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関連イベント情報
9月11日、社会情報学会(SSI)とLearning Crisis研究会「まなキキ・プロジェクト」の共催でSF作家、野﨑まど先生をお招きするイベントが開催されました。
本記事はこのイベントの予習企画として作成されたものです。
当日は、「第一回野﨑まど杯」をめぐる壮絶なクイズバトルが繰り広げられましたが、クイズの出題一覧は、こちらのページで公開しています。
よろしければぜひご覧ください。
シンポジウム
もうそれだけの人類 POST-COVID-19後の市民社会とDX/AIを現代文学から読み解く
9月11日(土) 14:15-17:10
講演:野﨑まど先生
参加の申し込みはこちらのGoogle Formより
当日フライヤー(PDF版)はこちら
SF小説って、
どういう小説のことなんだろう…??
野﨑先生のシンポジウムに備えて予習しちゃうよ!
シンポジウム後は、わたくし、ぱんこも加わって、一緒に復習していきたいと思います。
SFってなんの略?
SFって、新しい世界を見せてくれるんです。それは、すごく素敵で、遠い世界で。けど、でも、それは夢物語じゃないんです。SFのFはフィクションですけど、Sのサイエンスが、現実と繋がってる
――野﨑まど著『HELLO WORLD』より
野﨑まどさんによる作品、『HELLO WORLD』の中で、SF作品の魅力を語る主人公の言葉があります。
SFとは、「Science(サイエンス);科学」と「Fiction(フィクション);物語」という二つの言葉の頭文字をとったものなのですね。
SFとは、すなわち”Science Fiction”。空想科学小説と訳されるようなものです。
国語辞典(岩波国語辞典)では、SFを、
科学が進んだ未来の社会や宇宙などを舞台とする、空想的な小説。空想科学小説。
として説明しています。
『ドラえもん』もSFマンガといえるのだろうか??
SFはいつ生まれたの?
『新国語要覧』という教科書の「古典近代 文芸用語一覧」では、「S・F」のことを次のように説明しています。
空想科学小説。J・ヴェルヌやH・G・ウェルズらが確立した。
日本では星新一・小松左京・筒井康隆・安部公房らが書いている。
星新一さんのことは、「まなキキブックレビュー」でもH松が紹介させていただいていますよ!
おひとりずつ、どんな時代に、どんな小説を書いた方なのか見ていきましょう~!
ジュール・ヴェルヌ(J・ヴェルヌ)
1828年2月8日生まれー1905年3月24日没
フランスの小説家。H・G・ウェルズとともに、SFの父と呼ばれる。
ジュール・ヴェルヌは、彼が生きた当時の最先端技術や、それを応用した一歩先の未来を描きました。
読者は、SFを遠い未来の絵空事ではなく、身近に起こりうる出来事かもしれない、と楽しむことができたのだそうです。
- 月世界へ行く(1865年)
今となっては、月面着陸は現実のものとなり、月旅行もまもなく叶いそうなリアルな出来事にも聞こえますが、この作品が書かれたのは幕末の時代…。
(あらすじ「BOOK」データベースより)
186X年、フロリダ州に造られた巨大な大砲から、アメリカ人とフランス人の乗員3人を乗せた砲弾が打ち上げられた。ここに人類初の月旅行が開始されたのである。だがその行く手には、小天体との衝突、空気の処理、軌道のくるいなど予想外の問題が!19世紀の科学の粋を集めた本書は、その驚くべき予見と巧みなプロットによって、今日いっそう輝きを増すSF史上不朽の名作である。 - 海底二万里(1870年)
東京ディズニーシーのアトラクション名として聞いたことがある、という人もいらっしゃるのではないでしょうか?
(あらすじ「BOOK」データベースより)
ときは1866年、大西洋に謎の巨大生物が現れた!異形の“怪物”の目撃譚に人々はおののき噂した。白鯨か?伝説の怪異か?はたまた超自然現象か?議論が沸騰するなか、アロナクス教授はその正体を暴くため、使用人のコンセイユとともに高速フリゲート艦に乗り込む。それが、驚くべき旅の始まりになるとも知らずに―。少年から大人までをも魅了する海洋冒険ロマンの傑作 - 十五少年漂流記(1888年)
アニメやミュージカルにもなっているような有名な作品ですね!
(あらすじ「BOOK」データベースより)
夏休みを、ニュージーランドの港で帆船に乗って遊んでいた少年たち。だが、舫綱がほどけ、船は外洋へと流れ出してしまった。嵐に遭いながらも、南太平洋を漂流した一行は、やがて見知らぬ島に流れ着く。十五人の少年たちを待ちかまえるさまざまな冒険の数々。勇気と情熱への熱い想いを若者たちに伝えるメッセージとして描いた、巨匠ヴェルヌ不朽の名作。 - 八十日間世界一周(1873年)
M先生は、この作品のアニメーションを小さいころ繰り返し見て、ハラハラ・ドキドキを堪能していました!
(あらすじ「BOOK」データベースより)
1872年10月2日午後8時45分、ロンドンの謹厳な資産家にして知識人フィリアス・フォッグ氏は、多くの新聞が一斉にとりあげ狂気の沙汰と評した、八〇日間世界一周の旅に出た。彼はトランプ仲間と、一秒でも遅れると全財産を失うことになる賭をしたのだ。
ハーバート・ジョージ・ウェルズ(H・G・ウェルズ)
1866年9月21日生まれ―1946年8月13日没
イギリスの著作家。ジュール・ヴェルヌとともに「SFの父」と呼ばれる。社会活動家や歴史家としても多くの業績を遺した。
ウェルズの作品は、彼自身の科学的知識をもとに執筆され、「科学ロマンス」とも呼ばれます。タイトルをなんとなく聞いたことがある…と感じるのは、ウェルズの作品もまたたくさん映画化されているためです!
