フネで旅する漢字の海原(うなばら)シリーズ③ フネの名前

海賊船 読み物

さんかくすと文がえます

艦艇(かんてい)の名前―それぞれの由来とエピソード

いくつか実際に船の名前を見てみましょう。
※ ですが、ここでは艦艇(かんてい)詳細(しょうさい)情報は(はぶ)き、あくまで「名前」に注目していきます!

日本の戦艦(せんかん)

大和(やまと)

 

 日本の古称・雅称(がしょう)
 ヤマト王権が大和(やまと)と呼ばれる地(現在の奈良(なら)県内)にあったことに由来します。
語源(ごげん)には諸説あるとされ、「山のふもと」の意味だと言われたり、もともとは「山門(やまと)」で山に神が宿るとみなす自然信仰の拠点(きょてん)であった地名が国名になった、とする説もあります。邪馬台国(やまたいこく)の「やまたい」が「やまと」になった、という人もいます。

 

 

扶桑(ふそう)

 

 中国伝説で東方のはてにある巨木のこと。その巨木の生えている土地を扶桑(ふそう)国といいます。中国で日本のことを「扶桑(ふそう)」と呼ぶことがあったそうです。

 

 

伊勢(いせ)

  

 現在の三重(みえ)県の大半を指します。伊勢神宮鎮座(ちんざ)の地として古くから栄えてきました。伊勢神宮(いせじんぐう)は、明治時代から太平洋戦争前までの期間、すべての神社の上に位置する特別な神社とみなされてきたそうです。

日本の戦艦のこと__(せんかん)

 

M先生
M先生

日本を表す呼び名、日本を象徴的に示すシンボル、みたいなものがいろいろあるんですね。
日本といっても細長い島国。
日本に暮らす人々がどんなふうに気持ちをひとつにしようとしたのか、実際のところどうだったのか…も、いろいろな考え方や理解があるようです。
どうして、みんながそれぞれ「私は日本人」って思えるようになったのか、は素朴(そぼく)に不思議ですよね

 

日本の航空母艦(こうくうぼかん)

赤城(あかぎ)

 

 群馬(ぐんま)県前橋市の赤城山(あかぎやま)にちなんで命名されました。
この赤城山(あかぎやま)には伝説があるそう。
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 日光市の男体山(なんたいさん)の北西にある戦場ヶ原(せんじょうがはら)で、男体山(なんたいさん)の神様と赤城山(あかぎやま)の神様がそれぞれ大蛇(だいじゃ)と大ムカデになって戦い、男体山(なんたいさん)の神が勝利をおさめた、という言い伝え。赤城山(あかぎやま)の北にある老神(おいがみ)温泉の地名は、このとき落ちのびた神が追われてやってきたことに由来するといわれ、「アカギ」という山名も神が流した血で赤く染まったことから「赤き」が転じて赤城山(あかぎやま)になったともいわれる。戦場ヶ原で負けた赤城山(あかぎやま)の神は老神(おいがみ)温泉で傷をいやし、男体山(なんたいさん)の神を追い返したという。

 

 

 

鳳翔(ほうしょう)

 

 (ほう)(はね)を伸ばして上空を飛び舞うという意味。
実は、鳳凰(ほうおう)手塚治虫(てづかおさむ)の『火の鳥』という漫画(まんが)作品にも同じようなキャラクターがでてきます。
 鳳凰の正体は、中国神話の伝説の鳥、霊鳥(れいちょう)です。日本以外にも東アジア全域にわたって装飾(そうしょく)やシンボル、物語・説話・説教などに登場します。

 皆さんの身近なところでは、一万円札にも描かれていますね。また、10円玉に描かれている平等院鳳凰堂(びょうどういんほうおうどう)の屋上にも鳳凰(ほうおう)がとまっているのです。
日本のお金のデザインは日本銀行のホームページで確認できます。

 

蒼龍(そうりゅう)

 

 四神(ししん)の一つ。青龍(せいりゅう)の別名。
 四神(ししん)とは、中国の神話、天の四方の方角をつかさどる霊獣(れいじゅう)のことをいいます。

 東は青龍(せいりゅう)(青いドラゴン)、南の朱雀(すざく)(あか)い鳥)、西の白虎(びゃっこ)(白いトラ)、北の玄武(げんぶ)(へび)がまきついたカメ)が四神(ししん)
(こふん)

 

白虎
朱雀
玄武
青龍

 

 この航空母艦の名前は「蒼龍」。「青」ではなく「」という字を使っているのが印象的ですね。
」という漢字には「くさかんむり」がついていますが、そのことからもともとは、「草の青さ」「草が青く茂る様子」を示すような言葉のようです。
現代の日本語では「青」という漢字は、英語でいうブルーを意味することが多いそうなのですが、「青」のもともとの意味は青山・青林のように緑色植物の色を指すことが多いそうで、そういった背景にも由来しているよう。

この四神(ししん)奈良(なら)明日香(あすか)村のキトラ古墳のなかにも描かれたとニュースになっていたりもしました。

 ところでみなさんは、「白虎隊(びゃっこたい)」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
幕末、今の福島(ふくしま)県あたり、会津(あいづ)藩が新政府軍と戦争(会津(あいづ)戦争)になった際、会津(あいづ)藩で編成された部隊に、四神(ししん)に由来した、玄武(げんぶ)隊(50歳以上)、青龍(せいりゅう)隊(36~49歳)、朱雀(すざく)隊(18~35歳)、白虎(びゃっこ)隊(17歳以下)が組織されたそうです。
 特に白虎(びゃっこ)隊は若いメンバーで構成されていたこともあり、悲しい歴史として物語やドラマとして語り継がれています。

