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ことばの発展・進化
言葉、漢字を使い分けていくときに、明確な判断基準があるばかりのものではないようですね。
でも考えてみれば、言葉や漢字の意味は、その言葉や漢字を使う人々の気持ち次第で少しずつ意味合いが変わっていく可能性があるものです。
例えば‥‥
この前、見つけたクマさん、やばかったんだ~!!
へ~…
クマさんがやばかったのかぁ‥‥。
…よく、ケガもなく、無事に生きて帰ってこられたね!よかったよかった。
???
なに言っているの?
もう~。ちがうよ!クマさんのぬいぐるみがヤバかったんだよ~
…というように、
「ヤバい」という単語は、国語辞典などには「『まずい』『あぶない』の俗な言い方。見つかったり、つかまったりしそうで危ない。」と書かれているのですが、
コギャルさんの使う「ヤバい」は、どうやら「かわいい」という意味でつかわれているらしいのです。
言葉は、私たちがどんなふうに使うか次第で新しい意味を持つようになります。
言葉も生きているんだなあと思います。
だからこそ、言葉を選ぶときに注意が必要です。
自分自身も、なぜそのような表現をするのか、なぜその漢字を使うのか、こだわって選んだりしていくことができるようになると、いいなあと思います。
例えば当て字が、そのままよくつかわれる表現になった、ということを夏目漱石の作品から概説している記事があったり…
使い分けに悩むような表現について考察をしている記事がいくつかあったりしますよ。
そういえば…
私は「わかりみ」とか「ぴえん」という言葉の意味がよくわからないんですよね。
新しい用語、変化する用語を編んでいく、そうした辞書編纂の仕事もとても大切ですね。
考えをどんなふうに表明していくか、言葉にどう向き合っていくか、選び、使いこなしていくか、が私たちの言葉力を鍛えていってくれるような気がします。
そんな辞書作りの物語が三浦しをんさんの『舟を編む』。
「大渡海」という名前の辞書をつくるお話です。
この辞書の名前の由来を、退職間近の登場人物、荒木さんが期待の新人、馬締さんに語りかけるシーンがあります。
「ひとは辞書という舟に乗り、暗い海面に浮かびあがる小さな光を集める。もっともふさわしい言葉で、正確に、思いをだれかに届けるために。もし辞書がなかったら、俺たちは茫漠とした大海原をまえにたたずむほかないだろう」
「海を渡るにふさわしい舟を編む」
松本先生が静かに言った。「その思いをこめて、荒木君とわたしとで名付けました。
ここでの「フネ」は「舟」。
どんな舟か、少しイメージできるのは、「フネで旅する漢字の海原(うなばら) シリーズ① いろいろなフネ」の記事を書いていたから。
「伏線を張っていた??」と思えるような、こういうつながり方が、学んでいくことの醍醐味ですよね。
この「これはアレかー!!!」というヒラメキの瞬間が学んでいて楽しいことの一つだと思います。
『舟を編む」、映画も公開されています。よかったら、観てみてくださいね。