点字から考える――日本語の文章のフシギ

イラスト:うさぎが「ちがうんだなあ」と言っている 国語:学びのナビゲーター

さんかくすと文がえます

点字という日本語のしめしかたを、N川さんやSさんがおしえてくれましたね。
さあ!いざ、点字で日本語の文章ぶんしょうを読むことにチャレンジしてみよう!!

 

 

 

M先生
M先生

点字たのしい!!
…と思ったら、あれれ??

なかなかむずかしいところがあるかも…

Sさん
Sさん

??
えっ。どういうことですか?

M先生
M先生

いやあ……
この文章ぶんしょうを点字に変換へんかんさせたら、どうなるんだろう??となやんでしまって。

 

ウキウキしながら春巡はるめぐりのお散歩さんぽ。「サクラく🌸」を実現じつげんして4月かられて大学生になる友人と公園こうえんに出かけた。話を聞いて、おもかたって……いい時間を過ごせたなぁ。

 

 

クエスチョン:みなさんならどうする?点字てんじにするときの工夫くふう

 

N川さん
N川さん

点字の特色とくしょくの一つは、漢字かんじやカタカナ、ひらがなを書き分けない、ということでしたよね。
つまりそれってどういうことなんでしょう?

 

うきうきしながら はるめぐりの さんぽ。 「さくら さく*」を じつげんして 4がつから はれて だいがくせいになる ゆうじんと こうえんに でかけた。 はなしを きいて、 おもいを かたって…… いい じかんを すごせたなぁ。 

 

  • 絵文字えもじあつか 🌸
    絵文字が使われているけど、点字にはどう反映はんえいされるのでしょうか??
  • 同音異義語どうおんいぎご
    「こうえん」という言葉が出てきました。
    すぐに「公園」だと分かるでしょうか?「こうえん」には「講演」や「公演」もあります。
  • 同訓異字どうくんいじ
    「想いを語って」の「想い」という言葉。
    「思い」ではなく、えて「想い」という漢字を使っているのでしょうか。
    そういえば、「きく」という言葉にも「聞く」や「聴く」がありますね…

 

M先生
M先生

とっても微妙びみょうな差なのですが、漢字とカタカナの表記ひょうきちがいや同音異義語どうおんいぎご同訓異字どうくんいじ、そのままスルーしてしまってよいものなのか、なやましいです…。

N川さん
N川さん

なるほど~。
点字になってしまうと、M先生が言っている微妙びみょうな「差」は分からなくなってしまうんですよね。たいていの場合ばあいは、「文脈ぶんみゃく」から判断はんだんしてしまうことが多いです。
でも、そんなときにありがたいのが点訳者てんやくしゃさんの注釈ちゅうしゃくです。

 

 

点訳てんやくというプロセス

墨字すみじの日本語を点字に変換へんかんさせていく作業さぎょうのことは、点字に翻訳ほんやくする、という意味で「点訳」と呼ばれます。
この「点訳」を専門的せんもんてき実施じっししているのが「点訳者」さん。

点字で正確せいかくに文章が読めるように、地名や人名などもふくめてしっかり読み方を確認かくにんして点訳したり、同音異義語どうおんいぎご文脈ぶんみゃくから判断はんだんすることがむずかしいと思われる部分について、コメントを入れて注意ちゅういうながすことも、点訳のプロセスに必要な作業です。

点訳のプロセスにともなって発生はっせいするコメントなので、「点訳注てんやくちゅう」と呼ばれ、「点訳挿入符てんやくそうにゅうふ」という点字を付けてコメントを挿入そうにゅうします。

 

イラスト:点訳挿入符
点訳挿入符てんやくそうにゅうふ。2・3・5・6の点を2回打った後に注記事項ちゅうきじこうを書き込み、また、2・3・5・6の点を2回打って閉じます。

 

Sさん
Sさん

研究がたくさん蓄積ちくせきされて、自動じどうで点訳をしてくれる「自動点訳じどうてんやく」もたくさん活用されている、と聞いていたのですが……。

N川さん
N川さん

はい。自動点訳じどうてんやくソフトには私もすごくお世話せわになっています!
でも、日本語は、文字が発音通りに示されていないところがクセモノなのです。

  

 

点訳注てんやくちゅうをつけるのはどんな時?

