言葉でつなぐ、つながっていく① ―なぜそう“あいさつ”するの?

集合している子どもたちのイラスト 漢字

さんかくすと文がえます

おかげさま

 

感謝の気持ちを表す語。挨拶(あいさつ)の言葉としても用います。

 おかげさまは、他人からうける利益や恩恵(おんけい)を意味する「お(かげ)(かげ)」に「様」をつけて丁寧(ていねい)にした言葉。

古くから「(かげ)(かげ)」は神仏(しんぶつ)などの偉大(いだい)なものの陰で、その庇護(ひご)を受ける意味として使われているそうです。
ただ、「蔭」という字が常用外漢字ということもあって、「陰」という漢字で代用されることが多いそう。

M先生
M先生

ちなみに「かげ」という言葉にもいろいろな漢字がありますね。

 

もともと「かげ」の語源は、『古典基礎語辞典』によると、陽炎、鏡などと同じだそうです。
おおもとの意味は「光」で、太陽や月、灯火などの光を意味し、「月影つきかげ」といえば「月光」、「火影ほかげ」といえば「灯火の火」を意味したとか。

」という漢字

」という漢字は、
  ・「光」を意味する字の「景」、
  ・彩や模様、飾りなどに関する文字を形作る「さんづくり(彡)」
から成り立ち、光でできる模様というような意味あいを持つ漢字になるようです。

月に映るうさぎの影

光の反射はんしゃなどによって鏡や水面みなもに映る姿のことも「影」の字であらわします。
そこから姿じたいを「影」という漢字であらわすようになったのだそうです。

面影おもかげ」や「撮影さつえい」などの熟語に「影」という字が含まれることも、これで納得できますね。

 

」という漢字

」という漢字は、
  ・小高い山や丘を意味する「こざとへん」
  ・インという音を表す「侌」という”つくり”
の二つを組み合わせて成り立つ漢字です。

どうやら、山などによって生じる薄暗い陰、という意味合いを持つようです。
「陰陽」という言葉があるとおり、「明るい部分」に対する「暗い部分」というニュアンスですね。

ど鏡、かげろう

M先生
M先生

この「かげ」という言葉や漢字について、いろいろと例文を紹介しながら説明をしているのが、下記のホームページです。
「なるほど…」が詰まっていますよ。

 

 

恩に着る

受けた恩をありがたく思う、という感謝を表す表現のひとつです。

」とは、他の人から与えられた「めぐみ」や「いつくしみ」という意味ももつそう。

『日本書紀』や『古語拾遺(こごしゅうい) (しゅうい)』などの日本の古典に出ている「恩」は、
「めぐみ」「みいつくしみ」「みうつくしみ」などと()まれているようです。

「めぐみ」は、草木(くさき)()ぐむなどというときの()ぐむを名詞形にしたものとされているそうですが、草木(くさき)()ぐむのは冬眠(とうみん)していた草木(くさき)の生命力が陽春(ようしゅん)の気にはぐくまれて目覚めることによる…

‥‥つまり、ある者が他の者に生命を与えたり生命の発展を助けることが恩を(ほどこ)すことであり、その逆が恩を受けることであるとみられているそうです。

芽吹きのイラスト

 

そもそも仏教用語でもある「恩」という漢字。

大乗本生心地観経(だいじょうほんじょうしんじかんぎょう)』という書物の中には、
  ・父母の恩
  ・国王の恩
  ・衆生(しゅじょう)の恩(衆生(しゅじょう)とは生きとし生ける全てを表す言葉だそうです)
  ・三宝(さんぽう)の恩(お釈迦しゃかさまがお弟子でしさんに説かれた教え。心のり所となる大切なものとして、「仏」「法」「僧」の三つのことを指すそうです)
など四恩(しおん)を心に深く感じ大切に思うことが、仏道(ぶつどう)修行の要素であると説いているとか…。

 

 

ちなみに「恩着せがましい(恩恵(おんけい)(ほどこ)して、いかにも感謝しろと言わんばかりの態度)」など「着る」という表現がついてくるのはなぜなのか…

この「着る」という言葉には「身に引き受ける」という意味がこめられているそう。

「罪を着る」という言葉が同様に「着る」という語を使う例です。
「罪を着る」という場合は、自分の罪ではないのに、その罪を引き受ける、という意味になります。

浦島太郎

恩に着る」という表現をする場合、恩を身に引き受ける
―「このご恩は一生この身に引き受け、忘れません」というニュアンスが含まれてくるとか。


あなたに借りができました」というようにも意味を受け止めることができる言葉です。

 

M先生
M先生

むかしばなしに出てくる、「浦島太郎」のカメさんや「鶴の恩返し」の鶴も、みんな「恩に着ます」と言っていたような気がしてきました…。

 

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