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※こちらは「古文にふれてみよう①」の続きとなっています。ぜひ①からお楽しみください!
省略される語

続いての話題は②の省略される語についてお願いします!

はい!その名の通り、古文ではときどき語が省略されることがあります。わたくしの自己紹介の文を使って説明していきますね!

我は歌子といふものなり。平安の世より来たり。ねむごろに歌詠みて、こののちも歌詠みて世の中をすぐ。

私は歌子という者です。平安の世界から来ました。一生懸命歌を詠んで、これからも歌を詠んで生活します。
という意味でしたね!

その通り!では、どこが省略されていると思いますか?

うーん。古文と現代文を比べてみると……!
省略は「歌詠みて」の部分だと思います!

古文だと「歌詠みて」ですが、現代文の意味の方では、「歌を詠んで」となっていますよね!

お見事ですSさん、大正解です!!

我は歌子といふものなり。平安の世より来たり。ねむごろに歌詠みて、こののちも歌詠みて世の中をすぐ。
この赤字の部分ですね。

「歌詠みて」の部分では、現代語でいう助詞の「を」が省略されています。「を」だけに限らず、このように、古文では助詞が省略されることがよくあるんですよ!

また、古文では、主語が省略されることもしばしばあります。

現代人の私も、いちいち「私は、」から話し始めないときがあるな…。
それに、「ごはん食べる」「学校行く」といった言葉を使うときもある…。
古文と現代文の違いとは言うものの、「省略」は現代人にもなじみの深いものなのかも…!

現代でも省略を用いることがあるかもしれません!しかしながら、現代では生活の中での会話の場面で使うことが多い気もします。文章を書き残すときはあまり省略しないようにしているのではないでしょうか?
古文の場合は、書物という記録に残るものに省略が確認できるので、「省略」は書き言葉としても一般的だったのかもしれませんね。あくまで平安出身の歌子なりの考えですが…おほほ。

たしかに言われてみれば、作文や感想文を書くときは、できるだけ丁寧に書いて省略しないようにしています…。少し使い方が今とは違っていたのかもしれないですね!歌子さんと話すと気づきがいっぱいです!
Sさんと歌子さん、省略についての話題で盛り上がっていましたね。ここでは「古文では助詞と主語が省略されることがある」このポイントをおさえておきましょう! また、Sさんと歌子さんの会話を読んで、「助詞ってなんだろう?」と思った方もいるかもしれません。助詞は古文でも現代文でも使われているので身近な存在です。助詞について知りたいと思った方はぜひ、下に紹介するページを見てみてください。
続いては、現代語では使わない語についてのお話です!
現代語では使わない語

歌子さん、続いて、現代語では使わない語について教えてください!

かしこまりました!ではこちらも、わたくしの自己紹介を例にしますね。

我は歌子といふものなり。平安の世より来たり。ねむごろに歌詠みて、こののちも歌詠みて世の中をすぐ。
(意味:私は歌子という者です。平安の世界から来ました。一生懸命歌を詠んで、これからも歌を詠んで生活します。)

現代語では使わない語はどれだろう…?歌子さんのような自己紹介自体、現代では耳にしませんが…「平安の世より来たり」とか「世の中をすぐ」という言い方は、とくに使わない気がします。

Sさん、よく気がつきましたね!

やった!あたったみたい!

現代語で使わないなと思った理由はなんですか?

歌子さんの自己紹介の訳を見てもわかるのですが、現代だと「来た」、「すごす」と言うかなあと思いました!

さすがSさん!その通りですよ。この文ではまさにSさんの指摘した、「来たり」と「すぐ」が現代語では使われなくなっている語の一例です。ここで、またまた登場!歌子のポイントです!

歌子のポイント~現代語では使われない語~
①来たり
意味:来た
補足:実は「来たり」で一つの単語ではな く、「来」+「たり」。現代語では、この「たり」が使われていないと言える。
「たり」が変化した形が、現代語で使われている過去形や完了形を表す「た」(例:食べた)
②すぐ
意味:すごす
補足:「すぐ」が変化した形が、現代語で使われている「すごす」。(例:休日を家族とすごす)

今回わたくしの自己紹介の中にはこの2つが含まれていましたが、ほんの一部ですので、ぜひ調べてみてくださいませ!

現代では使われていない古語を紹介した、おもしろそうなサイトを発見しました!

現代人の方々に気に入ってもらえることを祈っております…!
現代語では使われていない古語に興味をもっていただけたでしょうか?使われていないとは言え、変化した形が現代に残っているものもあると聞くと、はるか昔から受け継がれる言葉になんだか感動します…。 Sさんが紹介していたサイトもぜひのぞいてみてください!
続いては、現代語と形は似ていても意味が異なる語についてのお話です!
現代語と形は似ていても意味が異なる語

突然ですがSさん、「現代語と形は似ていても意味が異なる語」と聞いて、思い浮かぶ言葉はなにかありますか?

高校生のときに学んだ、「をかし」が強烈に印象に残っています!

「をかし」ですか!現代では学ぶほどに人気がある言葉なのですか!意外です…。

意外なんだ…。

では、Sさん。わたくしに「をかし」の現代の意味と、高校とやらで学んだ古語としての意味の両方を教えてくださいますか?

いつもいろいろ歌子さんが教えてくれていたから、自分で説明するのが初めてで緊張します…でも期待されているのですよね!がんばります!それでは、Sさんのポイント!カモン!

かもん…??とりあえず見守りましょう…。

Sさんのポイント~「をかし」の意味~
をかし
・現代語の意味
→ おかしい、おもしろい
・古語の意味
→ 風情がある、美しい

わかりやすいですね!お見事です!

おおお!よかったです!歌子さんに褒めてもらえるなんて嬉しい…ありがとう、高校の頃の先生…。

平安の世を生きるわたくしたちは、美しいものや心惹かれるもの、味わい深いなにかに対して込み上げてくる感情を表す言葉として「をかし」を使っています。しかし現代では、なんだか笑えるものに対する「おかしい、おもしろい」という感情を表す意味で使われているのですね。

ようするに、歌子さんたちは、心がときめいたりステキだったりする何かに対して「をかし」と言っているということですね!

諸説ありますが、「おかしい、おもしろい」という現代の意味の語源についての説明を見つけました。古語から現代語になる過程って今まであまり気にしてこなかったから、もっと調べてみたいなあ。

受け継がれてきた言葉について興味をもって調べようとするその姿勢、「をかし」です!!
Sさんと歌子さんが「をかし」に注目して、現代語と形は似ているけれど意味が異なる言葉を紹介してくれました。日々の生活の中で心がときめいたり、ステキだと思ったりしたら、ぜひ「をかし」と言ってみてください!形が似ているけれど意味が違う言葉をもっと知りたい!という方は以下に紹介するサイトをのぞいてみても楽しいですよ!
続いては、古文と現代文の違いの最後のトピックである係り結びの法則についてのお話です!