『点訳のてびき』という点訳を行うときの教科書きょうかしょには、次のように紹介しょうかいされています。

① 同音異義語どうおんいぎごがあって、文脈ぶんみゃくの中でも判断はんだんむずかしい語
② きわめて難解なんかいな語

  

M先生
M先生

実際じっさいに『点訳のてびき』で紹介しょうかいされていた例を見てみましょう。
むむむ?とみんなも思うかも!?

 

 

例1.キョーブ

 

例1)「頬部と胸部」

 

N川さん
N川さん

点字だと「キョーブ  キョーブ」と書かれています。
両方とも「きょうぶ」と読むんですね~
…読み方は点字だとバッチリ分かるけど、二つの「キョーブ」とは一体何をすのやら…分かりませんねえ。

Sさん
Sさん

実は、読み方が分からなくても、漢字が分かってしまうと、何と何の話をしているのかが分かるんですね。
部」と「部」…。部の前の「頬」と「胸」を何とか説明できれば、良いのだけど…。

M先生
M先生

Sさん、さっすが!
キョーブ」の「キョー」を示している二種類の漢字を、別の読み方で説明する、というのが正解せいかいのようです。
「キョーブ」は音読おんよみで発音しているので、訓読くんよみの読み方を、点訳注てんやくちゅうを使って紹介しょうかいするんですね!

 

 

例1)「部と部」

キョーブ(点訳挿入符)ホオノ ブ(点訳挿入符)ト キョーブ(点訳挿入符)ムネノ ブ(点訳挿入符)

 

2・3・5・6の点」のりかえしで点訳者注てんやくしゃちゅうを表すことは先ほどみてきたとおりですね。
文中に、点訳挿入符が現れた場合、直前の語について説明をしています。

最初の「キョーブ」は、「ホオ」とも読む漢字が使われていて、
二つめの「キョーブ」は、「ムネ」とも読む漢字が使われているんだ、ということが分かりました!

 

 

イラスト:女の子がほっぺを手のひらでぐるぐるマッサージしている


=「(ものをはさむ)」+「儀礼ぎれい用の帽子ぼうしをかぶった人を横から見た形・人のかおやその周辺しゅうへんの部分を示す)」

   

(手足を広げて立つ人を正面から見た形)」と人と人を組み合わせた形の「」は、人が両脇りょうわきに人をかかえている形で、「ものをはさむ」という意味があります。
」は儀礼用ぎれいよう帽子ぼうしをかぶった人を横から見た形で、ひたいあたまがん(あご)・けい(くび)・がん(くび)・りょう(くび)・須(ひげ)など、人の顔やその周辺の部分をいう字によく用いられるそうです。

  

 

イラスト:胸をどんと叩いて「任せなさい」のポーズを取っている自信に溢れた男の子

 


=「(にくづき、身体からだの部分を意味する)」+「(全身を横からみた形)」+「(悪いれいが入ってこないようにバツ印のおまじない」

もともと「匈」という漢字が胸のもとの字だったそうです。
「匈」は、人の胸に×形の>文身ぶんしん一時的いちじてきえがずみ)をくわえた形です。
人が死亡しぼうするとわるれいがその死体に入り込まないように朱色しゅいろで×形の文身を描いてまじないとしたことがその起源きげんだそう。
その字はきょうで、それに人の全身を横から見た形の「勹」を加えて、「匈」となり、さらに身体の部分であるという意味の「月(にくづき)」を加えて「胸」という漢字になったのだそう。

 

 

M先生
M先生

漢字は漢字で、その形に注目すると、意味が読みけそうですね。
※ 白川静しらかわしずかさんの「常用字解じょうようじかい」という語源ごげん辞典を参考さんこうにしました。
点字も暗号あんごうみたいだけど、漢字も暗号みたい!

