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2020年度IES研修の必修実習をファストパスで取得する際に必要となる、オンデマンド課題「映像ディスクリプション」に関するページです。
オンデマンド課題:映像ディスクリプション
映像ディスクリプションって何?
映像をディスクリプションdescriptionする
――すなわち「映像ディスクリプション」ということになりますが、これは一体何を意味しているのでしょうか。
これは津田塾大学で主に視覚障害や発達障害のある学生を対象に実施されている支援の一つです。
皆さんが受講している授業の中でも映像が使われることがあったのではないでしょうか?
その映像あるいは、画像は視覚的な情報です。
視覚障害があるとき、この視覚的な情報を補うことが求められる場合があります。
(視覚的な情報がどのように扱われているか次第で、発達障害のある人にとっても情報を補足する必要が出てくることがあります)
つまり、
映像ディスクリプション=視覚情報を口頭(あるいは文字)で補うこと
なのです。
映像ディスクリプションに似ているもの
「音声ガイド」や「副音声」、「音声解説」と呼ばれるものが、映像ディスクリプションと似ています。
社会福祉法人日本ライトハウス・情報文化センターのホームページでは、音声解説のことを、
テレビや映画で、主音声ではわかりにくい場面転換や人物の動作、表情などを音声で説明するもの
と説明しています。
例えば、NHKのドラマなどを見るときに、副音声のボタンを押してみてください。これが「音声解説」か!と気軽に体験していただくことができます。
この「音声解説」。簡単そうに見えて、実はたくさんの時間を割いて試行錯誤しながら完成されています。
視聴者に「鑑賞」の余地を残すために、注意して音声解説を実施する必要があるためです。
例えば、どんなふうに音声解説がついているのか、実際に確認してみましょう。
下記は『アラヤシキの住人たち』というタイトルの映画の予告動画のバリアフリー版です。
実は、視覚障害のある人だけではなく、聴覚障害のある人に対しても映像を楽しんでもらえるような工夫が盛り込まれています。
どんなところに工夫がされているのか、映像ディスクリプションされているか注目してみてください。
映像の中でどんなふうに言葉をはさむのか、何を言葉で説明するのか、説明するところとしないところがあったことに気づいていただけたでしょうか。
特に、例えば山道を歩いているような場面(0:25~)では、その説明はされていません。ですが、ヤギ?の「めぇ~」という声やカランコロンと鳴る鐘の音、かすかに聞こえる足音のような聴覚的な情報から、なんとなく情景を思い浮かべることができるから、なのかもしれません。
一方で、字幕情報が出ていたことにも気づいていただけたでしょうか。誰が発言したのかが分かるように字幕に記されていたり、セリフ以外の音声情報についても字幕で示されていましたね。
先ほど、NHKのドラマなどを見るときに「副音声」ボタンを押してみて、とお伝えしましたが、「字幕」ボタンを押すと、上記の工夫と似たような字幕情報を示すことができますよ。
映像作品を多くの人に味わってもらえるような工夫の取り組みが実施されているのですね。
映画の音声ガイドなどを制作するNPO法人シネマ・アクセス・パートナーズさんもその一つですが、「音声ガイドができあがるまで」で説明してくださっている通り、一つの作品が仕上がるまでにたくさんの工程があることが分かります。
バリアフリー映画を楽しめるような工夫がさまざまにされているわけですが、実際に映画館などでは、「UDCast」などのアプリを活用することで、活用することができるようになっているわけです。
このアプリも、ぜひダウンロードして、実際に映画館で視聴してみるのもおススメです。どんな試行錯誤があって、この情報を補ったのか/補わなかったのか、を考えてみる楽しみ方もできるかもしれませんし、また違った鑑賞体験ができるかもしれません。
授業における映像ディスクリプション
授業における映像ディスクリプションはどのように実現されているのでしょうか?
映像ディスクリプションが「音声解説」などと必ずしも一致しないのは、授業で扱われる映像資料が対象になっているからです。
授業で扱う映像資料について、視覚情報を補う際は、
という条件下で作成する必要があるのです。
視覚情報を言語化する、ということ
でも実際に視覚情報を言葉で説明していく、となったとき、何からどんなふうに伝えていけばいいのか、悩ましいですよね。
ルールのようなものが明確に存在しているわけではありませんが、視覚情報を言葉に置き換えるとき、やっぱりこういう点に注意するとよいだろう、いうような、「考慮するとよいポイント」は存在しているのです。
どのようなシチュエーションか、相手が何を知りたいか(目的は何か)によって、伝え方は異なってくる可能性がありますが、おそらく大事になるポイントは、
「概要→具体の順番で説明していくこと」といえるかもしれません。
この伝え方の工夫は、伝える対象の構造を意識することにもつながります。
アウトラインを意識して、メインの情報と具体的な情報をどう整理するか、が「ディスクライバー」には求められるわけですが、これは、映像ディスクリプションの場面以外にも、役立てることができるような頭の体操になります。
ちなみに、方向を示すときに便利な表現があります。
「クロックポジション」と呼ばれるもので、物の配置関係を時計の数字に合わせて説明する方法ですね。
「あれ」とか「それ」では伝わらないとき、どんなふうに表現を置き換えると確実に相手に情報を伝えることができるか、がとても大切になります。
実際にチャレンジしてみよう!>映像ディスクリプション
ここからは実際に授業で用いられる映像を挙げます。
そして、実際の「映像ディスクリプション」のために準備した口頭情報を補うための原稿も準備しています。
実際に、どんなタイミングでどんなふうに口頭で情報を補えるか、ぜひチャレンジしてみてください!
実際に試していただくために準備しているのは、【冒頭~7:52】です!
ディスクリプションのための原稿はこちら!
※ 「新しいタブで開く」などで操作して、映像と並べて表示させながら、ディスクリプションにチャレンジしてみてください
うまくできましたか?
この映像の場合、演出上の工夫と講義の内容がとても密接にリンクしているということ。
テロップで表示されている内容は、講師が特に強調してお伝えしたいことである、という特徴を考慮してディスクリプション原稿が作られています。
授業で扱う映像/画像のディスクリプションをする場合は、
を把握することがとても重要になると言えるでしょう。
オンデマンド課題
下記の映像資料の映像ディスクリプションのための原稿を作成してみましょう。
作成方法は上記の映像の映像ディスクリプション原稿の形式に倣って作成してください。
※ ディスクリプションのタイミングを[分:秒]で示し、必要なディスクリプション内容を「メモ帳」あるいは「ワード」でまとめましょう。
出題範囲は、【冒頭~11:56】です!
ぜひ楽しみながらチャレンジしてみてくださいね。
課題の提出はこちらのGoogle Formから!
参考
社会福祉法人 日本ライトハウス 情報文化センター
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