- 宇宙戦争(1898年)
この作品のラジオドラマが放送されたとき、火星人襲来の描かれ方があまりにもリアルだったため、ラジオ視聴者も勘違いして大騒ぎになった、という逸話があるそうです。
(あらすじ「Amazon」より)
世界各地で流星群が目撃されたが、それはたんなる流星ではなかった。未知の物体は大音響とともに落下し、地中に埋まった物体の中から現われたのは、想像を絶する宇宙の怪物……宇宙人の襲来を描く古典的名作。 - タイムマシン(1888年)
この作品がウェルズにとってのデビュー作だったのだとか…!作品が描かれた19世紀末に想像されていた未来(80万年後の未来)がどのようなものだったのか、ウェルズの思想も垣間見れる作品だそうです。
(あらすじ「BOOK」データベースより)
時空を超える“タイムマシン”を発明したタイム・トラヴェラーは、80万年後の世界へ飛ぶ。そこは、地上に住む華奢で穏やかなイーロイ人と、地底をねぐらにする獰猛なモーロック人という2種族による原始的な階級社会だった…。 - 透明人間(1897年)
「透明人間になったらどうしよう?」とはお決まりの妄想ネタ??でしたが、このモチーフを生み出したのはウェルズだったのですね…!
(あらすじ「Amazon」より)
二月の吹雪の朝、イギリスの田舎町の宿屋に一人の男があらわれる。宿のおかみは客の途絶えがちな季節にとびこんで来てくれたこの客に内心喜び、なにかと張り切ってサービスに努めようとする。だが、客の愛想はよくない。そして、予想外の出来事が起こり始める……ヴェルヌとならぶSFの開拓者H・G・ウェルズの代表作。 - 世界史概観(1922年)
小説以外の作品も生み出しているのですね。軍国主義が高まりつつあった時代に書かれた作品とのことで、めちゃくちゃ面白そうですね…。
(あらすじ「Amazon」より)
人類の発生から現代にいたる広大な歴史を生き生きと概観する名著。白人文明中心思想を排し、人類全体の足どりを見とどけようとする本書は、昭和14年、厳しくなる軍国主義の下で『世界文化史概観』の名で刊行された。該博な知識と豊かな筆力により興味あふれる歴史の世界に読者を誘う。
星新一
1926年9月6日生まれー1997年12月30日没
祖母は森鴎外の妹、小金井貴美子。一時、家業の製薬会社を継いでいたが、会社倒産後、SF小説が認められた。
ショート・ショート(結末の意外さなどによって強い印象を与えるような、きわめて短い掌編小説)の先駆者として、皮肉とユーモアを交えた『人造美人』ほか、膨大な作品を発表。
小松左京
1931年1月28日生まれー2011年7月26日没
大阪生まれ、京都大学文学部卒。星新一、筒井康隆とともに「SF御三家」と呼ばれ、日本界を代表するSF作家でありながら、戦後の日本を代表する小説家のひとり。
『地には平和を』、『復活の日』、『空中都市008』、『くだんのはは』、『虚無回廊』など長編、短編と様々な作品を発表。
1973年の『日本沈没』は上下巻合わせて400万部を超えるベストセラーで社会現象となった。
筒井康隆
1934年9月24日生まれー
大阪市生まれで、天王寺動物園長だった父の影響を受け、幼いころから博物的な世界にあこがれを持ったという。
昭和40年に東京で本格的な作家活動を展開。『時をかける少女』や『48億の妄想』では、現実と非現実をつなぐ幻想のリアリズムによって、不気味なナンセンスSFのジャンルを開拓。
安部公房
1924年3月7日生まれー1993年1月22日没
東京・滝野川に生まれ、一歳のときに、満州医大勤務の父とともに奉天(中国・瀋陽市)に移住。敗戦時に発疹チフスが大流行し、診療中に父が感染死。本土引き揚げの際、極度の苦難のため、故郷喪失感を味わう。
医学部を卒業するも、虚無感に陥り、就労せず、自閉的な生活を送る。故郷と自己の二重の喪失感覚を芸術化した『壁ーS・カルマ氏の犯罪』で芥川賞を受賞。『砂の女』、『他人の顔』などの作品も有名。
「SFの父」と呼ばれたJ・ヴェルヌやH・G・ウェルズは、二つの世界大戦をまたぐように生きた人たちだったのですね。そう考えると、SF小説、というジャンルが生まれたのは、そこまで昔のことではないような気がします。
…ちなみに、先ほどご紹介した野崎まどさんの作品『HELLO WORLD』に出てくる主人公・堅書直実は、
グレッグ・イーガン、H・G・ウェルズ、フィリップ・K・ディック、アーサー・C・クラーク。大好きなSF作家の名作たち。
――野﨑まど著『HELLO WORLD』より
とつぶやいていました!
ぜひ、みなさんも作品を読んでみてはいかがでしょうか??
参考
- ホンシェルジュ SFの父ジュール・ヴェルヌのおすすめ作品5選!未知なる世界へ
- ホンシェルジュ H.G.ウェルズのおすすめ本5選!イギリスの偉大SF小説家を見逃すな!
- 『新国語要覧 増補第三版』大修館書店