7月30日 まなキキ公開編集会議 (英語)

さんかくすと文がえます

7月30日にまなキキ公開編集会議を開催しました

7月30日、まなキキカンファレンスのプレ企画として公開編集会議を行いました。当日は、アニメ『あたしンち』を活用して英語の語順を考えるというテーマで、皆さんにご意見をいただきました。ご参加くださった皆様へこの場をお借りして改めて深くお礼申し上げます。当日はzoomのチャットを活用し、たくさんの方からコメントをいただきましたので、こちらのページで皆様からいただいたコメントもご紹介させていただきます。

▶ 第1回学びの危機カンファレンスについてはこちらをご覧ください。

まなキキ編集会議(英語)概要

英語企画案

あたしンち』を活用して英語の語順について考える

なぜこのような企画を考えたのか

少なくとも私は母語が日本語で、第二言語として英語を学んできましたが、せっかく日本語が母語なので、母語と英語との違い(言語特性の違い)を感じながら学ぶということができないか、と考えました。さらに、このCOVID-19の影響により、学校に行って学ぶことができない子どもたちは家庭で学びを続けざるをえなくなりました。この状況をふまえ、日本語のアニメを使って、オンラインでも学べるような英語の内容について考えてみたいと思いました。

公開編集会議では、次の2点について考えました。

⑴英語と日本語の語順の違い

⑵目的語をとる動詞ととらない動詞の違い

この2点を、アニメ『あたしンち』を活用して学ぶ企画を考えました。

当日はこちらの第55話「母の一石三鳥っ」のセリフと英語字幕から語順や動詞について考えました。

アニメ『あたしンち』はYouTubeで現在無料配信をしており、日本語の音声に英語の字幕がつけられます。 つまり日本語のセリフを、英語だとなんというのか確認することができるため、英語の教材としても使えるのではないかと考えました。 またアニメは感情表現が豊かで、動画なので動きがつきます。そのため、紙の上の文字で学ぶだけではない、動きや音による英語の学びが実現できるのではないかと考えました。

※動画の視聴方法や、視聴設定の活用術(倍速にしたり、字幕をつけたり、字幕の大きさを変更する…など)は、こちらのページにまとめてありますので是非ご覧ください。

⑴日本語と英語の大きな違い 語順

当日は『あたしンち』第55話からいくつかのシーンとセリフに注目し、まずは日本語のセリフと英語字幕を比べてみるということをしました。

ここで日本語のセリフをいくつか抜き出して考えてみると、(K原の勝手な印象ではありますが)「日本語あるある」が浮かび上がってくるのではないかと思います。

日本語あるある1 省略

日本語あるあるその1は「省略」です。これは日本語の面白さでもあると思います。特に、あたしンちは家庭や学校等、「いつものメンバー」で話が進む場面がほとんどなので、省略をしてもその状況を見たり聞いたりして把握していれば、みんなその話題についていきやすいようです。

あたしンちで使われている表現は、基本的に家族のお話ということもあり、リアルな日本語だといえます。そのリアルな表現では、省略がよく行われているということを確認し、さらにそのセリフをアニメから抜き出し、文脈から切り離してしまうと「誰が」なのか(主語の省略)、「何を」なのか(目的語の省略)がよくわからなくなってしまうということを確認しました。そこで、わかりやすい文章とは「主語と述語がはっきりしている文章」なのかもしれないと考えました。

日本語あるある2 語順の自由さ

さらに、あたしンちのセリフを抜き出してみると、日本語あるあるの2つめが浮かび上がってきます。例えば第55話の2:00頃の母のセリフ「あと、加湿ね、部屋の」は、省略ができるからこそ、そして日本語の語順が自由だからこそ可能な表現なのではないかと思います。

なぜこのように語順の自由度が日本語は高いのでしょうか?それは、日本語には「助詞」があるからだと思います。「は」「が」「に」「の」「を」等々、助詞が単語につくことによって、どの場所にいっても単語と単語の関係性を表現することができています。

しかし、英語はこのような「助詞」がありません。英語は「語順によって単語と単語の関係性を説明している」のではないかと思います。詳細は是非「あたしンち」をご視聴いただきながらいくつかの日本語のセリフを抜き出し、その英語表現をご確認いただけたらと思いますが、英語が語順によって意味を正確に伝えているのであれば、省略すると語順が変わってしまうため、基本的には省略はできないということになります。

その分、必ず主語をおいて、次に動詞をおいて…と語順に縛られますが、初めて聞く人にとっても、わかりやすい表現なのかもしれません。

日本語は助詞で単語と単語の関係性を説明している。

英語は助詞がないため、語順を固定することで単語と単語の関係性を説明している

⑵目的語をとる動詞ととらない動詞

S+Vの次に、目的語をとるのかとらないのかを、再び日本語で『あたしンち』を活用して考えてみました。

この表現も第55話に出てくるものですが、例えば「冬は部屋で布団干せるの」(1:36)というセリフは、”dry”という動詞を使い、「干す」を表現しています。英語字幕では、誰が「干す」かはYouで表現されていますが、「人が干す」ときたら何を?と干すものが必要になります。

