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春のお魚
鱵 さより
「さより」という名前の由来として、
海面近いところを群れをなして泳ぐことから「沢寄り」「いさより(磯寄り)」が変化したものではないか、と言われています。
細い魚で「細魚」、針のような魚で「針魚」と当てて書くこともあるとか。
漢字の「箴」には針という意味があるそうです。ほかに「いましめ」という意味も。
旧約聖書に「箴言」と呼ばれる篇がありますが、
ここには様々な徳や不徳とその結果、日常における知恵や忠告などが書かれています。
癖のない白身の高級魚。
「春を告げる美しい魚」、「春の気品の高い魚」として知られる。
お刺身にしていただくととてもおいしいそうです。
ちなみに、「サヨリのような人」と呼ぶこともありますが、それはあまり良い意味ではありません。
水揚げされると、胃の中が一番に劣化していき、腹の部分が黄色くなり傷んでくると最後には破れてしまうそうで、この腹の傷みの早さなどから、
「外見ばかりがよくて腹黒い人間」という意味になります…。
まん丸な目と、口先のとんがり具合、本当に細身の姿のお魚ですね。
鰆 さわら
サバ科の海魚。
春に旬を迎えるという理由で「魚」に「春」の「鰆」です。春のお魚として王道なのですね!
だが、語源由来辞典によれば、
瀬戸内では春が旬だが、関東で美味しくなるのは秋以降で、特に12月を過ぎたものを「寒ザワラ」とよび、冬を旬とするものもあるそうじゃよ。地域によって旬が違うので、その地域でおすすめされた方法で頂くのがオススメじゃ。
じゅるり。
なのに、魚へんに「春」の魚になったんですね。
ちなみに鰆は春の季語にもなっているようですね。
ただし、「鰆」と書くようになったのは近世になってからだそうで、江戸時代には狭い腹で「狭腹」と書くことが一般的だったそう。
歴史的仮名遣いでは「サハラ」。
「サ」が「狭い」、「ハラ」が「腹」の意味で、マグロを細長くしたようなその体型から「サハラ」と呼ばれるようになったそうです。
他の説では、植物の葉に斑点や筋ができたものを「イサハ」と呼ぶそうですが、鰆にも斑点模様があることから「イサハダ」と呼び、
そこから「イ」が取れて「サハダ」→「サハラ」と呼ぶようになったのでは、ということです。
そして、鰆は出世魚と呼ばれています。
成長段階に応じて名前が変わることにちなむようで、江戸時代まで武士や学者は成人すると、元服を機会に幼名から実名(成人後の名前)に変える習慣に基づいて、成長に応じて名前が変わる魚を「出世魚」と呼びます。
出世魚は縁起物でおめでたい席では必ずといっていいほど出されるそうです。