 

 

例2.コーヨージュ

 

例2)「オリーブ・コルク樫などの硬葉樹と、椎・楢などの広葉樹」

  

N川さん
N川さん

ふむ。
最初の「コーヨージュ」には、オリーブやコルク樫が含まれていて、
二番目の「コーヨージュ」には、椎や楢が含まれているんですね。
…これって植物しょくぶつの話ですよね?

Sさん
Sさん

そっか。漢字だと「」や「」という漢字が含まれているので、「葉」や「樹」を読むことができれば、植物しょくぶつの話…特に「樹」に関する話だと分かるんですね。
一方で、「樫」や「椎」、「楢」という漢字はむずかしいです~…。

M先生
M先生

ほんとだね。
結局けっきょく、二種類の「コーヨージュ」、何がちがうのかな??
オリーブ・コルク樫のグループと、椎・楢のグループの違いってことですよね。

 

   

例2)「オリーブ・コルク樫などの葉樹と、椎・楢などの葉樹」

オリーブ ・ コルクガシナドノ コーヨージュ(点訳挿入符)カタイ ハ(点訳挿入符)ト シイ ・ ナラナドノ コーヨージュ(点訳挿入符)ヒロイ ハ(点訳挿入符)

  

点字は、漢字の発音を正確せいかく確認かくにんして、点字にしるしていきます。
なので、むずかしい漢字「樫」、「椎」、「楢」の読み方は確認することができましたね!

ですが、二種類の「コーヨージュ」。
点字になったからと言って、大きなヒントがられたわけではなさそうですね…。

カタイ」葉の木 と 「ヒロイ」葉の木、ということで、「コー」と読む二種類の漢字の別の読み方がここでも紹介しょうかいされるにとどまっています。
点訳者注てんやくしゃちゅうがあるからといって、答えが示されるわけではないのですね。

 

 

N川さん
N川さん

でも、「えっ?どういうこと??」と関心を持ってみると、なぞけたりするので、それが面白おもしろいですよね。
さて、実際じっさいのところ、どうだったんでしょう??

 

 

実は、「カタイ」コーヨージュ と「ヒロイ」コーヨージュ は、生息地域せいそくちいきちがいがあるようです。

「ヒロイ」コーヨージュ・広葉樹
冷温帯れいおんたい分布ぶんぷ。夏に雨量うりょうの多い地方に発達はったつします。実はまさに日本の大部分(本州ほんしゅう東半分から北海道)がこの地域に該当がいとうするそうです。

「カタイ」コーヨージュ・硬葉樹
暖温帯だんおんたい分布ぶんぷ。夏に雨量うりょうが少なく、冬に雨が多い地方に発達。含水量がんすいりょうの少ないかた常緑じょうりょくの葉をもつ。
 

M先生
M先生

樹木じゅもくにはほかにも種類しゅるいがあります。
その樹木じゅもくが生えている環境かんきょう気候きこうからも大きな影響えいきょうを受けるようです。
興味きょうみが止まらない方は、下のサイトものぞいてみてね。

  

 

 

点訳注てんやくちゅうをつけるときの注意ちゅうい

点訳注てんやくちゅうは内容を理解りかいするうえで不可欠ふかけつであることが分かりました。
ですが、点訳注を付ける際は、注意ちゅうい必要ひつようなようです。『点訳のてびき』には次のように書かれています。

点訳挿入符てんやくそうにゅうふは本文の流れを中断ちゅうだんして説明を行うので、使用が過剰かじょうにならないように気をくばり、説明も簡潔明瞭かんけつめいりょうに行って、本文の雰囲気ふんいきや理解をそこなわないように心がけましょう。
難解なんかいな語であると思っても、点訳者1人の判断で点訳挿入符を使用することはせず、複数ふくすう相談そうだんする姿勢しせいが必要です。

 

 

M先生
M先生

つまり、点訳注があまりにもたくさんあると、逆に内容を理解りかいしにくくなってしまうことがあるから、「ここぞ!」というタイミングを見極みきわめなくてはならない、ということなのですね。

