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差別って、なんだろう。
差別という言葉の意味
みなさんは、差別という言葉を聞いたことがありますか?悲しい意味合いをもつ言葉なので、「はじめて聞いたよ!」という人もいるかもしれませんね。だから、まず最初に、差別という言葉の意味を確認しようと思います。
三省堂 大辞林によると…
(1)ある基準に基づいて、差をつけて区別すること。扱いに違いをつけること。また、その違い。
(2)偏見や先入観などをもとに、特定の人々に対して不利益・不平等な扱いをすること。また、その扱い。
うーん、なるほどー、という感じですね。でも、これだけでは「でも、どういうことなの?」ってちょっと思ったりしませんか?
だから、H松なりに、差別ってどういうことかを説明してみようと思います。
差別と区別って、なにが違うの?
さべつと、くべつ…。ちょっと似ているように思える言葉ですよね。
でも、この2つの言葉は、全く違う意味をもっています。とても簡単に言ってしまうと、差別はしてはいけないもので、区別はしても社会的に許されるもののことです。
ここで、みなさんに質問です。
選挙にいける年齢は今、法律で18歳以上と決められていますが
それは、「差別」と言えるでしょうか?
18歳以上の人だけが投票箱に投票用紙を入れて政治家を選べるなんてずるい!これはしてはいけないもので、差別だ!と思うみなさんもいるかもしれませんね。でも、その一方で、まだ学校で日本の政治の仕組みをしっかり習っていないのに、誰を選んだらよいのだろう?やっぱりまだ自分は投票できないなあ…それに、18歳以上って法律で決まっているんだから許されるもので、区別なんじゃないの?と思って、納得するみなさんもいるのではないかと思います。
それでは、みなさんにまた質問です。
法律で決められていなければ、「差別だ!」と言うことはできないのでしょうか?
たしかに、18歳以上という年齢の制限は法律によって決められたもので、今はその分け方が社会的に許された分け方になっています。でも、やっぱりおかしいんじゃないか?と思う意見を持つ人たちも社会にはいます。今はもしかしたら、そのような意見は少数派(「めずらしいことを言う人だね」と周りから言われやすい人たち)かもしれません。しかし、法律で決められていないからといって、差別だ!ということができなければ、ずっとこの先も、選挙の年齢は18歳以上という分け方になってしまいます。
世界の歴史に目を向けてみると、かつて、「めずらしいことを言う人だね」と社会から言われた人たちが、差別と区別の基準を変え、法律を変え、社会そのものを変えた例がありました。例えば、アメリカの公民権運動と言われる運動がその例の一つです。
肌の色によって、通う学校を「区別」することは「差別」なんじゃないの??と必死で訴えた人たちの歴史が、国を、法律を、そして世界のあたりまえを変えた歴史があったんです。
何が許される分け方で、何が許されない分け方なのか。差別という問題を考えるときには、どうしてそのような分け方を正しいと思うのかという理由を、みんなで話し合うのをあきらめないことが、社会をもっとよくする方法なのかなあ…とH松は思っています。
※公民権運動については、また後日、まなキキの社会のナビゲーターページでご紹介しようと思います!記事を楽しみにお待ちください!
差別と一言でいうけれど…。
働く人の差別を考えたときに、差別とみんなが言っていることには、実は種類があります。直接差別と言われている差別と、間接差別と言われている差別です。日本では、性別・障害・その人が信じていること(宗教など)・年齢・社会的な立場・人種・国籍に関し、働く場所での差別を禁止する法律がそれぞれ定められています。
直接差別
その発言や行動が差別と分かった上で、わざとその人が不利になるようなことをする差別のことをいいます。
たとえば、「お前はCOVID-19になった人が多い国の出身だから、会社の中で私に近寄るな!」というような言葉をかけた人がいたとしたら、それは直接差別をしたということになります。
※この言葉をかけた人は、日本の法律(労働基準法第3条)によって「法律違反!」になります。
間接差別
差別するつもりはなかったけれど、その行為が結果として差別になってしまった差別のことをいいます。
たとえば、ハキハキ働いてくれる人を募集したいなあと考えた社長さんが、実際の会社の仕事では働く人が重い荷物を運ぶことはないにもかかわらず、「重い荷物を運べる人はきっとハキハキ働いてくれる人だろう!」と思って、「よし、うちの会社に来てもらう人の条件を、重い荷物を運べる人としよう!」と決め、「重い荷物を運べる人を募集します」としてしまった場合が、間接差別にあたります。社長さんには、重い荷物を運べない人を拒否するつもりはなかったとしても、結果的に、重い荷物を運べない人が「私はこの仕事に応募できないんだな…」と思ってしまって、その人が実はものすごくハキハキしている人であったとしても、その社長さんの会社の仕事に就くことができなくなってしまうからです。
※日本の法律では、間接差別の考え方が明記されているのは、男女の違いによる職業差別の禁止をさだめている法律(男女雇用機会均等法)のみです。
店員さんを、お客さんの「ひどい言葉」から守る法律ってないの?
店員さんに「ひどい言葉」を投げかけて、悲しい思いをさせることをカスタマーハラスメントといいます。今回、エッセンシャルワーカ―の人たちがお客さんから「ひどい言葉」を投げかけられたことも、カスタマーハラスメントといってよいとH松は思います。
でも、残念ながら、今の日本にはカスタマーハラスメントを直接取り締まる法律はありません。ただし、日本の会社には、働いている人が元気かつ安全に働けるようにしなければならないという義務(安全配慮義務、といいます)があります。店員さんが働いている会社がしっかりと対策を考えて、店員さんをそのような「ひどい言葉」から守ることが望ましいとする意見が厚生労働省から出されているのですが…。これはお願いであって、全ての会社がそうしなければいけないというものではありません。
一緒に仕事をしている人から受けた「ひどい言葉」から店員さんを守ってくれる法律はあっても、お客さんから受けた「ひどい言葉」から店員さんを直接守ってくれる法律はないというのが現状なのです。きっと、このことは法律の案を作っている大人たちも「なんとかしなければ!」と今まさに、真剣に考えてくださっているのではないかと思います。
法律ではまだ直接守ることができないにしても
今、私たちができることってないのかなあ…。
ウイルスを怖がることと、差別をすることについて。
日本赤十字社さんが、4月にこんなビデオを公開しました。
今だからこそ、みなさんにもう一度、見てほしいなと思います。
動画をみて、どんな思いになったでしょうか?
緊急事態宣言が解除され、だんだんと元の生活がもどってきた今だからこそ、COVID-19を正しく知って、証拠のないうわさにおびえることなく、向き合っていく姿勢を大切にしていかなければならないなと、H松は思っています。
ウイルスの次にやってくるものは、差別と言われる行動をそそのかしてしまいがちです。だからこそ、大人も子どもも、みんながこのことを少しでも頭の片隅において、気を付けてほしいなと思うのです。
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