「もともとアメリカに住んでいた人」ということでネイティブアメリカンと呼ばれています。
地図でイギリスとアメリカがどこにあるか確認してみましょう。
左上のピンクになっているところがイギリスです!
右の真ん中あたりのピンクの場所がアメリカ(ハワイ、アラスカ以外の48州)です!
イギリスから見て、アメリカは大西洋を挟んだ反対側にあります。
飛行機もない時代だったため、船で移動したということになります。
大西洋はヨーロッパから見て「西」にある「大きな海洋」ということですね。
因みに太平洋は「穏やかな(太平な)海洋」ということです。漢字のミスに気をつけてください。
アメリカでの植民地戦争
コロンブスたちの時代から時が流れ、イギリスではピューリタンと呼ばれる人々が迫害され、アメリカにやってきました。そこで人々は大西洋の沿岸に植民市を立てました。1619年には植民市に一定の自治権が認められ、議会が置かれました。
しかし、アメリカに入植していた国はイギリスだけではありませんでした。スペインやフランスもアメリカでの勢力拡大をもくろんでいました。そして、イギリスは1702年のアン女王戦争に、1754年のフレンチインディアン戦争に勝利し、イギリスはアメリカでの植民地を拡大していきました。
因みに、カナダはかつてフランスの植民地だったので英語もフランス語も話されていますよ!
アメリカの独立の話でまさかカナダも出てくるなんて驚きですね。
金づるとしてのアメリカから、一つの国としてのアメリカへ
イギリスのお財布だったアメリカ
何度もフランスと戦争をしたらお金がかかってしまうもので、イギリス本土は植民市で高い税金をかけて賄おうとしました。そこで印紙がついた出版物に税金をかける印紙法が制定されました。でも、こんな無茶な税金のかけ方をしたら人々は苦しくなってしまいます。そこで植民市では植民市の意見を聞かないで法律を決めることに反対し「代表なくして課税なし」が決議され、イギリス製品を買わない運動が起こりました。
それでもイギリス本土は茶法を制定し、当時オランダとの競争に負けていた自国の国営会社東インド会社をたすけることを口実に、アメリカで茶葉を造れないことをいいことに、茶葉に税金をかけて植民地の経費を賄おうととしました。ここで植民市側も対抗して、ボストン港で茶葉の詰まった箱を投げ捨てるボストン茶会事件が発生しました。ここで紅茶が入った箱を捨てたのはアメリカがイギリスを支える植民地ではなく、一つの国として独立しようとしたことの現れです。
勝手に戦場にされ、その上身内である植民地側の意見も聞かずに「高い税金を払え!」なんて言われたら嫌ですよね……。
独立への一歩
そして、ここからアメリカはイギリスからの独立へと動き始めます。1775年には第1回大陸会議が開かれ、国は愛国派のパトリオット、国王派のロイヤリストに分断されました。そして、同年にレキシントンの戦いが起こり、翌年アメリカの独立宣言が発表されました。1783年パリ条約ではアメリカの独立が承認、1787年には合衆国憲法の制定、そして1789年で初代大統領が就任しました。
因みに年表にするとこんな感じです!
年号 | 出来事 |
1702 | アン女王戦争 (フランスに勝利、ハドソン湾、ニューファンドランド、アカディアを獲得) |
1754 | フレンチインディアン戦争 |
1763 | パリ条約 (イギリス、フランスからカナダ、ミシシッピ以東ルイジアナ、スペインからフロリダを獲得) |
1765 | 印紙法制定 (パンフレット、新聞、カレンダーなどに印紙を貼り、税金をかける法律) |
1773 | 茶法 (東インド会社の市場独占) |
1773 | ボストン茶会事件 (イギリス東インド会社の市場独占に激怒、茶箱を海へ投げ捨てた) |
1774 | 第一回大陸会議 (ジョージア以外の12植民地による会議、愛国派(パトリオット、一つの国としてイギリスから独立するべきと考える人々)と国王派(ロイヤリスト、このままイギリスの植民地でいるべきと考える人々)に分裂) |
1775 | 第二回大陸会議 (連合軍結成、ワシントンが総司令官に就任、独立宣言採択) |
今回の記事に出てきた少し難しい言葉の意味ははこんな感じです
用語 | 意味 |
植民市 | もともと人が住んでいた土地を別の国が所有し、新たに人々が移住してきた土地。他にはオーストラリアやニュージーランドなどもイギリスの植民地だった。 |
ネイティブアメリカン | かつてアメリカ大陸がインドだと信じられていたためインディアンと呼ばれていた。彼らはアメリカの誕生の中でミシシッピ川の東側へ追いやられていった。 |
自治 | その土地に住んでいる人々で、どのように人々がまとまって動くかを決めること。 |
議会 | 人々が集まって、どのように地域や国をまとめるかを話し合う場所。 |
税金 | 国の財政を賄うために人々が払うお金 |
愛国派(パトリオット) | アメリカは一つの国として独立するべきだと考える人の集まり |
国王派(ロイヤリスト) | アメリカは植民市としてイギリスの保護下にあるべきだという人々の集まり |
東インド会社 | もともとは特許状をもらい、香辛料貿易を独占していた会社 |
まさか紅茶がアメリカ誕生のトリガーになるとは驚きですね!
皆さんが日々口にするものには意外な歴史が隠されているかもしれませんね。