N川さん
N川さん

そうなんですよねぇ…。

でも、きちんと内容を理解しようとしたり、著者の意図を汲もうとするとき、点訳注は必ず必要になると思うので、その判断が難しいですよね。

 

以前、「きく態度たいどに関する文章を大学で読んだとき、見聞けんぶんの「聞く」なのか、視聴しちょう」の「聴く」なのか、音声で読んでいて混乱こんらんしたことがあります。その文章を理解りかいするうえで、どちらの「きく」なのかがとても重要じゅうようだったのです。
点訳者さんに点訳挿入符てんやくそうにゅうふを使ってどちらの「きく」なのかしっかり注釈ちゅうしゃくをしてもらって、「なるほど~」と楽しく内容にアプローチできたことがあります。

 

 

 

トピックス1

「観賞」?「鑑賞」?

 

 あなたの趣味しゅみはなんですか?という質問しつもんに対して、「映画カンショー」と答える人は少なくないかもしれません。
 でも、「映画鑑賞」と「映画観賞」、どちらが正解せいかいなのでしょうか?みなさんは、どちらの漢字かんじを使って「映画カンショー」と答えていますか?
 こういうときに、辞書じしょを引いてみるのが便利べんりです。辞書では、
【鑑賞】
【観賞】
意味いみ区別くべつして説明せつめいしています。

あなたが映画をどのように楽しんでいるのか、によって「カンショー」という言葉をどう書きあらわすかが変わってくる可能性かのうせいがあるのです。そして、この二つの「カンショー」という言葉の使い分けは、読者どくしゃたしかにとどけられるメッセージにもなりえるのです。

  

  

Sさん
Sさん

なるほど…。
なかなか考えさせられます。
思ったのですが、もしかしたら記号類きごうるいも点訳でなやましいポイントになるのでしょうか?

N川さん
N川さん

実は点字でも記号は示せるんですよ~!

 

 

点字てんじ記号類きごうるいしめすとき

イラスト:「。」「?」「!」「、」「・」の点字
「。」「?」「!」「、」「・」

 

かぎかっこてんまる」の記事でも紹介してきたような、句点くてん」や読点とうてん」、感嘆符かんたんふ」や疑問符ぎもんふ」、中黒なかぐろ」は点字で示すことができます。

カギカッコも、「第1カギ」や「第2カギ」という名前のついた点字で示すことができます。
これで、「」『』を使い分けることができますね。 

イラスト:第1カギの点字
第1カギ 「 」
イラスト:第2カギの点字
第2カギ 『 』

 

M先生
M先生

あら!
こころなしか、第2カギは、カギカッコっぽい形をしているようにも見えますね。

N川さん
N川さん

面白おもしろいですよね~
実は点字は矢印やじるしも示せるんですけど、実際じっさいに矢印のような形をしていますよ。

 

 

イラスト:右向き矢印「→」、両向き矢印「⇔」の点字
「→」
「⇔」

 

一方で「かぎかっこてんまる」で、カッコにも種類が多くあることをみてきました。
それに対応するのが「第1カッコ」、「第2カッコ」、「二重カッコ」です。

 

Sさん
Sさん

文章を読んでいると、太字ふとじやアンダーラインなどが引かれたもの、傍点ぼうてんられたものも出て来ますよね。
これはどうやって示すんですか?

N川さん
N川さん

ですよね。気になりますよね!
みていきましょう~

 

傍点ぼうてんやフォントが変更へんこうされている部分、アンダーライン、強調きょうちょうが文字上で示されている場合は、「指示符しじふ」とばれる記号を使って示します。
第1指示符」、「第2指示符」、「第3指示符」と呼ばれるものが該当がいとうします。
基本的きほんてきには「第1指示符」から使っていき、区別くべつ必要ひつようなものが出てきたら、「第2指示符」、「第3指示符」を使って、読み分けることができるようにしていきます。

 

文章によっては、記号をたくさん使い分けたり、フォントを変えたり、アンダーラインが引かれていたり、趣向しゅこうらしているものもありえます。

 