一方で、「ばっちり干せた」(4:33)というセリフは、英語字幕では布団を主語にとり「布団がばっちり乾いた」という表現になっています。こちらも”dry”という動詞を使っていますが、こちらは「布団が乾く」という意味で”dry”を使っており、主語は何かに働きかけることなく、おのずからひとりでに「乾く」ことができます

それぞれ同じ動詞”dry”を使っていますが、その意味が「干す」なのか「乾く」なのかによって、目的語をと(れ)るかどうか、変わってきます。

同じ英単語でも上記のように何かに働きかける意味で使うのかどうかで異なってくるため、日本語の意味から、目的語をと(れ)るかどうかを考えるという方法もあるのではないかと思います。

まとめ

下記の通り、視覚情報・聴覚情報からの学びとして『あたしンち』を活用して英語を学ぶことの利点を改めて考えました。

  • 日本語と英語の情報どちらも同時に手に入れることができる。
  • リアルな日本語と英語を比較すると、言語特性の違いを身をもって理解しやすい?
  • 日本語との違いから、英語のルールについてなぜそうなったのか考えることも可能なのではないか?
  • 最初に英語でS+V、S+V+O等の文型を考える前に、日本語でそのVにあたる動詞を考えてみると、なぜS+Vで終わるのか、なぜS+V+Oの形をとるのかわかりやすいのではないか?
  • その際、文字を読むだけではなく、映像で学ぶことで動作がイメージしやすく、目的語がくるのかさらにわかりやすくなることもあるのではないか?

当日いただいたコメント

当日は時間の都合もあり、きちんとした回答ができなかったため、この場をお借りしていくつかのコメントにお答えさせていただきます。

・私は、文型を覚えても中々それが使えるようにならなかったので、実際の例文を覚えてこの動詞はこうやって使うんだ、と覚えていた気がします。

・逆に英語は文型を理解してしまえば、あとは動詞のイメージさえ身につけて、反復していくことで後ろの目的語もだんだんスムーズにつけることができるようになると思います。子供に教えるときは、日本語の主語と英語の主語の違いを、可視化して示すとなお理解しやすいと考えます。スライドで的確に主語の違いを示すと分かりやすいです!

まず文型を学び、自分で例文にあたって覚えると、だんだん「第○文型だ」とわかるようになってきますよね。私もそのように学びました。今回は「文型」という説明の仕方ではなく、動詞がどのような動詞かによってその後に目的語をとるかどうかの説明を試みてみましたが、語順や英語の動詞について、色々な説明の仕方によって立体的に学ぶことができるようになるのではないかと思います。スライドで主語を可視化すると理解しやすいというアドバイスもいただき、ありがとうございます!是非これからの企画に取り入れていきたいと思います。

わかりやすかったです!なぜ英語に語順が必要なのか納得できました。動詞については、be動詞の説明が難しいなと思いました。

ありがとうございました。とても嬉しいコメントをいただきました。be動詞の説明も、まなキキの英語ページで挑戦したいと思っております。自分が題材に選んでおいてなのですが、1つ『あたしンち』をみて気づいたことがありました。それは、「なんてbe動詞を使った表現が多いんだ(そしてS+Vはなんて少ないんだ)」ということです。

現在進行形など、何かや誰かの状態を表すセリフが非常に多かったです。そのため「もしかしてbe動詞についてあたしンちから学ぶ」でもよかったかも…とも思ったりしました。今回は語順、そしてS+VとS+V+Oのみで企画を考えてみましたが、be動詞についても映像を使った学びは可能だと思うので、是非今後の課題の1つとさせていただきます。

・英語学習といえば海外作品を日本語字幕で、というスタイルをとる方が多いと思うのですが、日本の作品を英語字幕で、というスタイルで英語を学ぶことの面白さを感じました。海外作品の生(?)の英語ではあたしんちの日本語のような省略が沢山使われているのではと思います。

・英語のアニメに日本語の字幕が付くより、日本語のアニメに英語の字幕が付くほうが日本語の特性がわかって勉強しやすいと思うので、あたしンち良いな!と思いました!

たしかに、よく考えたら今Youtube等にある、ドラマや映画を使った英語学習系の動画は、海外の作品から学ぶものが多いですね。そのようななかで『あたしンち』を取り上げてみましたが、この作品のいいところは、比較的近い世界の話で、情報量がそこまで多くないということも挙げられるように思います。

海外の文化も一緒に学ぶという目的であれば、海外作品を使ったほうがたくさんの文化に触れられると思いますが、日本のアニメで、しかも戦隊系などではなく家族アニメだと、話す内容も新規のものは少ないですし、限られた人間関係にフォーカスしているため、(それが現実に存在するかどうかは別として)比較的見慣れたものが多く登場し、セリフや表情に集中できるということは、場合によっては利点の1つになりうると思いました。海外作品を見ると、おっしゃる通り省略がたくさんありそうです。海外作品から学ぶ英語も、まなキキで挑戦できたらと思っています。ちなみに今回はテーマから少しそれるため取り上げませんでしたが、あたしンちにも、文脈でわかるでしょというところはかなり省略が起こっていました!