 

 

M先生
M先生

2013年のNHK大河ドラマ『八重(やえ)の桜』は、会津(あいづ)も舞台にした物語でしたね。
そして四神がさまざまな場面で登場し、大事にされてきたことが分かります。

 

千歳(ちとせ)

 

 七五三(しちごさん)のときに棒状(ぼうじょう)(あめ)を食べたことがある、という人は多いのではないでしょうか。あの(あめ)の名前を知っていますか?
千歳飴(ちとせあめ)」です。「千歳(ちとせ)」という言葉は、千年、長い年月を意味します。「(つる)は千年、亀は万年」の言い伝えにも(ちな)んだ縁起(えんぎ)の良い言葉なのです。

千歳飴

 子どもの成長と健康を祝う七五三(しちごさん)千歳飴(ちとせあめ)は、今まで無事に成長したことへの感謝とこれからの将来と長寿(ちょうじゅ)を願う意味が込められているのですね。
長い棒状の(あめ)、というのも、「長寿(ちょうじゅ)」にあやかっての形です。
おいしいだけでなくて、そんな願いが込められた(あめ)だったんですね。

日本の航空母艦のこと(こうくうぼかん)(せんかん)

 

M先生
M先生

なんだか武勇伝(ぶゆうでん)とか(いさ)ましいエピソードが目立ちましたね。
日本の山にはいろいろな伝説が残っているのもなかなか面白いです・・・!
でもいろいろなエピソードが日本独特のものとは言い切れず、中国など近くの国々とも共有してきた大切な神話や信仰心があったのだなあ、と感じますね

読み物漢字日本の地理国語(こくご)戦争の歴史文化伝説・昔話言葉の意味社会(しゃかい)

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  1. 白衣博士 より:

    M先生、ご苦労!
    でも、実は軍艦の命名基準は、ちょっと違っているんじゃよ。
    駆逐艦、一等巡洋艦(重巡)、二等巡洋艦(軽巡)はそのとおりじゃ。
    ちなみに重巡は機動艦隊の護衛など重要な任務についていたから、知っているチビッコも多いじゃろう。戦艦を出し惜しみした太平洋戦争初戦では大活躍じゃったな。
    軽巡と駆逐艦は掃海艦隊の主力で、かの戦艦大和が率いる最後の悲劇の艦隊の主力じゃった。

    で、その戦艦の名前は、「日本の旧国名」からつけられていたんじゃよ。今の都道府県名は、江戸時代より昔は、国と呼ばれて、独自の名前があったんじゃな。名戦艦として世界のビッグ7とされ、連合艦隊の旗艦を務め、最後まで生き残り大戦の悲劇の象徴となった、戦艦・長門ほか、戦艦・陸奥も旧国名じゃ。先日、水中撮影された戦艦・武蔵もそうじゃな。
    だから戦艦・大和は、旧国名の大和、つまり今の奈良県なんじゃよ。もちろん古い日本の呼び名もイメージしてのことじゃろうがな。なぜ奈良県がそんなに重要な名前だったのかは、M先生や社会の学びのナビゲーターが教えてくれるじゃろう。

    で、航空母艦の名称は、「空を飛ぶもの」から取られているんじゃ。世界初の第一機動部隊の主力「蒼龍」「飛龍」は飛ぶ龍、世界初の機動艦隊どうしの交戦を体験し甚大な被害を受けた「翔鶴」や、「瑞鶴」は鳥のイメージじゃな。

    でも「真珠湾奇襲攻撃」の南雲機動艦隊の旗艦は「赤城」でしょ?、とか、僚艦は「加賀」でしょ?と疑問に思うチビッコも多いじゃろう。
    わかっとるよ!
    実は「赤城」、「加賀」とも、元々は別の軍艦として建造され命名されたんじゃ。しかし、戦争で航空機が主力になってきたため、慌てて変更されて完成したんじゃな。だから、命名基準どおりではあるんじゃよ。本当は!
    もともと、どんな軍艦として完成される予定だったのか、みんなも考えてみよう!

    まあこのあたり、旧日本海軍が、どれほど空母を軽視していたか、あらわしとるのかもしれんのう・・・いずれにしても、もうこんな軍艦は作らなくてもいい時代が来るのが一番じゃな。

    • M先生 より:

      白衣博士!!!
      めちゃくちゃ勉強になりました…!
      そうか。日本の旧国名っていうのは、藩名みたいなものがイメージに近いのですね‥‥確かに自分の故郷の名前が船についていたりとかしたら、俄然士気もあがっていたのかもしれないです‥。廃藩置県(はいはんちけん)とか、廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)とか明治維新の頃に反対や抵抗もあったと聞いたこともあるけれど、そういう国民感情への対応も関連していたのかもしれない…?
      ちなみに明治維新のときに政府軍と争った、それこそ会津などの名前はやっぱり採用されなかったのでしょうか…?その当時の日本の政権についていた政治家たちがどんな人達だったのか、にも依るのかなあ…。もはや「国語」の領域ではなくなりつつありますね汗。
      そして、航空母艦は「空を飛ぶもの」で例外はもともと違う艦艇になるはずだったものの”おさがり”みたいなものだったんですね…。なるほど…今更ながらものすごい納得…。

      なんだか、たかが「名前」なのだけど、されど「名前」で、どんどん”なるほど”がひろがっていくのがものすごく面白いです…!

      ぜひ、またみんなが知っていることも教えてほしいです~!
      白衣博士、ものすごい勉強になりました!ぜひまた教えてください~ありがとうございます!

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