なぜ、そうした表記上の工夫がされるのか、というと、読み手に特に伝えたいことがあるからです。
それが、下線(アンダーライン)だったり、太字だったり、斜体(文字が斜めに書かれる)だったりするわけです。
みんな著者や書き手が「ここ大事です!」「注目してください!!」と思う、強調したいポイントです。

 

M先生
M先生

でも、強調させるための方法にも注意が必要です。
いろいろな強調が混在していると、混乱してしまいます。

 

なので、それぞれの強調(下線、太字など)は、それぞれの出番が与えられているのです。
どういう場合に下線が引かれていて、どういう場合に太字になっているのか――などが、分かりやすく使い分けられていることが大事です。

 

例3)

日本には四季しきがあるといわれています。四つの季節きせつとして知られているのは、春・夏・秋・冬です。
といえば、3月~5月ごろし、卒業式そつぎょうしき入学式にゅうがくしき、お花見はなみやゴールデンウィークなどがありますね。新緑しんりょくうつくしい季節です。清少納言せいしょうなごんさんは、「春はあけぼの」とうたいます。
は、6月~8月ごろの季節で、気温きおん上昇じょうしょうしてきます。木々の葉も成長せいちょうし、生き物の活動かつどう活発化かっぱつか。おまつりや花火大会はなびたいかいなど楽しいイベントもありますが、おぼんなどでご先祖様せんぞさまおもいをはせる季節でもあります。清少納言さんは「夏は夜」と月明つきあかりやほたるや雨を楽しんだそうです。
9月~11月作物さくもつみのり、ごはんがおいしい季節です。「食欲しょくよくの秋」「芸術げいじゅつの秋」「読書どくしょの秋」などと呼ばれます。だんだんと日が落ちるのが早くなってくると感じられるのもこの季節。清少納言さんも「秋は夕暮ゆうぐ」といいますが、この季節の夕焼け空はせつなくも本当にうつくしいですね。
12月~2月く息が白ければ白いほど、冬を実感じっかんする季節です。クリスマスや大晦日おおみそかやお正月などのイベントもあって、おせち料理やお雑煮ぞうになど日本ならではの食事も楽しめますね。清少納言さんは、「冬はつとめて」といっています。「つとめて」とは早朝そうちょうのことですね。

 

例えば上の例だと、

  • 季節名(春・夏・秋・冬)を太字
  • 季節の時期(〇月~□月)を下線(アンダーライン)
  • 清少納言の『枕草子』の中で書かれていた文章を黄色いマーカー

で示す、などのルールに基づいて強調がされていました。
この強調を、点字の場合は「指示符」を使い分けて表現するのですね。

 

 

N川さん
N川さん

たいていは、文章が始まる直前ちょくぜん目次もくじのあたりに、どのような記号や強調きょうちょう登場とうじょうするのか、それらはどのように点字で示されているのか、という説明がされる、というのが決まり事になっています。これは一般的には「凡例はんれい」といわれます。

M先生
M先生

読む文章によって、どの点字で特定とくていの記号や強調表現きょうちょうひょうげんを使い分けるかが変わります。
「この文章では、この点字はこの意味で使うよ!」というルールの確認かくにんは、ちゃんと内容を伝えるためにも、受け止めるためにも重要じゅうようですね。

Sさん
Sさん

こういうのを「定義ていぎ」と言ったりするのでしょうかね。
辞書じしょには、ちょっとむずかしいけど、こんなふうに書いてあります。
【定義】
ある概念がいねん内容・語義ごぎ処理手続しょりてつづきをはっきりとさだめること。それをべたもの。

 

 

文章ぶんしょう理解りかいするために――

日本語の文章ぶんしょうを読んだり、理解りかいするためには、実は「漢字」だったり、カギカッコや記号類などさまざまな表記上ひょうきじょう工夫くふう存在そんざい無視むしできません。