また「日本語の特性がわかって勉強しやすい」という言葉にはとても励まされました。英語を学びながら日本語も学ぶということもできるのではないか、できたらいいなと思っています。私は大学で英語を学びましたが、中学生の頃からずっと「私はテニスをします」なんて現実で言うかな?と思っており、なにか英語の教材に出てくる日本語に違和感がありました。でもそれは「英語に合わせた日本語」だからだったのだと今では思います。おすすめリンク集には、英語を日本語に訳す楽しさを教えてくれる「ヤマカイTV」を紹介していますが、リアルな日本語と英語のギャップを楽しむというのも、翻訳の醍醐味だなと思います(ただしヤマカイTVの日本語訳のすべてが正しい内容を反映しているわけではないので注意)。

・小学生程度の子どもたちには、英語字幕を読むことが難しいため、例えば私たちにとってのペルシャ語のように、何もわからないと考えて、どのように説明が可能か考えていくとよいのではないか

貴重なご意見をいただき、ありがとうございます。今回の説明は対象者が絞り切れないまま、どちらかというと大人向け・文型をすでに学んでいる人向けのような説明となりました。『あたしンち』は一見子どもたちにもとっつきやすい親しみやすいアニメではありますが、初めて見る英語の字幕表現をどのように子どもたちに説明するかは、今後も検討していくべき課題の1つだと考えています。

今はまだアニメで学ぶから親しみやすい、という理由づけ程度になってしまっていますが、肝心の英語についてどうしてこのようなルールになるのか、子どもたちにとって学びやすく、応用の利く説明の仕方を引き続き考えていきたいと思っています。

お知らせ(まなキキ 英語サロン)

これまでまなキキでのWebページ上で英語の学びについて発信してきましたが、

この夏休みに「まなキキ 英語サロン」を開催いたします。(無料)

パソコン、タブレットがあれば、オンラインで楽しく英語を体験できる、今までにないコンテンツだらけです。今回の編集会議でいただいたご意見をふまえ、子どもたち向けにバージョンアップして実施します!

【まなキキ 英語サロンの対象者】

本サロンは下記のいずれかにあてはまる方向けとなっております。

  • 文字の読み書きに特性があり、また不安がある方(ディスレクシアなど)
  • 言葉の聞き取りに困難がある方(難聴など。ただし手話通訳はつきませんので、ろうの方には対応していません)
  • それ以外で英語の読み書きや聞き取りに苦労や不安を感じている方
  • 英語を楽しく学びたい方

上記にあてはまる、小学校中学年から中学生(英語初学者)程度の方であれば、どなたでもご参加いただけます。

*なお、ディスレクシアや難聴など(障害)に関しては、障害者手帳や医師の診断書などの証明書は必要としておりません。程度にかかわらず、類似の傾向をお持ちの方はご参加いただけます。

【本サロンの構成】
本サロンは、全てオンラインで開催され、下記の4つのコンテンツから構成されています。

A:アルファベットの形(YouTube教材)
B:手話で学ぶ英単語(リアル体験)
C:目で見てわかる発音(リアル体験+YouTube教材)
D:英語のルールの秘密(リアル体験+YouTube教材)

【開催日程】

開催日程は、8月7日(金)午後、21日(金)午後、22日(土)全日です。詳細はフライヤーをご覧ください。

【英語サロンフライヤー】

英語サロンのフライヤーはこちらからダウンロードいただけます。

英語を学ぶのに苦労している方向けフライヤーはこちら

英語を楽しく学びたい方向けフライヤーはこちら

【お申し込み先】

お申し込みは下記よりお願いいたします。

英語を学ぶのに苦労している方はこちらよりお申し込みください

英語を楽しく学びたい方はこちらよりお申し込みください

一風変わった英語の学びとなっておりますので、少しでもご興味・ご関心がございましたら是非お申し込みください!

【お問い合わせ先】

「まなキキ 英語サロン」に関しまして、何かございましたらまなキキ英語サロン事務局(english@learningcrisis.net)までお問い合わせください。

公開編集会議報告 おわりに

今回公開編集会議の英語分科会を担当させていただき、自分がこれまで考えていたことをインタラクティブな形で発表させていただくことができ、またご感想やご意見までいただくことができました。改めまして、ご参加くださった皆様・ご意見ご感想をくださった皆様に深く感謝申し上げます。

どの点が学びやすさにつながりそうか、どの点が改善すべき点か、皆様からご意見をいただくことができ、今後の方向性を考える貴重な機会をいただきました。いただいたご意見をふまえ、企画をパワーアップさせていきたいと思います!ありがとうございました。

K原(英語デスク・ナビゲーター)

イベント英語:学びのナビゲーター

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「学びの危機」:Counter Learning Crisis Project -障害のある子どもたちの「学びの灯」のために-
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