図書館にあるたくさんの本は、どんなふうに並んでいるのか知っていましたか?「社会」や「算数/数学」、「国語」、「理科」、「英語」などと私たちが学校で学ぶ勉強も、それぞれ区別されているのと同じように、本もたくさんのテーマで、日本十進分類法というルールの下で分けられています。同じ日本のことについて対象にしていても、どの切り口から「考え抜く」か、でその本は全く違う分類でまとめられたりもするのです。それでも、私たちの暮らしの中で出会う出来事が、簡単に「国語」や「理科」と切り分けて区別して考えることができないのと同じように、こうしてたくさんの細かく分類に分かれていても、それぞれの“学問分野”が力を貸し合って、また影響を与え合いながら、切磋琢磨してそれぞれの知識を豊かに拡げてきました。
こうした分類法によって整理するのは、まさに私たちが「知りたい」ことにアクセスしやすくするためであったりします。
小学館の図鑑NEO編集長によるエッセイ。過去に出版された図鑑などを振り返りながら、図鑑編集者だからこそ語れる様々なこぼれ話がとても勉強になります。
例えば、具体的な一つ一つの物(植物や動物)には同じような特徴を持つ仲間(種)があったり、活動が活発になる時期などがあります。
どのように物事が説明されるのか、どのように説明することが読者にとって分かりやすいものになるのか、という苦心やプロセスが明かされています。
図書館の日本十進分類法のルールと同じように、私たちが「知る」ことによりアクセスしやすくなるように、説得力のある整理の仕方を、考えてきた、ともいえます。一つ一つの小さな事実や現実を、どのような言葉で大きく名付けて「同質・同類のもの」とグループ分けするのかは、なかなか難しい作業です(「抽象化」の作業、とも言えます。「抽象」の対義語は「具体」です)。「確かにそうだね」とみんなが思えるような理由がなくてはならないからです。
このエッセイの中では、実際にどのような理由で、結果がどう整理されていったのかということが、エピソードとして説明されているので、面白く読んでいただけるのではないでしょうか。