点字はさまざまな工夫くふうをしながら、表記上ひょうきじょうの工夫に対応たいおうしていますが、一方で、読み手の邪魔じゃまになりすぎないようなバランスのとれた点訳が必要ひつようになってくるともいえそうです。

 

N川さん
N川さん

改めて、「墨字」には、情報量が詰まっているんだなあと思いました。
漢字がどう書かれているか、ということから様々なバックグラウンドを想像できるのは、面白いですね。

Sさん
Sさん

だからこそ、注釈が必要になるのだなあと思うのですが、「どこまで」を「どれくらい」伝えるか、は難しいですね。

M先生
M先生

本当に。映画の音声ガイドなどを作っているシネマ・アクセス・パートナーズさんなども、作品をそれぞれが楽しんで視聴できるように、必要以上な説明は加えないように注意していると、お話をしてくださったことがあります。
一方で、学校で勉強するときには、学んだり、考えたりするうえで、手がかりになるような情報はしっかり届けられているべき、という考え方もあります。それは、先生が「責任」として判断して、伝えきる努力をするべきなのかもしれないです。

N川さん
N川さん

実際、違いがあったとしても、その違いが「ある」のか「ない」のか、見て確かめることができないわけですからね。
これは、聴覚障害のある方にとっても同じですね。そもそも聞こえていなければ、伝えられたのか・伝えられていないのか、分からないわけです。

Sさん
Sさん

一方で、点字だと読み方がしっかり示されますね。
「墨字」は、難しい熟語などあっても、なんとなく読み飛ばせてしまえたりするけど、そういうことはきっと起こらないんですよね。

N川さん
N川さん

そうですね。
読み始める場所を選んだり、部分的に読んだりすることはもちろんできますが、実際に「読む」という作業をする場合は、点字をひとつひとつ確認しながら読むので、「読み方」が分からない、という問題はなかなかぶつからないですね。

M先生
M先生

丁寧に読む、ということにもつながるのかもしれないですね。
一方で、丁寧に読む「精読」は、書き表し方を確認することにもつながってくるので、この「丁寧に読む――精読」のために、どんな条件が必要になるのか、考えさせられますね。

 

 

 

そもそも、なぜそのように書き表される必要ひつようがあったのか、という問いを持つことが、大事になってきそうです。
そうすることで、書き手がどんなふうに文章におもいをめたのか、が見えてくるかもしれません。
そしてその表記上の工夫は、場合によっては、何らかの工夫をして読み手に伝えられる必要があるのかもしれません。

 
この作業は、著者ちょしゃの気持ちにいながら、日本語の文章のフシギや可能性かのうせい幅広はばひろさを味わう時間になりそうです。

もしかしたら無意識むいしきに、とく意味いみもなく書いていたのかもしれませんが、意味をこめてえてそのような表記ひょうきの仕方をしていたのかもしれないのです。

 

このことは同時に、私たちが実際に文章を書く時にも、もしかしたら、表記の仕方にこだわる、という方法で表現の工夫ができるのかもしれない、ということでもあります。

一方で、点訳するときに、どんな工夫ができるのか…はこれからより深く考えていく必要があるかもしれないですよね。

 

「障害」?「しょうがい」?「障がい」?

  

 みなさんは、「障害」という言葉がさまざまに書き表されているのを目にしたことはあるでしょうか。 
 「障害」と漢字で書かれていたり、ひらがなで「しょうがい」と書かれていたり、漢字とひらがなが組み合わされて「障がい」と書かれていたり…。はたまた難しい漢字で「障碍」や「障礙」と書かれていたりすることもあります。
 同じ言葉なのに、いろいろな書き方で表現されていておもしろいですよね。どうして異なる書き表し方がされるのか――その背景には、「障害」に対する考え方や理解の差があるようです。

 一方で点字は、こうした「障害」の書き表し方の違いを表現することはできません。点訳者注があることで書き表し方の違いを理解することができますが、点訳者注が必要か不要かの判断は、読者にはゆだねられません。書き表し方の違いを注釈で伝えるかどうか、は点訳者やその文章を伝えたいと考える側(著者や教師など)の判断に任されているのです。 

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